私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材を通して多くの人とお会いしてきました。そしてあるとき気がつきました。お金を貯めている人が、共通してやっている習慣があることを。お金が貯まる人は間違いなく節約家です。節約家というのはケチとは違います。ムダなことにはお金は使いませんが、ここぞということにはしっかり使います。本当に楽しいことや価値のあることにお金を使うために、日々のムダをなくす……そんな賢い節約家さんたちの習慣をご紹介します。

「貯まるライフスタイル」なら、ムリなくスイスイ貯まる

まずは、次のチェックリストで自分に当てはまるものをチェックしてみてください。

□給料天引きの積立貯蓄をしている

□1回にお金を下ろす金額と下ろすペースが決まっている

□1週間に1回は必ず記帳する

□メインで使うクレジットカードは1枚に限定している

□旅行など特別なことがない限り、1月分のカード予算を決めている

□「おうちごはん」や「家飲み」が好きだ

□旅行、欲しい物、資格取得などお金を貯める目標がある

□買い物や外食以外のストレス発散法がある

□ひとりでいる時間を楽しめる

□高くても本当に欲しい物は買う

このうち5つチェックがついたら、あなたには1000万円貯められる可能性が大いにあります。

"貯め上手"と聞くと、毎日お金のことばかりを考え、キリキリ節約して、ギスギスした生活をしているようなイメージがありますが、実は、そんなことはまったくありません。むしろ日々の暮らしの中ではお金のことはほとんど考えずに、暮らしを楽しんでいます。少なくとも、私が20年近く家計のやりくりの取材でお会いした貯め上手さんたちはそうでした。

その理由は"貯まるライフスタイル"を実践しているから。お金を貯めることが生活の流れの中に組み込まれているということです。今回は、そんな貯め上手さんたちの「貯まるライフスタイル」を5つご紹介します。

(1)"おうちごはん"に"家飲み"……とにかく家が好き

前回までのシリーズで「外食は貧乏の始まり」「買い物回数を減らすことが無駄遣いを減らす近道」と書きました。お金を使う機会は外出中にあります。家にいると、電気代や水道代などがかかりますが、外食や買い物に比べれば、その金額はたかが知れています。つまり、出費の大半は外出中に行なわれるということです。

ということは、外出しなければ、お金も使わないということ。貯め上手さんのライフスタイルは、まさにそれを実証しています。外食よりも"おうちごはん"、居酒屋で一杯ではなく"家飲み"、友達とバルで飲み食いするよりも"おうちパーティー"で盛り上がります。節約のためだけではなく、家にいること自体を楽しむライフスタイルができているのです。

(2)スケジュールから買い物メモまで"書く"ことが習慣になっている

貯め上手さんの暮らしぶりを取材しているときに、先月の家計の収支を質問すると、家計簿を見ながらスラスラ答えてくれます。先週、買った物も記入されています。先々週の行動スケジュールもメモが残っています。スケジュール帳のメモ欄を日記帳代わりに使っている人もいます。とにかく書くことが好きなのです。

書くことは記録を残すだけではありません。予定を立て、実行し、見直す=Plan-Do-Seeの役割をしているのです。家計管理で大切なことは、お金の使い方について計画を立て、予算を確保し、お金を使ったあとに本当に買う価値のある物だったかを検証することにあります。書くことで頭の中が整理され、特に意識しなくても、Plan-Do-Seeを自然に実行しているということです。

(3)貯め上手さんは「お・も・て・な・し」上手さん

貯め上手さんを取材して印象的なことは、彼女たちがおもてなし上手さんでもあることです。家に伺うと、まずお茶でもてなしてくれます。それもスーパーで買ったペットボトル飲料ではなく、ドリップしたてのコーヒーだったり、香りのいいフレーバーティーだったり。そして手作りのクッキーやシフォンケーキなどが添えられています。ランチョンマットやトレーにお茶とお菓子が乗せられて、まるでカフェのような感じです。

さらに、取材を終えておいとまする際に、先ほどいただいたクッキーが可愛くラップされて、お土産としてくださったり。その心遣いには、本当に感激します。心地良いお付き合いの時間を持つことを楽しんでいるのです。それが日々の暮らしのリフレッシュになっているので、ストレスがたまりません。お金を貯めるには、ストレスフリーであることがとても重要です。

(4)本当に欲しい物には惜しまずお金を使う

貯め上手さんはお金を使わずに、貯める一方のように思われがちですが、それは大きな間違い。お金を貯めている人ほど「ここぞというとき」や「これだけはという物」にお金をかけるものです。お金を使ったあとの満足度が高い"こだわりのコトやモノ"には、心置きなくお金を使うこともストレスなしで貯めるコツです。

(5)毎日をていねいに暮らす

ひじき煮やきんぴらなどの常備菜を作り置きしておく。お菓子を手作りする。ベランダで家庭菜園をする。雑貨屋さんで見つけたものを自分なりに工夫して作ってみる……など貯め上手さんの暮らしはお金ではなく、手間と思いをかけます。物をお金を使って簡単に手に入れるのではなく、自分なりに工夫して作ります。手作りした物には愛着がわくので、大切に使いますし、すぐに飽きて買い替えることもありません。

今の世の中、お金さえあれば何でも手に入るようですが、お金の代わりに手間と思いをかけた"ていねいな暮らし"には、節約効果だけではなく、心を豊かにしてくれる効果もあるようです。

<著者プロフィール>

村越 克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。