連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。
「つみたてNISA」対象商品が発表される!
2018年からスタートする新しい少額投資非課税制度「つみたてNISA」の対象商品が金融庁から公表されました。2017年10月13日時点でその数は投資信託114本となっています。
「つみたてNISA」の対象商品は、金融庁への届け出制となっており、低コストで、長期積立・分散投資に適したものに限定されています。顧客本位・投資家本位の商品が厳選されていると考えられるため、これらの運用商品を活用すれば、安心して投資をすることができるでしょう。
なお、これらの投資信託すべてが、どの金融機関でも提供されるわけではありません。金融機関によって取扱商品が異なります。少数しか扱わない金融機関や、ほとんどの商品を取り扱う金融機関があります。したがって、「つみたてNISA」を始めるに当たっては、どの金融機関に「つみたてNISA」の口座を開設するかが決定的に大切です。ふだん利用している銀行で安易に口座開設しない方がいいでしょう。商品の品ぞろえが豊富なネット専業証券会社がおススメです。
高コストの投資信託でも販売できた「NISA」が2014年に導入されたときは、金融機関はこぞって口座開設キャンペーンを行い、顧客の囲い込みを図ろうとしましたが、来年始まる「つみたてNISA」は、低コスト商品ばかりであるため、金融機関は収益が上がりにくく、積極的な広告宣伝や顧客獲得競争をしにくいと考えられます。そのためもあってか、三菱UFJ国際投信が2017年9月に実施した調査で「つみたてNISAを知らない」と回答した人の割合は80.9%にも昇っています。顧客にとって有益な仕組みでも、広告宣伝が積極的に行われないと認知度はアップしません。
「つみたてNISA」と「NISA」は同時に使えない!
2018年からスタートする「つみたてNISA」と、2014年からある「NISA」は、いずれも一定期間の投資収益が非課税になる税制優遇制度ですが、主な違いは以下の通りで、この2つの制度を併用することはできません。
非課税投資枠や非課税期間から考えると、目安として、20歳代から40歳代の方は「つみたてNISA」、50歳代以上の方は「NISA」を活用してはいかがでしょうか。
20歳代から40歳代の方は毎月少額ずつ長期間積み立てながら資産形成を行うことができます。「分散投資」・「長期投資」・「積立投資」を組み合わせて運用をすると、収益が上がる確率は格段に高まります。また、50歳代以上の方でゆとりのある方は、年間120万円の非課税投資枠を有効に使うことができます。なお、「NISA」でも「つみたてNISA」対象商品の多くを活用することができ、積立投資をすることも可能です。
まずは「つみたてNISA」の口座を開設する
NISA口座の開設や、NISAからつみたてNISAへの切り替え、金融機関の切り替えの手続きは、2017年10月から始まっています。
「つみたてNISA」を始めるには、まず、金融機関を選びましょう。ふだん利用している銀行ではなく、既にNISA口座を開設している金融機関でもなく、「つみたてNISA」の対象商品の品ぞろえが多い金融機関を選びましょう。これから20年間にも及ぶ非課税期間をフルに活用するには、途中で売却したくなるような商品は選びたくありません。商品の選択肢を多く提供している金融機関を選びたいものです。
既にNISA口座を持っている金融機関で「つみたてNISA」をする場合は、制度の切り替え手続きが必要になります。
おススメ投資信託はコレ!
2017年10月13日に公表された「つみたてNISA」対象商品の中で、筆者がおススメしたい投資信託は、以下の通りです。
おススメ投資信託は、国内外の複数資産を1本の投資信託の中に組み合わせた「バランス型」という投資信託です。これを活用すると、1本の投資信託を選んだだけで「分散投資」をすることができます。分散投資をすると、株式比率100%で運用する場合などよりもリスクをおさえた運用ができます。
「つみたてNISA」では、さらに、積立投資をしながら、最長20年もの間、収益に税金がかからない運用ができるため、効率的な財産形成が可能になります。 運用期間がたっぷりある多くの若い方に活用していただきたい制度です。
執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。
「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)
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