「貯蓄から投資へ」
「年金不安、自助努力が必要」
「キャッシュレス時代」
などなど20代の方にとって、お金を取り巻く環境は大きく変化しており、不安を感じている人も多いハズです。

  • 将来について不安を感じていませんか?

ここで一度、お金の基礎と向き合い、これからの生活を行う上でどのようにやりくりしていくのが良いのか、一緒に考えていきたいと思います。

1円玉、大切にしていますか?

まず手元にメモを用意していただき、1円玉と100円玉の大きさを想像しながらマルを描いてみてください。

何も見ずに描いた後、手元の小銭と比較すると、ピッタリ同じ大きさになりましたか?

多くの人が1円玉を実際よりも小さく描く傾向にあります。毎日のように見ている1円玉なのに、かなりかけ離れたサイズを描く人も少なくありません。

これは心理学的には、その対象物(お金・小銭)をやや軽視している可能性があるとのこと。

1円を大切にする。そんなことからお金について見つめ直していきたいですね。

お金の機能を確認

お金には3つの機能があります。

交換機能 私たちは物々交換ではなく、お金で買い物します。お金と言う共通の交換手段があることで私たちの生活は成立します。
貯蔵機能 お金は腐りません。ずっと持ち続けて好きな時に使うことができます。
尺度機能(ものさし) 値段を表示することで、商品やサービスの価値を示し、比較することができます。

では、ここでもう1つ質問です。

皆さんに100万円を差し上げます。いますぐ一括で100万円欲しいですか? それとも10万円を10年間かけて分割でもらいたいですか?

きっとほとんどの人が前者の一括でもらいたいと答えたと思います。

「単に、早く使いたいから」と感じ判断したかもしれませんが、一括で受け取った方がその分、利息をもらえ、株式などで運用することもできます。

よって、一括の100万円と10年間に分けてもらう100万円は価値が異なるのです。

どちらも今現在の価値で考える必要があるため、これをお金の現在価値といいます。その逆に10年後の価値で比較することもできるので、それを将来価値といいます。

分かりにくいのでもう少し見ていきます。

今、100万円受け取る場合と、3年後に130万円受け取れる場合だと、いかがでしょうか?

この問題は答えが分かれると思います。この時間差を考慮することが、現在価値、または将来価値という考え方です。

今、100万円受け取った場合、3年後に130万円と同等以上の価値あるものにできるでしょうか? 超低金利の現在、それだけ増やすことができますか?

それなら3年後の130万円の方がいいかも? こういったことを考えることが重要です。

すると今度は、最終的にお金を使って交換するモノの値段、つまり物価も考慮すべきなのでは? と気づいた人は、お金の教養が身についてきていますよ。

100万円で買えるものが増税や原材料価格の高騰などで値上がりし、5年後に120万円になっていた場合、お金もそれだけ価値を高めておかなければ、実質目減りしたことになります。

その対策として、多少リスクをとってもリターンを得る必要があります。株式や債券といったものも対象に入ってくるでしょう。

何も日本円ばかりではなく、米ドルやユーロといった世界の通貨も考えられます。

お金という範囲を拡大させて、金融商品全般について幅広く理解を深めていくと、さらに上手にお金と付き合うことができると思います。

お金を3つに色分けする

では、具体的に行動に移す上で意識して欲しいことを1つお伝えします。それは「お金の色分け」です。

これから結婚や新生活を控えている人、もうすぐ親になるという人もいるでしょう。長い人生を乗り切るうえで、以下、3つの色分けをしてください。

・使うお金
・守るお金
・攻めるお金

使うお金は、目先の生活費に必要なお金を意味します。財布の中か銀行の普通預金で管理するのが一番でしょう。

そして守るお金は、3カ月後の旅行、来年の車購入など、予定が決まっているお金です。すぐ使う必要は無いのですが、使い道が決まっていますので、定期預金など安全性を追求しながら、少しでも利息がもらえるような有利な運用先を選んでください。

そして最後の攻めるお金は長期的に増やしていくお金です。リスクとリターンは原則、比例します。物価上昇で価値が目減りしないためにも攻めるお金も必要です。

その代表例の1つが株式です。株価が毎日変動しているからこそ、投資は怖いという印象を持っている人も多いと思いますが、変動があるからこそリターンも期待できます。

  • リスクとリターンの関係(イメージ)

日々の生活資金や目先の予定で使うお金が大きな変動にさらされ、運悪くお金を必要とするタイミングで株価が下落していては困りますよね。

よって、攻めるお金は日々の変動に気を取られることなく、長期的に資産増大を狙っていくことが大切です。それが将来価値を高めてくれることにもつながります。

スポーツで例えると、野球はヒットや送りバントなどでコツコツ1点を取ることも大切ですが、時にはホームランも欲しいです。

様々な攻撃方法がうまく機能することで試合に勝つことができます。もちろんディフェンス(守備)も大切で、攻守のバランスを考えることは、今回のお金の色分けと同じことがいえます。

皆さんそれぞれ大きな目標があると思います。住宅購入、独立開業、老後への備えなど、それぞれの目標に向かって、お金の性質を見抜き、色分けをし、上手に使い分けを行うことで、長い人生を勝ち抜いていってください。

著者プロフィール: 内山 貴博(うちやま・たかひろ)

内山FP総合事務所
代表取締役
ファイナンシャルプランナー(CFP)FP上級資格・国際資格。
一級ファイナンシャル・プランニング技能士 FP国家資格。 九州大学大学院経済学府産業マネジメント専攻 経営修士課程(MBA)修了。