なぜ西洋画にはヌードが多いの? ピカソって本当に絵がうまい?……そんな絵画の疑問、ありませんか? 名画がなぜ名画なのかよくわからない、という人も多いでしょう。1年に300件以上の美術展に足を運んでレビューを発信する著者が「名画のひみつ」を解き明かし、おもしろくてためになる絵画の知識を解説する『名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑』(KADOKAWA)より、一部を再編集してご紹介します。

今回の名画は『ひまわり』。

ドラマチックな人生だから描かれた、ゴッホ『ひまわり』

有名になった理由の一つがドラマチックな人生にあります。失恋して生涯独身、職を転々とした後に画家になり、絵画制作をがんばったものの精神を病み、死んでしまう。今では有名な画家ですが、気性が激しいために波乱万丈な生涯を送りました。

そんなゴッホの代表作が、7点描かれた『ひまわり』です。精神を病んで、光あふれる南仏へ移住後、画家仲間との共同生活を計画していたゴッホ。後から来る仲間の到着を待ちながら、幸せな気持ちで描いたのが『ひまわり』でした。暗い色調の作品も多いゴッホですが、この作品は当時の幸せな気持ちを表すように明るい色合いです。しかし共同生活はうまくいかず、ゴッホは耳を切り落とす事件を起こしてしまう。それを知ると悲しい絵にも見えます。

つらいことが多くありながらも絵画を描き続けたゴッホの絵は、現在では数十億円もの高値で取引されるようになりました。

■ゴッホの幸せな気持ちがあふれた名作

  • 『ひまわり』1888年/ロンドン・ナショナル・ギャラリー(イギリス、ロンドン)

7つの作品の中でも最も有名な作品で、15本のひまわりが描かれています。共同生活していたゴーギャンも欲しがりましたが、ゴッホ自身も最も気に入っていて手元に置いていました。

■裸を恥じらう可愛いヴィーナス

ルネサンス期に注目された古代ギリシャ・ローマ神話をテーマに描かれました。それぞれに意味を持つさまざまなものが描き込まれており、自分でも調べていくとおもしろいでしょう。

ゴッホのひまわりは日本にもある

1987年にオークションで落札されて日本に来た、身近な作品です。

  • 『ひまわり』1888年/SOMPO美術館(日本、東京)

薄いブルーの背景が美しい第一作目

ゴッホ本人も満足していたよい出来だったされる作品。

  • 『ひまわり』1888年/ノイエ・ピナコテーク

【豆知識】

SOMPO美術館の『ひまわり』は、1987年に約58億円で落札されたものです。当時のオークション史上最高額であり、1枚の絵の売買価格としても最高額だったため、大きな話題となりました。

次回のテーマは「ロココ貴族の秘密の恋模様!? 『ぶらんこ』に隠されたフェチな事情」です。お楽しみに!

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『名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑』(KADOKAWA)
著者:青い日記帳 監修:川瀬佑介

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