新型コロナウィルス感染拡大の影響で、テレワークなど自宅で過ごす時間が増えた今年。家族と触れ合う時間が増えて良かったという人がいる一方で、普段は家にいないパートナーと長時間一緒にいることで衝突してしまい、中には離婚にまで至ってしまう夫婦もいるようだ。今後もしばらく“おうち時間”が続くことを考えると、できることならストレスなく生活していきたいもの。そこで今回、様々な男女問題のカウンセリングを行っている「ピリアロハカウンセリング」の代表・緒方リサコさんの元を訪ね、全5回にわけて夫婦間に起こり得る問題とその解決策についてお話を伺った。コロナ禍における夫婦間コミュニケーションのヒントになれば幸いだ。今回のテーマは「DV・モラハラ」。

  • 「DV・モラハラ」の解決策は?

DVは「夫から」「妻から」ともに増えてきている

――DV・モラハラという問題は、男女共に相談に上がるものなのでしょうか?

結構、男性から「妻から言葉のDVを受けています」という相談がすごく多くなっていますね。DVを受けている場合が多いのですが、ときどき、離婚を突き付けられてしまったんだけど、自分がそういう行動をやめることができないので、どうしたらよいでしょうと相談に来られる方もいます。

最近だと、自分ではDVの自覚がなかったのに、帰宅したら妻と子どもがいなくなっていた、というケースが結構多くなっています。今日の今日まで会話もしていて、本人は自覚がないんです。でも、その後に離婚調停の申し立て書が届いたら、「夫のDVによる精神的苦痛」とか書いてあって、「そんなことしてたっけ?」と思うケースが多いようです。

そんな風に、女性たちがあんまり会話することなく、我慢して我慢していきなりいなくなるということも多い気がしますね。

  • 様々な男女問題のカウンセリングを行っている「ピリアロハカウンセリング」の代表・緒方リサコさん

――我慢しているというのは、言葉にすることによって暴力を振るわれるのが怖いということでしょうか。

それもあると思います。あとは、今の日本の制度がたぶん女性に対して寛容というか、シェルターに行くにしても、夫側が本当にDVであったかということを確認することなく、女性側の言ってることで、そのまま隔離して一切連絡を取れなくしてくれるらしいんです。男性が幼稚園や学校に行っても、シェルターから児童相談所を通して、「お父さんから連絡があっても一切受け付けないように指示されています」って、本当に成すすべがないんですよ。

――そうなると、離婚するしかないわけですか。

離婚も、自らはできませんよね。相手から何か行動を起こしてくれないと。そうして、本当に成すすべがなくて、やつれてしまって相談に来られた男性も何人かいます。

――自覚がない男性からすると、そこを自覚させることから始めるんですか?

いいえ、相談に来られたキツイ段階ではそこを掘り下げるよりはいつの日かお子さんに会えたときに、「ママからはこう聞いていたけど、自分の目で見てパパってこんな人だったんだ」って思ってもらえるように、誇り高くパパでいられるためにはどうしていくか、ということにフォーカスしていきます。

そうすると、「子どものために頑張ります」とおっしゃいますね。その中で、どういうコミュニケーションを取れれば子どもがなんでもパパに言ってくれるようになるでしょうね、という風に回数を踏んでいく中でコミュニケーションの仕方にフォーカスはしていきますけど、最初のうちは気持ちが落ち切っている状態なので、モチベーションとなるものがどこかを見つけていかないといけません。急に子どもに会えなくなった辛さ、家にすべてが残っている状態で1人で暮らすことの苦しさは、本当に堪らないんだと思います。


まとめ

――今回、色々とお話を伺って、ちゃんと感情を表現してコミュニケーションを取ることが本当に大事なんだなって思いました。

そうですね。信頼しあって、絶対に最後まで一緒にいようねってコミットしているからこそ、キチンと感情をぶつけてでもやっていくということだと思うんです。とりあえず丸く収めてなんとなくやっていこうと思っていたら、そこまで感情をぶつけ合うということはないですもんね。それはもしかして、相手のことを信頼できていなかったのかもしれないし、そこまで本気でやろうという気持ちが自分になかったのかもしれない。

あとは、私たちは読み書きは学んでいるけど、自分の感情を言語化していくというコミュニケーションは学べていないのが、もったいないところかもしれないですね。質問させていただきますが、小学校の頃、登校するときに「いってきまーす」ってお母さんに言って、 お母さんは「いってらっしゃい」って返した後に、どんな言葉が続いたイメージがありますか?

――そうですね、「気を付けてね」とか「ちゃんと勉強してね」とかでしょうか。

そう、「お友達と仲良くね」とか、「ちゃんと先生の言うことを聞いてね」とかですよね。アメリカのドラマや映画でお母さんが子どもを学校に送り出すときを想像してもらうとわかると思うんですけど、彼らは「愛してる」とか「エンジョイ」とか「グッドラック」と声をかけるんです。日本人が親から言われることって、行動面、「To Do」なんですよね。だから支持されたことをキチンとやることには長けていると思うんです。

なぜならばそれが「良い子」だから。でもそれは親の自己満足だったりするわけです。「愛してる」「エンジョイ」と言われていると、「自分は愛されているんだな、今日はエンジョイするためにどうしていこうかな」って、小さい頃から考えていますよね。日本では指示されるだけのことが多い。その違いが、夫婦になっても、「何々をやってくれない」とか「こんなにやってるのに」という、行動面での喧嘩につながっている気がします。

――では最後に、夫婦問題でお悩みの方に、メッセージをいただけますか。

ピリアロハカウンセリングでは初回無料カウンセリングという場を提供させていただいております。どんどん溜め込んでしまわれ心身の健康を損なわれる前に、人に話してみることで気持ち・感情が整理できるという大きな効果もあるかなと思いますので、是非お気楽にお出ましくださいませ。

緒方リサコ

ピリアロハカウンセリング代表。夫婦間本当の問題は何かを見極め、より良い関係作りをサポート。不倫、モラハラ、産後クライシス、セックスレスなど、夫婦間の悩みの相談問題を引き起こした心のあり方、対人関係のなどを探って、幸せなパートナーシップの構築をサポートさせていただいております。