新型コロナウィルス感染拡大の影響で、テレワークなど自宅で過ごす時間が増えた今年。家族と触れ合う時間が増えて良かったという人がいる一方で、普段は家にいないパートナーと長時間一緒にいることで衝突してしまい、中には離婚にまで至ってしまう夫婦もいるようだ。今後もしばらく“おうち時間”が続くことを考えると、できることならストレスなく生活していきたいもの。そこで今回、様々な男女問題のカウンセリングを行っている「ピリアロハカウンセリング」の代表・緒方リサコさんの元を訪ね、全5回にわけて夫婦間に起こり得る問題とその解決策についてお話を伺った。コロナ禍における夫婦間コミュニケーションのヒントになれば幸いだ。今回のテーマは「産後クライシス」。

  • 「産後クライシス」の解決策は?

産後は男性の理解が必要不可欠

――出産後にセックスレスになってしまうことの相談って結構あるのでしょうか。

女性が出産するということは、母になり子どもに母乳を与えるという、守らないといけないう絶対的な存在がいるので、それこそ「おっぱい」という感覚も意味合いが変わってきます。そのときに、男性が父親として成長してくれなくて、あくまでも夫のままでいられると女性としてはきつくなるわけです。

その中で、実家に帰っている時間が長くなってしまうと、帰ってきたときに「やっと会えた」って、セックスしたがるんですけど、女性は実家で母親として立場で産前産後3ヶ月も過ごすと、セックスがなくても十分自分が満たされているということにもなってしまいます。そうすると「汚い!」「やめてよ!」なんて、男性にとっては言葉の暴力的な表現を、女性側はしてしまうこともあると思います。そうすると、男性はショックを受けて、反対に「なんだよ!」となってしまうんです。

――男性側に、出産についての理解がもっとあった方が良いのでしょうけど。

今は「産後クライシス」という言葉もあって、そういうことが起こるだろうということも、男性側も随分おわかりくださっているとは思いますが、女性側も「今はこれぐらいならOK」「今日はきついけど、いつなら私も時間を取れるようにするね」とか、具体的に2人で一緒に作っていくための会話が必要かなと思います。

――産後すぐのときに奥さんが泣いていたり、なんで悲しいのかわからないけど涙が出てくるとか不安定になる時期もあって、夫に「なんでわかってくれないの」と当たってしまうい場合もあると聞きます。家事を手伝ったり協力はするにせよ、根本的に解決するには、男性はどう対応すればよいのでしょうか?

女性自身が、「自分でも何がなんだかわからない」ということはあると思います。だからこそ、女性がそういうときに一番欲しいのは、「共感」です。産後だからこそ、「そこまでの思いをして産んでくれてありがとう」とか、「大変だったんだね」という言葉をかけてあげた上で、「今何かできることで楽になれることがあったら言ってね」とか、「家事を手伝うのと背中をさするのとどっちがいい?」とか、奥様がやってほしいことを選べるようにしてあげたらどうでしょうか。そうすると、自分のことを思ってくれてるなという気持ちになると思います。

  • 様々な男女問題のカウンセリングを行っている「ピリアロハカウンセリング」の代表・緒方リサコさん

女性が本当に欲しいのは"共感"

――なるほど、選んでもらうというところがポイントなんですね。

ご相談にいらっしゃる方も、よくおっしゃるんです。「僕は家事も育児も結構やってる方です。それなのにダメだしばっかりで、“そこじゃないの!”って言われるんです」って(笑)。本当に女性が欲しいのは「共感」ってよく言いますよね。あとは、子どもが生まれてから特に1年ぐらいの間に、突発的な体調の変化があった場合に、どうしても母親は「自分の胎内にいたときのことが悪かったのかな」って自分を責めがちなんです。そこを、「生まれてきた以上、2人で育てていこうね」というスタンスでいることがとっても大事だと思います。

――女性の側には、どんなアドバイスをされるのでしょうか。

共感してもらいたい、察してもらいたいのは当然だけど、私たち女性は十月十日と言われている間、日々子どもを感じながら母親にはなれているけど、男性は痛みがない分、どこかで人ごとであることは間違いないと思うんです。だからこそ、「一緒に育てていこう」という気持ちを自分が伝えていく意識を持つことも大事ですよ、ということですね。胎動を感じるとか、お腹が張るとか、妊娠がわかってから女性は子どもと一心同体ですから。それを男性に「わかって」と言ってもわかりようがないですもんね。

緒方リサコ

ピリアロハカウンセリング代表。夫婦間本当の問題は何かを見極め、より良い関係作りをサポート。不倫、モラハラ、産後クライシス、セックスレスなど、夫婦間の悩みの相談問題を引き起こした心のあり方、対人関係のなどを探って、幸せなパートナーシップの構築をサポートさせていただいております。