先日、20代~30代の女性経営者の集まりに出たのですが、「私バツイチなんです」「実は私も…」という方がちらほら。そういわれてみれば、過去取材したり友達になった女性経営者のみなさま…「女性経営者」というカテゴリーでくくると、かなりの確率で「離婚経験者」がいるような気がします。今は再婚して幸せになっている人がほとんどなのですが。

一体なぜ? 経営者になるほど優秀な女性の話を聞くと、結局のところ「奥さんが仕事で自分よりも出世したらイヤ」という男性のプライドがなせるわざのようです。

先日のマイナビのアンケートによると、夫が離婚を考える理由の1位は、「妻が食事を作らない」というもの。そのほかは2位「自分の両親や親戚と不仲」、3位「けんかが増えた」、4位「働かない」、などなどで、「妻が自分より出世したから」というのはさすがになかったのですが、これからはそういう理由もでてくるかもしれません。

妻の地位や仕事の成功への「男の嫉妬」という"爆弾"

私が聞いた経営者女性たちの離婚のパターンは、以下のような感じです。

「大学の同級生や職場などで『仕事ができる男性X仕事ができる女性』同士のカップル(同類婚)が誕生」⇒「2人とも仕事でガンバる」⇒「子どもができたりして、女性が一時期は主婦になったりするが、やっぱり仕事に復帰」⇒「女性のほうが出世する・または起業する」⇒「夫婦仲がうまくいかなくなる」⇒「離婚」⇒「さらに女性は仕事を頑張る」⇒「成功する」⇒「今度は年下やまったく違う分野の夫と再婚」⇒「今は幸せ」、だいたいこんなパターンの方が多いようです。「同じ会社の面接にいったら、私だけ受かって夫は落ちた」とか、夫サイドとしてはかなり悲劇なパターンもありました。

「経営者になると、仕事先で会う男性も、夫より役職が上の男性ばかり。でもそれを夫に言ったらいけなかったんですよね」とある女性が言ったら、周りの人も深くうなずいていました。

原因は「男の嫉妬」なんですね。男女としての嫉妬ではなく、妻の地位や仕事の成功への嫉妬なのです。

最近、優秀な女子大生たちに講演すると、必ず「どんな男性と結婚すればいいんでしょう?」「どうしたら、イクメンと出会えますか?」と聞かれます。中には「この子はあまりにも優秀だから、きっと将来すごいことをやりそうだ」と予感させる人もいます。

本当は「あなたより仕事も勉強もできないけれど、他のことが得意な人を選んだほうが、あとあといいよ。あなたのほうが稼げることに嫉妬しない人のほうがいいよ」というアドバイスをしたい。でも夢いっぱいで目をキラキラさせた女子には、なかなか言いづらいんですよね…

しかし、彼女たちも社会に出たら、きっとわかると思います。"男の嫉妬"という爆弾が潜んでいることを。

「まったく違う分野」か「世話好きで応援が好き」な男性との結婚を

結局、社会的に突出する女性は、「まったく違う分野の男性と結婚する」「世話好きで、応援が好きな男性と結婚する」のが幸せということになります。

女性経営者には「職人さん」「ミュージシャン」などの、まったく違う分野の男性と結婚している人が結構います。また妻の活躍を嫉妬せず、応援してくれる男性…まだまだ数は少ないでしょうが、これからはブームになるかも。

なぜならAKBのブームがあるからです。AKBを好きな男性たちは、彼女たちを全力で「推す」ことに喜びを覚えていますが、男性にとっては「誰かを無償で応援する」というのが新鮮な感覚だからこそ、AKBのブームはあるのかもしれません。日本ではプロジェクトXみたいに「夫を全力で応援する妻」という構図が主流でしたが、AKBで「推す」ことを知った男性たちは、今後「妻を全力で推す」ことも楽しくなるかもしれない。

ある女性経営者が言っていました。「とにかく、私の人生をおもしろがってくれる人と結婚してよかった」と。

しかし、まだまだ保守的な30代、40代の男性は多い。お母さんに大事にされてきた、プライドの高い彼らには、「妻が自分より稼ぐ」または「偉くなる」時が来たら、かなりきついのでは…それに比べたら「妻がご飯を作ってくれない」なんて、離婚を考える理由としては本当に可愛いもんじゃないかと思うんです。

著者プロフィール : 白河桃子(しらかわとうこ)

少子化ジャーナリスト、作家。一般社団法人「オサン・デ・ファム」アンバサダーとして、「女の子を幸せにする心とカラダの授業」プロデュース、「全国結婚支援セミナー」主宰。大妻女子大学就業力GP「ライフコース講座」講師および企画。山田昌弘中央大学教授とともに、2008年度流行語大賞にノミネートされた「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著『婚活時代』(ディスカバー21)がある。近著は、国立成育医療センター母性医療診療部不妊治療科医長、齊藤英和先生との共著で『妊活バイブル』(講談社)、『女子と就活 20代からの就・妊・婚講座』(中公新書ラクレ)。