「理想の有名人夫婦」、田中将大さん・里田まいさん夫妻が大躍進
昨年11月22日の「いい夫婦の日」のために明治安田生命保険が実施した理想の夫婦アンケートによると「理想の有名人夫婦」の5位に、プロ野球楽天の田中将大さんと里田まいさん夫妻がランクインしました。昨年は38位だったので大躍進です。
1位は8年連続三浦友和さん&百恵さん夫妻。2位は水谷豊さん、伊藤蘭さん夫妻、3位は佐々木健介さん、北斗晶さん夫妻、4位はサザンオールスターズの桑田佳祐さん原由子さん夫妻が入りました。
20代30代に圧倒的な支持を集めるマー君、里田まいさん夫妻。理由は日本一になったマー君をあげた「あげマン妻」としての功績。「おバカタレント出身だったのに、結婚後は芸能活動を控え、栄養学を勉強し、夫の健康管理などに徹して夫を支え、成功に貢献した」という点が評価されたようです。
「おバカタレントを妻にしてマー君は大丈夫なのか?」という二人の結婚への反対意見もあったと言われるので、それを払拭するような見事な「倍返し」ですね。あっぱれ、里田まいさん!
元カントリー娘。として当初半農半芸能界として活躍し、のちにおバカタレントとしての地位を築き上げた里田まいさんは「努力家」という評判です。
このアンケート調査を見ると「やっぱり女はつくしたいのだ」「夫につくす姿が女性にとってあこがれなのだ」と思ってしまいそうです。
女性はみんな「つくすことが好き」?
しかし、それはちょっと待った! 女性はみんな「つくし型」「つくすことが好き」なのでしょうか?
まず、上位5位の夫婦を見てみます。
1位の三浦友和さん&百恵さん夫妻。百恵さんは芸能界をあっさりと引退し、その後はまったく露出しないことを貫いています。一見つくす妻の鏡ともいえる。しかし、彼女の結婚当初は、百恵さんは今のAKB分を一人で稼ぎだす大スター。夫の三浦友和さんはあきらかに彼女ほどのスターではなかった。つまり「格下婚」だったわけです。
彼女は「普通の奥さん」になりたくて、普通の家庭をつくりたくて引退し、もう芸能界は「たくさん」だった。イケメンの若手スターと恋におち、待望の「寿退社」に持ち込んだ。彼が芸能界的には格下でもぜんぜん構わなかったのでしょう。だって彼女自身が大スターだったんですから。むしろ「逆玉の輿」ともいえます。彼女がそのまま仕事を続けていたら、芸能界の多くの格差婚夫婦のように離婚していたかもしれません。
2人がこうして今「良い夫婦」たりえているのは「普通の妻でいたい百恵さん」を支えた夫のおかげではないでしょうか。結婚して一旦は芸能界から退いても、夫が落ち目になったら「妻がまた露出する」というのが芸能人夫婦のお約束。そういう必要もなく、百恵さんは「平凡な妻」でいられた。山口百恵さんという偉大なスター(今の皆さんはご存じないかもしれませんが、本当にたった一人でAKBクラスのパワーを持つアイドルでした。前田敦子さんは「キリスト」と言われましたが、山口百恵さんは「菩薩」説もでていました)の夫というプレッシャーに耐え続け、「見合うだけの男になろう」と努力した、むしろ「友和さんの頑張り」こそ評価されるべきだと思います。妻つくし型というよりも、夫がんばり型夫婦でしょう。
2位の水谷豊さん、伊藤蘭さん夫妻。水谷豊さんは「相棒」のヒット作を持つ大スター。しかし蘭さんも三人でAKBくらいの破壊力を持つキャンディーズの一人。今も女優として成功しています。「同格婚」でしょう。
北斗晶さんは、「鬼嫁」キャラで有名です。でも、内実はというと、なかなかどうして「つくし型」のようです。しかし、現役時代の活躍や知名度などを見てもやはり「同格婚」でしょう。
4位の桑田さん、原さん夫妻はサザンオールスターズという学生時代からのバンドのメンバー。音楽でも家族の絆でも結ばれている「同志婚」という感じです。
そして5位の里田まいさん、マー君ですが、あきらかに「玉の輿」婚です。女性が「遥か格上の夫」をゲットしたわけです。彼女こそが真の「つくし型」女性で、学生時代はサッカー部などの「マネージャ」をやって、「はい、レモン」「はい、タオル」と働くタイプ。彼女には生粋のマネージャ遺伝子を感じます。
女子のあこがれとは、「つくしたら結果を出してくれる男に出会えること」
こうして並べてみると、上位5位の中に「女子マネ」タイプはたった一人しかいない。しかし男性のほうは、今や勝ち組、成功組ばかりです。
このアンケートは「女子はつくすのが好き」という結論ではなく、女子のあこがれとは「つくしたら結果を出してくれる男に出会えること」であって、「つくすのが幸福」ではないということでしょう。つくしても「結果を出せない男」では意味がないのです。それではただのボランティアですから。無償の愛は売っていない。「私つくすのが大好き」「わたしがサポートするから、○○君はがんばってね」なんて、言ってくれる女子ほど、引き換えに大望を抱いている。
そういえば、最近「私つくし型なの」と公言する女子にはあまりお目にかからなくなりました。マー君みたいな逸材はそうそうはいないけれど、昭和年代まではまだまだ「普通に働いている男」につくせば、とりあえず安泰でした。しかし平成の今、これだけ雇用が不安定だし、女性だって男性なみに働ける。「つくしがいのある男」は、超希少種なのです。自分が働いた方が早いと思う女性も多いでしょう。その希少種をゲットした里田まいさんだからこそ、女性のあこがれとなりうるのですね。
午年ですが、馬となって自分が走るか、騎手となって馬を走らせるか…。ここは考えどころの女の人生です。本年もよろしくお願いいたします。
著者プロフィール : 白河桃子(しらかわとうこ)
少子化ジャーナリスト、作家。大学講師。経産省「女性が輝く社会のあり方委員会」委員。山田昌弘中央大学教授とともに、2008年度流行語大賞にノミネートされた「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著『婚活時代』(ディスカバー21)がある。婚活ブームのきっかけを作った。近著は、『格付けしあう女たち 女子カーストの実態』(ポプラ新書)、国立成育医療センター女性医療診療部不妊治療科医長、齊藤英和医師との共著で『妊活バイブル』(講談社)、『女子と就活――20代からの就・妊・婚講座』(中公新書ラクレ)。
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