今ではオーナーカーとして購入されることが多いトヨタ自動車の「クラウン」ですが、初代が登場したころはほとんどが法人向けだったそうです。クラウンが個人向けのクルマとしての人気を獲得した背景は? モータージャーナリストの内田俊一さんに聞きました。

  • トヨタの3代目「クラウン」

    オーナーカーとしての人気を高めたのはこのクラウン!

個人需要の盛り上がりを読んでいたトヨタ

現在のクラウンは個人のユーザーが自分のクルマとして購入している割合が高い。しかし初代や2代目、そして今回紹介する3代目(1967年9月に登場)くらいまでは、ほとんどが法人でタクシーやハイヤー、そして会社所有で運転手付きのショーファーカーとして使われていた。「人を乗せて走る」という点が非常に重視されたクルマだったのだ。

  • トヨタの初代「クラウン」
  • トヨタの2代目「クラウン」
  • 左が初代、右が2代目

しかしトヨタは、3代目の開発にあたりクラウン購入者の変化を予測。徐々にオーナーカー、つまり個人所有の割合が高くなるだろうとの想定のもと、 「オーナーデラックス」というグレードを訴求した。それまでは黒がほとんどだったボディカラーについては、白を前面に押し出した。結果として、3代目は「白いクラウン」と呼ばれるようになる。ここでクラウンは「黒塗りの法人車」のイメージから脱却。資料によると、1968年には販売台数で前年比136%の伸びを見せ、クラウンが属する市場の6割を占めるまでになる。トヨタの読み通り、3代目クラウンに個人ユーザーが活発に反応したことがわかる。

  • トヨタの3代目「クラウン」

    「白いクラウン」として人気を博した3代目クラウン

新たに登場したボディタイプもオーナーカー需要に拍車をかけた。1968年10月にデビューした2ドアハードトップだ。セダンの丸目4灯に対し長方形の2灯を採用して見た目を差別化。セダンよりも高性能なエンジンを搭載し、スポーティーさもアピールした。

3代目クラウンの開発でトヨタは「高速長距離セダン」という目標を掲げた。当時は東名や名神、中央などの高速道路や首都高速道路も完成し始めていたため、オーナーカー需要がさらに高まると踏んでいたのである。また2代目にもあった「カスタム」(ワゴン)も、リアゲートの開き方を下ヒンジによる手前に開く方法から横開きに変更。さらにサードシート仕様の8人乗り仕様も追加した。

このように、オーナーカーとしての魅力を当時として最大限に盛り込んだ3代目クラウンは、着実に需要を掘り起こし、高級車市場を形成していったのである。