エンジンで走るクルマの燃費は「燃料1リッターあたり何km走るか」という指標でとてもわかりやすいのですが、電気自動車(EV)の燃費にあたる「電費」(デンピ)というのはどんな計算式で割り出すどのような指標なのでしょうか。モータージャーナリストの内田俊一さんに聞きました。
電費の計測方法は?
内燃機関、つまりガソリンエンジンやディーゼルエンジンの燃費表示は1リッターあたり●●km(●●km/L)というもので、それがひとつの経済性の目安になっている。では、EVはどうだろうか。
EVには燃費ではなく「電費」というものがある。主に使われる単位は「km/kWh」。つまり、1kWhで何km走れるか、という指標だ。
「1kWh」は1kW(1000W)の電力を1時間続けて使った場合の電力量を示す。1kWの家電製品を身近で探してみると、コーヒーメーカーが丁度そのくらいの電力を必要とするものだった。なので、このコーヒーメーカーを1時間ずっと使い続けるくらいの電力量(1kWh)で、そのEVが何キロ走ることができるのか、というのが電費(km/kWh)ということになる。最近のEVに乗っていると、おおよそ6km/kWhくらいのクルマが多いようだ。
では、電費をよくするにはどういう方法があるのか。実は、燃費を伸ばす方法とは真逆と考えていいかもしれない。
燃費を伸ばす最適な方法は、一定速度を極力維持して走ることだ。従って、高速道路ではほぼ一定の速度で走ることができるので、燃費は伸びやすい。
一方、EVで高速道路を走ると電費は悪化する。大きな理由は「回生ブレーキ」が使えないことだ。
回生ブレーキはアクセルペダルを戻した時、あるいはブレーキを踏んだ時(要するに減速した時)に発生する熱エネルギーを電気に変換し、バッテリーに充電する仕組み。これが使えればバッテリーに多少の電気を戻しながら走行できるのだが、使えなければ常にバッテリーの電気を使い続けることになるので、電費は悪化してしまう。
街中には信号があったり、交差点で右左折するシーンがあったりで、アクセルペダルを戻す機会が結構あるから、頻繁に回生ブレーキを使うことができる。その都度、EVは自ら発電するわけなので、電費は向上するという仕組みだ。ちなみに、これは多くのハイブリッド車(HV)も一緒だ。
もしEVで高速道路を走る機会があれば、意外と航続距離が伸びないことを覚えておいてほしい。