前回は、「起業してよかった100のこと」を書きました。今回は本題である、「社長って意外と楽じゃないぞ」というお話をしたいと思います。

楽じゃない要因としては、以下の3つことが挙げられます。

1:必要なのは結果のみ
2:身体持久力ではなく、決断持久力が必要
3:会社に関するすべての情報を把握しないといけない

一つひとつご説明しましょう。

1:必要なのは結果のみ

最近の経営の主軸としては、「ビジョンを語って、社員に理解してもらうことが重要だ」とか、「夢を持ってもらえるようにしよう」といったものが多いかと思います。

もちろん、その通りです!

しかし、それはあくまでうまくいっているときのみの話です。

起業した瞬間や、どんどん大きくなっているとき、まだ若い社員ばかりのときは、それでいいかもしれません。または、大きくなりすぎて、会社の方向性がぶれかけてしまったときに、全員の気持ちを一つの方向にするために必要なのかもしれません。

逆に、売上が停滞してしまったり、社員さんの給料を上げていけなくなってしまったりしては、不満が溜まってしまうのも当たり前です。ビジョンを語ろうが、ついてきてもらえない要因になるでしょう。

そういう意味でも、経営者として当たり前のことかもしれませんが、しっかりと売上・費用・利益のバランスを取れるように結果を追い求めることになります。

2:身体持久力ではなく、決断持久力が必要

「決断力」とよく言いますが、決断力というのは一日の中で衰えるということをご存知ですか?

人間は、一日に9,000回以上の決断をしているそうです。決断をすればするほど、決断エネルギーが減っていき、決断力は鈍ります。そうならないために、有名な例で言うと、オバマ元大統領や故スティーブ・ジョブズ氏は毎日着るものを同じにすることで、決断の回数を減らしていたそうです。

余談ですが、最近オーダーメイドのスーツが流行っていますね。3~5万円ぐらいでオーダーメイドができるという破格の値段設定のスーツ屋さんです。

初めてのオーダーメイドスーツを買おうと思って、そこに行って3着いっぺんに買ったのですが、注文を終えるまで3時間ぐらいかかりました。最初はサクサクと、「ボタンはこれで」「襟の形はこれで」「生地はこれで」と決めていけたのですが、2時間後ぐらいから頭が全然回らなくなり始め、「もうオススメで……」とオーダーメイドスーツの醍醐味を放り投げてしまいました(笑)

このとき、決断力が減っていくことを、身をもって思い知りました。社長という職業は、とにかく決断を毎日何回も迫られます。そして、その決断の一つひとつが会社の将来を形作っていきます。一つとして適当に決断できないと思っています。

なので、スーツ屋さんで決断力の衰えを感じて以来、余計な決断にエネルギーをできるだけ使わないように気をつけています。

3:会社に関するすべての情報を把握しないといけない

最初に「結果が重要」というお話があり、そして「決断が結果を生む」という流れでつながってきていますが、その決断をするためにはできるだけ多くの「情報」を把握している必要があります。

大きなことで言えば、会社の売上数値や業界動向はもちろん、ものすごく小さな情報も、知らないことはベンチャー企業にとっては命取りになる可能性があると思っています。

人事配置を決断するとしたら、その人の人柄や評価はもちろん、周りのチームの人柄や仲の良さもイメージできないと最適な配置はできないと思います。最適な配置こそが、それぞれの個性や能力を発揮できる最大のポイントです。その決断ができるためには、できるだけ多く、みんなと話をしながら情報を集めるということですね。

結果的に自由はどこに……?

ここまでくると、結果を出すためには決断力が必要で、そのためには圧倒的な情報量が必要だから、結局毎日一生懸命働くという結果になります(笑)

もちろん、楽しくてやっていることなのでいいのですが、「楽」になることだけを考えるのであれば、もっと頭のいい方法がありそうだなぁと思う今日この頃です(笑)

執筆者プロフィール: 小茂鳥 雅史(こもとり まさふみ)

株式会社スパルタ英会話 代表取締役

慶應義塾大学院卒業後、外資系証券会社モルガン・スタンレーMUFG証券に入社。退職後、NPO法人JAVO(ボランティア証明書発行機関)を発足。2年後、《語学で「夢はかなう」の実現》を理念とし、3カ月短期集中型の英会話教室を創業。わずか3年で4本のテレビ出演、年商を3億円企業へ。会社規模を拡大させ、世界をひとつのビックファミリーにという想いのもと、語学、IT、金融、人材などの6つの会社を束ねる株式会社We&を設立し、代表取締役に就任。

■株式会社スパルタ英会話