社会人になって初めての仕事と同じで、起業すればやっぱり初めてお金を稼げた瞬間があり、そこにはお客様がいらっしゃるわけです。これはもう一生忘れない記憶かなぁと思います。いろんなことを学ばせていただいて、この場を借りて感謝申し上げます。

大学時代の初お客様

大学生で起業した会社は、家庭教師の派遣でした。コンセプトは「超名門私立高校生が高校受験の家庭教師をする」というものでした。発想としては、「高校受験をしたばかりの高校1年生の方が、大学3年生よりも高校受験の問題の解き方には詳しいだろう」というものでした。

早速、株式会社を設立して、ビラ配りを一生懸命行いました。たしか200枚ぐらいしかビラを配っていないのですが、記念すべき1人目のお客様がいらっしゃいました。表参道にお住まいの裕福な方ですが、前の家庭教師に失敗したらしく、ビラを配っていた私たちに話しかけてくださったのです。私たちがどれだけ誠実に家庭教師をできるかということを語ったところ、契約してくださいました。

ただ残念なことに、「高校生じゃなくて、普通に大学生の家庭教師が良い」とのことでしたので、しっかりとご用意しました。そのあとも大学生が良いという要望が続き、普通に大学生の家庭教師派遣業となりました(笑)。

でも、実はこの経験が後々に効いてくることになります。

社会人起業の初給料はパーティ事業!?

英会話事業を始めてはいたものの、“給料”として出せるレベルでもなく、稼いだ小銭は次回の小物を購入するのに使っていました。生きていくためにも、「パーティ事業」で稼ごうということになり、月に3回パーティを開いて、9万円を稼ぐことに成功しました。

パーティ事業で生計を立ててる人や、大学時代にパーティを主催したことのある人からしたらどれだけ微々たるお金かわからないですが、私たちは飛び跳ねて喜んで、「これを100倍にしたら大金持ちだ!!」とはしゃいだことを覚えています。

現実的には、月3回もパーティを開くことが体力的にも精神的にもきつすぎて、その9万円でほぼパーティ事業は終わりました(笑)。それでも、お金を稼ぐことの大変さと、喜びを覚えたのは、あのパーティの9万円があったからです。

英会話の初めてのお客様

そこから、本格的に英会話サービスを作ろうとコンセプトや狙い、カリキュラムの作り込みに入りました。ここでも想定外のことが起き、今の英会話サービスに繋がっています。 実は私たちの最初のターゲットは子供だったのです。子供向けの英会話カリキュラムを用意し、内装も子供用にキリンとかゾウのシールを貼って可愛いくデコレーションをし、ビラにも「子供向け英会話教室OPEN!!」とでかでかと書いて配りました。そしたら最初にいらっしゃったお客様はなんと50代の奥様!。

「あれ、子供向けのビラだけどなぁ……」と思いながらも、初めてのお客様ですので丁寧にご説明をした結果、なんと入会してくださいました。そこから、大人向けのカリキュラムを作り始めたところ、とてもニーズがあり、今の3カ月短期集中プログラム・スパルタ英会話に繋がったのです。

結局、子供のお客様は1人も受け入れずに終わっています(笑)。

初めてのお客様のニーズがビジネスを作る

こうやって振り返ると、原体験というか、最初のお客様の存在がどれだけ重要か。自分たちで「こんなサービスあったらいいなぁ」と思って作ってみても、うまくいかず。意外と最初のお客様のニーズに合わせてサービスをどんどんと改善していったら、お客様に喜ばれるものができ上がってきました。

もちろんこんなやり方ではなくて、自分の想いとビジョンからサービスを作り込む「スタートアップ系の起業」もありますが、私はこうやってお客様と寄り添いながらサービスを作る「スモールビジネス系の起業」をたくさんしている気がします。

執筆者プロフィール: 小茂鳥 雅史(こもとり まさふみ)

株式会社スパルタ英会話 代表取締役

慶應義塾大学院卒業後、外資系証券会社モルガン・スタンレーMUFG証券に入社。退職後、NPO法人JAVO(ボランティア証明書発行機関)を発足。2年後、《語学で「夢はかなう」の実現》を理念とし、3カ月短期集中型の英会話教室を創業。わずか3年で4本のテレビ出演、 年商を3億円企業へ。会社規模を拡大させ、世界をひとつのビックファミリー にという想いのもと、語学、IT、金融、人材などの6つの会社を束ねる株式会社We&を設立し、代表取締役に就任。

■株式会社スパルタ英会話