◆"やすひさ流 おうち唐揚げ"の楽しみ方

――― 外出自粛もあり退屈を感じやすい昨今ですが、やすひささん流のおうち時間を充実させる、"唐揚げの楽しみ方"はありますでしょうか?

やすひさてっぺいさん : 唐揚げを楽しむためには、まずは「自分の好きな唐揚げ」を軸として持つのが大切です。どんな味わいの唐揚げが好きなのか、どんな食感の唐揚げが好きなのかと自分に問いかけ、"舌の軸"を調べましょう。

――― "舌の軸"でしょうか。

やすひさてっぺいさん : はい。少なくとも3店舗の唐揚げを食べ比べ、その中から自身のベストワンとなる唐揚げを見つけ出してください。すると唐揚げにおける自己理解が深まり、味わった瞬間の幸せ感が半端じゃなくなるんですよ。

――― なるほど。まずはおうち時間を使って、自分の「好き唐揚げ」を見つけるところから始めるべきなんですね。

やすひさてっぺいさん : その通りです。"舌の軸"を定めて自分の唐揚げ論を語れるようになると、周りの人ともより深い唐揚げトークができるようになります。すると、美味しい唐揚げと出会うきっかけが広がるんですよ。

まずは今生きている自分の地域、地元にある唐揚げをおさえて「俺はこれが好き」「これはもっとこうしてほしい」なんていう自分の唐揚げへの舌を研ぎ澄ませてほしいですね。外出自粛中は家で食事を楽しむ時間がたっぷりありますので、いろんなお店の唐揚げをテイクアウトして楽しんでほしいなと思います。

……ちなみにこの考え方は、仕事にも生きてくるはずですからね。

――― ???

やすひさてっぺいさん : 仕事で取引先やクライアントへ提案をする際に、「これは本当にこのお客さんに合う提案なのか」と自分自身の働き方や提案に問うことがありますよね。そんな仕事マインドの醸成にもつながるということです。

人って、自分が好きなことや楽しめることにしか意識が向かないと思うんですよ。だから仕事がうまくいかない人や好きではない人には、唐揚げを意識作りのきっかけに、仕事への考え方を高めてみてほしいと思います。

  • 日本唐揚協会幹部のやすひさてっぺいさんの名刺は、揚げ油のごとく光輝く金色です


日々唐揚げの研究に勤しむやすひさてっぺいさんからすれば、仕事も唐揚げも突き詰めるという点では共通するものあるのだと教えてくれました。仕事に疲れている人は、唐揚げと対話するのもありということです。

カラアゲニストの称号を得てから約4カ月が経過した筆者ですが、お気に入りの唐揚げ専門店に行きがちな自分を見改めるべきだと実感。一日一粒を一日二粒に改良することを心に決めました。

――― ちなみにやすひささんは、どのようにご自宅で唐揚げを楽しんでいますでしょうか?

やすひさてっぺいさん : 自宅でしか楽しめない唐揚げを堪能できるのも、おうち時間の楽しみ方のひとつです。最近はテイクアウトのほかに、精肉屋さんで骨付きのぼんじりを購入し、そのまま唐揚げにするのにハマっています。あの"コリ感"をぜひみなさんにも試してみてほしいです。

――― それは興味しかないですね……!ぜひ試させていただきます!!

こちらもチェック : やすひさてっぺいさんのオリジナルレシピで「ぼんじりの唐揚げ」作ってみた

本年で46歳になるやすひささんは、ボディメンテナンスにもぬかりがないようでした。腸内環境のケアとして発酵食品である「甘酒」と「味噌汁」を多く食べたり、独自で研究を重ねている「コーヒーエネマ」を試してみたり。唐揚げを軸に、多角的な研鑽を重ねているようです。

やすひさてっぺいさん : からあげを食べ続ける人生を選んでしまったので、これくらいのことをしていかなきゃなと思っています。

――― 年齢とともに気にしなければならないことも増えていきますね……。

やすひさてっぺいさん : そうなんですよね……。ですが、年齢とともに変わっていく「好きな唐揚げ」との出会いも、ひとつの楽しみですかね。

◆時代とともに、成長とともに好きな唐揚げは変化する

――― 年齢とともに味の好みが変化するということでしょうか?

やすひさてっぺいさん : はい。若かりし頃にはジューシーで脂がのったもも肉の唐揚げ一択だったという人でも、大人になると胸肉の唐揚げの美味しさがわかってくるんですよ。

「年をとって胃もたれしやすくなったけれど、胸肉であればいっぱい食べられるぞ!! 」みたいな。ほかにも「軟骨だと脂っこいけどすなずりの唐揚げなら食べられるわ!!」といったこともありますね。

――― たしかにその未来には、激しく共感できそうです。

やすひさてっぺいさん : 日本人であれば、多くの人が幼少期から現在に至るまでのさまざまなシーンで、たくさんの唐揚げを味わっていると思うんですよ。美味しいと感じる品は年齢によって異なりますし、シーンや心情などによって変化することもあります。

そういった時代や成長とともに唐揚げを楽しむためにも、現時点での"美味しい"を見つけることは大切です。味っていうのは今しか感じられないんでね。

――― つまり"舌の軸"は日々進化していくため、いつまでも探求していく必要があるということですね!

やすひさてっぺいさん : その通りです!

◆唐揚げを全世界へ

――― 最後に、やすひささんのこれからの目標などがあれば教えてください!

やすひさてっぺいさん : これは日本唐揚協会としての目標でもありますが、唐揚げを世界に広げていくための土壌を作っていきたいと考えています。

唐揚げは現状、アジア圏とスイスには進出しているもののそれ以外には広げられていません。昨今は外出自粛とあってオフラインイベントは難しいので、まずは「からあげグランプリ」を盛り上げていくことを1番に考えています。「第3回からあげ弁当グランプリ」もまもなく開催予定となりますので、そちらもご期待ください!

――― どうもありがとうございました!!


"唐揚げを楽しむこと"、そんな小さくみえるテーマを切り取っても、極めるとなれば時間が無限に必要だということがわかりました。長いおうち時間に暇を持て余し、まだ唐揚げを深掘りできていない人がいれば、まずは近場の唐揚げ屋さんの商品を食べ比べてみたり唐揚げ検定を受けてみたりするのもいいかもしれません。

これからも続きそうな外出自粛、ぜひとも唐揚げと向き合ってみてはいかがでしょうか?

カラアゲニストになりたい人はこちらをチェック : 唐揚検定検定ページ