連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。


【相談内容】
54歳の専業主婦です。住宅ローンも無事に完済し、子どもたちも成人しました。そろそろ第3の人生を考えなければと思っています。老後を豊かに暮らすためには貯蓄はいくらぐらいあったらいいでしょうか? また、老後のために今からしておくべきことなどもアドバイスお願いします。

相談者プロフィール

相談者の家計状況


【プロからの回答です】

  • 住宅ローンをもう完済されたのですね。おめでとうございます。お子さんたちの教育費もなくなり、あとは人生の三大出費と言われる老後資金の準備を残すだけです。今からしておくべきことが何か、いくら必要なのかを把握するには、現状を認識し、今後を見据えてのシミュレーションしていくことが大切です。今回はシミュレーションをしてから、現状を見ていきましょう。

(※詳細は以下をご覧ください)


シミュレーション

現状をもとに、「第3の人生」までのシミュレーションをします。

まず、支出からみていきましょう。5年後にお子さまたち2人は独立し2人分減るとします。食費は月10万円から8万6千円に、光熱費も2割下がり3万円から2万6千円に、通信費は2万円マイナスになり、2万3千円になると仮定します。その他の支出として80歳で車代やレジャー費、旅行代、習い事などの教育費はかからないことと仮定しました。

収入は60歳から手取りが少し減り400万円とし、年金は哲也さんが65歳時より249万円、69歳の時に210万円になり、65歳になる直子さんが81万円の年金受け取りを開始すると仮定しました。

(※ 毎年年金定期便が来ていると思います。また年金ネットを使うと、より実数に近い金額で年金額がわかりますので、確認してみてください。シミュレーションは実数でやることが大切です(http://www.nenkin.go.jp/n/www/n_net/))。

上記の仮定で結果を見ると、哲也さんが65歳で仕事をやめてから80歳までずっと赤字が続くことになります。しかも、直子さんが65才になるまでは毎年130万円、その後も75万円の赤字が続きます。赤字の原因は、支出の金額が全体的に平均より上回っていることが原因と考えられます(平均の額は総務省の家計調査、「二人以上の世帯」の金額と比較しています)。

このほかにも、一戸建てとのことですから、家の改装費などもかかると思います。車に乗り続けると仮定し、7年毎に車の買い替えを200万円、家の改装費を60歳の時に300万円かかると仮定すると、80歳手前で貯蓄は底をついてしまいます。

では、どのように対処したらよいでしょうか。

現状から解決策を探る

お子さんより生活費をもらい、長島さんはお子さんの通信費と養老保険の保険料、食費を負担しているのですね。お子さんにかかっている費用を、それぞれ通信費8千円、保険料1万円、食費7千円と仮定してみると1人分2万5千円で合計5万円になります。生活費として入れてもらっている分は貯蓄しているとのことですから、実際はお子さんたちが独立するまで、毎月5万円の教育費がかかっているのと同じです。独立時? 結婚時? に子どもにプレゼントするのは養老保険の満期分だけと考えて、残りは自分たちの老後資金に充てましょう。

また、お子さんに食費がかかるとしても、食費月10万円は高いです。8万円を目標に頑張ってみましょう。そして、お子さんの独立後は7万円に抑えましょう。「作りすぎで捨てる」「食材を使いきれずに痛ませてしまう」というのを回避するだけでも効果はかなり上がると思います。もう一度無駄がないか見直してみましょう。

また、通信費もお子さんは成人しているのですからそれぞれに払ってもらい、ご夫婦2人のプランで見直してみましょう。

光熱費、通信費、被服費、レジャー費、趣味の教育費と、これらも全体的に家計調査の平均値より上回っています。全部を我慢して削っていくのはストレスが溜まると思いますし、こだわりがあるところは生活を豊かにする部分でもありますので、どこにお金をかけたいか、どこなら削れるか優先順位を考え、支出全体で2割を目標に減らしていきましょう。

これらの改善ができたとして再シミュレーションすると、哲也さんが66歳から直子さんが65歳になるまでの3年間だけはどうしても貯蓄を取り崩す赤字の生活になりますが、貯蓄が底を尽きることはなく、100歳まで安心のプランができます。

死亡保険にもそれぞれ加入していますから、葬儀代などの準備はできています。今回は、退職金を考慮に入れていませんから、退職金の金額次第で、車や家の改装にもう少し予算が取れますし、旅行や趣味にも使う余地が出てくると思います。

万が一にも備える

ただ、これは「健康であればこそ」のシミュレーションです。入院した場合、介護状態になった場合の保障がきちんと備えられているか確認しておきましょう。

退職金の金額にもよりますが、介護や医療の保障に一括で払い込んでしまうというのも一つの方法です。

介護の保障では、介護で使わなかった場合は死亡保障になるなど、保険料が掛け捨てにならず、何らかの形で戻ってくる保険も最近は出ています。現在加入されている保険の入り方にもよりますが、死亡保障と介護保障を兼任させれば、現在加入中の終身保険を年金にして利用することもできますので、収入がマイナスの時期に活用するという方法も選択できます。

死亡保険についている医療保障の場合、払込終了時に100万円単位で追加の保険料を請求される場合や、年払いで払い続けなければならない場合もあります。内容によっては医療保障を外して新しく医療保険に加入したほうがよい場合もあります。現在健康であれば変更もしやすいので、今のうちに医療保障の内容を確認しておきましょう。60歳前と後では保険料がかなり変わってきますので、まさに見直すなら「今でしょ!」。

<著者プロフィール>

(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー 内田まどか

「万が一」のためだけではない、生きていくための保険の入り方から、住宅取得、転職、早期退職など、夢や希望を叶えるためのライフプランニングなど、シミュレーションを活用してアドバイス。個人相談を中心に活動している。