連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。
【相談内容】
景気が悪く主人の収入が減り、外食や旅行などのレジャー、被服代など我慢することが多くなってきました。もう少し育児が落ち着いたら私も働くつもりですが、これから先、子ども達の教育費などもかかってくるのでこのままでは貯蓄も足りなくなるのではと心配です。家計のどこを見直せば貯蓄額が増やせるでしょうか? また、支出の中でも住宅ローンの金額がもう少し抑えられたらなと思っています。住宅ローンの見直しの仕方についてもアドバイスよろしくお願いします。
【プロからの回答です】
貯蓄もしておられますが、毎月の赤字はなんとか避けたいところです。節約も頑張られているようですが、家計調査(平成24年度)と比較してみると、平均値より支出額がまだ上回っているようです。すべての項目を我慢するのはストレスが溜まりますし続きません。譲れないものを決め、それ以外の項目で4万円を目標に減らしていきましょう。
住宅ローンが収入のうち、4割近くを占めているのは確かに負担です。住宅ローンの借り換え作業は労力と時間がかなりかかり大変ですが、実行できれば効果があるので、腰を据えていくつかの金融機関に借り換えの申請をしてみましょう。いっぺんにやってしまうほうが、そろえる書類は同じようなものなので、効率が良いです。
(※詳細は以下をご覧ください)
住宅ローンの借り換え
住宅ローンが収入のうち、4割近くを占めているのは確かに負担です。住宅ローンの借り換え金利を見てみると、10年固定の金利で1.24%なんていうものもあるようです(2013年2月末日時点)。全期間固定金利のフラット35でも2%前半です。手数料はかかりますが、1.24%で実行できれば毎月の返済額は106,490円+修繕積立金・管理費となり、月々3万円程度、余裕が生まれます。しかし、自営業で収入も下がってきているとのことから、借り換えが実行できるかどうかはわかりません。まず今借りている金融機関に、金利の引き下げができるかどうか相談してみるといいでしょう。
借り換え作業は労力と時間がかなりかかり大変ですが、実行できれば効果があるので、腰を据えていくつかの金融機関に借り換えの申請をしてみましょう。いっぺんにやってしまうほうが、そろえる書類は同じようなものなので、効率が良いです。
生活費の見直し
貯蓄もしておられますが、毎月の赤字はなんとか避けたいところです。節約も頑張られているようですが、家計調査(平成24年度)と比較してみると、平均値より支出額がまだ上回っているようです。すべての項目を我慢するのはストレスが溜まりますし続きません。譲れないものを決め、それ以外の項目で4万円を目標に減らしていきましょう。
減らしにくい教育費
高校までは生活費の中でやりくりしていくとしても、大学に進学する場合は資金準備が必要です。現在の教育費4万5,000円の内訳は、ご長男の幼稚園代3万1,000円と習い事代1万4,000円(ご長男のスイミング、サッカー、英語、ご次男の体操)とのことですが、英語に水泳にサッカーと好きなものをやらせてあげたい気持ちはよくわかります。教育費は削りにくい出費ですが、大学まで行かせたいと考える場合、今は教育費を貯めていく時期です。また、お子さんが小さいうちの方が教育費も貯めやすいものです。家計と相談し、子どもが一番楽しんでいるものはどれか、適性をきちんと見極めて絞っていくようにしましょう。
お子さん2人が私立の大学へ4年間自宅から通うことを想定して作成した教育費の充当の仕方は下記の通り。学費の補完に日本学生機構の奨学金(月5.4万円)を貸与してもらったと仮定します。
貯蓄:80万円
児童手当:1万円×12カ月×9年=108万円
奨学金:1年間貯めて翌年の学費に充当することにします。
貯蓄50万円
児童手当:1万円×12カ月×12年=144万円
奨学金:1年間貯めて翌年の学費に充当することにします。
文部科学省の「私立大学等の平成23年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、入学金約28万円、授業料+施設設備費約105万円となっています。奨学金を借りたとしても、2年目で貯蓄は底をついてしまいます。
そこで、生活費の見直しで浮いた4万円の中から1万円ずつを児童手当とは別に18歳まで貯蓄をし、奨学金を借りた場合、以下のようになります。
実際には学費のほかに、書籍代や通学代がかかってくるでしょうから、これくらいの余裕は持っておいたほうがよいと思います。
今回は貸与型の奨学金で試算しましたが、最近は給付型の奨学金も増えてきています。なかには、入試前にエントリーする奨学金もあるので、入試の情報と同時に奨学金の情報を得ることをお勧めします。
貯蓄について
自営業の場合、定年がないのでいつまでも働くことができる点がメリットですが、ボーナスもありませんから、月々の収入から計画的に貯蓄をしていきたいですね。急な事故や病気のことも考えて、常に生活費の半年~1年分くらいの貯蓄はもっておきたいところです。
生活費の削減で4万円が浮かせられたとして、すでに教育費用として2万円が充てられてしまいますが、それでも養老保険と合わせて3万円は貯蓄できる計算になります。
現状では大きなレジャーに掛ける費用や、お子さんを私立の学校に通わせたいなどの希望がある場合、もしくは住宅ローンや生活費の削減がうまくいかなかった部分は、奥様が働いて補う覚悟が必要になります。最低限必要な生活費を見極めて、ご主人の収入減に対して、奥様がフォローしなければいけない金額はいくらか、定期的に確認していきましょう。
奥の手あり…?
2015年末までに贈与される必要がありますが、アベノミクスの政策のひとつで、祖父母から孫への教育資金援助が1,500万円まで非課税とする法案が出ています。(もともと110万円までは贈与税はかかりません)。安易に使える手ではありませんが、ご両親がご健在でかつ生活に余裕があるようであれば、先々に使う教育資金等の援助を今のうちに相談しておくという奥の手を使ってみるのもひとつの策かもしれません。
<著者プロフィール>
(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー 内田まどか
「万が一」のためだけではない、生きていくための保険の入り方から、住宅取得、転職、早期退職など、夢や希望を叶えるためのライフプランニングなど、シミュレーションを活用してアドバイス。個人相談を中心に活動している。