ここ数年、再び注目を集めている怪談やホラー。怪談イベントが各地で行われ、2025年に公開されたホラー映画『近畿地方のある場所について』は、興行収入15億円を突破する人気ぶりだ。SNSでも、誰かの“ちょっと怖い”が「わかる……」「これ私もある」と共感を呼んで話題になることが多く、怪談はむしろ自分の気持ちをそっと代弁してくれるフォーマットとして浸透しつつある。

連載『本当にあった…読者の実話怪談・奇談』は、マイナビニュース会員や読者から寄せられた「実際に体験した怪談・奇談」をもとに4コマ漫画化。背筋が寒くなる瞬間、誰にも信じてもらえないような不思議な出来事を“物語”として再現する(一部変更の可能性あり)。今回お届けするのは、「旅館の騒音」の体験談。

読者の“ぞっとする”体験談「旅館の騒音」

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    読者の“ぞっとする”体験談「旅館の騒音」

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古い旅館に泊まった夜のこと。隣の部屋から、断続的に奇妙な音が聞こえてきた。

「ドドン……」

「はは……」

「ガシャ……ボォー……」

太鼓のような音、笑い声、何かを倒す音。眠れないほどの騒音に、男性は苛立ちを隠せない。

「隣、うるさすぎだろ……」

「この時間に宴会? 非常識すぎる……」と女性も同意する。

業を煮やした男性が、女将に苦情を伝えに行くと、返ってきたのは思いもよらぬ言葉だった。

「宴会ですか? 本日は、ほかにご宿泊のお客様はいらっしゃいませんが……」

その夜、泊まっていたのは自分たちだけだった――

旅館やホテルといった宿泊施設は、非日常の空間であるがゆえに、音や気配が強調されやすい。

特に古い建物では、壁の反響、配管の音、風の通り道などが重なり、“誰かがいるように感じる錯覚”を生むこともある。

説明できる現象かもしれない。それでも、「いるはずのない隣室から聞こえた生活音」は、宿泊客の記憶に強く残り、やがて怪談として語り継がれていく。

旅先の夜、音だけが先に“誰かの存在”を告げる――そんな不安が、この体験談には確かに刻まれている。


怪談は単なる“怖い話”にとどまらず、日常の不安や人間関係の機微を映し出す鏡でもある。近年はSNSで誰もが身近な「小さな怪談」を共有できるようになり、怖さよりも“共感”が広がる場面が増えた。今後も、私たちの生活の中に潜むささやかな違和感や心の揺れを、怪談というフィルターを通して見つめ直す機会が増えていくのかもしれない。

調査時期: 2025年7月25日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 300人
調査方法: インターネットログイン式アンケート