健康管理の一環として関心が高まっている「腸活」。バランスのよい食生活や適度な運動など腸内環境を整えることによって、体調や肌、ダイエット効果が期待できます。
今回、マイナビニュース会員に「腸活をしていますか(していましたか)?」と質問したところ、約6割が「はい」と回答。また、「はい」と回答した人に腸活方法について聞いたところ、「腸に良い食事をする」「ストレッチや軽い運動をする」「腸マッサージ」「腸活サプリ」などの回答がありました。しかし、「そもそも何から始めたらいいのか分からない」「この腸活方法で合っているのか」など、悩みを抱える人も多いようです。
そこで今回は、マイナビニュース会員から腸活に関する悩みを募集し、高座渋谷つばさクリニック院長の武井 智昭先生にお答えいただきました。
腸活に役立てようと、長期にわたりウォーキングとマッサージをしています。50歳を過ぎたころから体力の衰えを感じ、時間を短くしたり休む日が出るようになり体調が悪化してしまうのではと不安です。 (男性/53歳)
ーー腸活に運動は効果的なのか、教えてください
武井先生:運動と腸活を両立させることによって、両者のメリットをより伸ばしていくことが可能です。腸活を継続し腸内の細菌バランスを変化させることにより、消化機能である腸のぜん動運動を促すことができます。また運動面では、腹筋の増加や全身の代謝を改善させることにより、同じく腸のぜん動運動を促すことにつながります。
腸のぜん動運動が悪化すると腹痛・便秘の原因となり、善玉菌が減少してしまいます。運動が少ないと便秘は更に悪化し、悪玉菌のバランスが優位となります。悪玉菌が優位になると腸内環境の悪化につながり、代謝機能や免疫機能などが低下してしまいます。
こうした状態から、腸のぜん動運動を促す"腸活"を"運動"と組み合わせることが重要と言えます。
ーー具体的にどのような運動が適していますか?
武井先生:腸のぜん動運動を促すには、身体への負荷が大きすぎない適度な運動を、持続的かつ定期的に実施することが効果的です。特に腹筋など、筋肉を収縮させる運動がおすすめです。おなかへの血行がよくなり、胃腸の機能を維持してぜん動運動を維持・活発にすることにつながります。
また、20分以上の有酸素運動(心拍数が100-120/分程度の軽い負荷となるもの)で、少しつらいと感じるレベルの運動もよいでしょう。20分程度の長い時間の早歩きやウォーキング、ランニングは有酸素運動としてダイエットや美容を含めて効果的であります。
運動時のポイントは、筋肉を使用することです。腹筋を使うこと、ひざからくるぶしまでの筋肉をしっかりと上げることなどを心掛けてください。便を押し出す機能がある腸腰筋も鍛えられることにより、便秘の改善(便通改善)につながります。
また上記の運動に加え、腹筋を使う軽いエクササイズや体操も併せて行うことを推奨します。腰をひねるストレッチ、両足を広げたスクワット、椅子に座った状態や寝転んだ状態でおなかをひねるといった筋肉の運動も、筋力アップや腸管機能の維持としては重要です。
こうしたストレッチは、呼吸を意識して行うヨガをイメージして行ってください。ゆっくりと呼吸をしてリラックスをすることにより、腸管の動きが活性化します。そして息を吐き出すことを意識するため副交感神経が刺激され、腸の働きを改善していきます。
休憩中や自宅のスキマ時間でもできますので、こうした運動を実施してみるとよいでしょう。
一方、サッカーやバレーボールなどの試合、過度な短距離走などのアスリートとしての運動負荷、過度な筋肉トレーニングなど、ハードなトレーニングは腸活には逆効果になってしまうので注意してください。
ーー効果を出すための適切な運動量を教えてください
武井先生:腸活の効果を出すには、ある程度の継続した運動時間が必要です。有酸素運動を脂肪燃焼や筋力アップにつなげるには、週2回以上、1回20分以上の運動の継続が推奨されます。可能であれば、週3~4回程度、身体に負担にならないレベルで運動を継続し、強度は上げないことを意識してください。
監修ドクター: 武井 智昭先生
2002年慶應義塾大学医学部卒業。慶応義塾大学病院研修医、平塚共済病院 内科・小児科医長、神奈川県内のクリニックを経て、2017年なごみクリニック院長、2020年高座渋谷つばさクリニック院長(内科・小児科・アレルギー科)
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