健康管理の一環として関心が高まっている「腸活」。バランスのよい食生活や適度な運動など腸内環境を整えることによって、体調や肌、ダイエット効果が期待できます。

マイナビニュース会員に「腸活をしていますか(していましたか)?」と質問したところ、約6割が「はい」と回答。また、「はい」と回答した人に腸活方法について聞いたところ、「腸に良い食事をする」「ストレッチや軽い運動をする」「腸マッサージ」「腸活サプリ」などの回答がありました。しかし、「そもそも何から始めたらいいのか分からない」「この腸活方法で合っているのか」など、悩みを抱える人も多いようです。

そこで今回は、マイナビニュース会員から腸活に関する悩みを募集し、医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センターの中路 幸之助先生にお答えいただきました。

食事には気を付けていますが、効果的な腸活方法を教えてほしい(女性/31歳)

中路先生:腸内には100兆個以上の様々な細菌が生息しており、細菌を顕微鏡で拡大して観察するとお花畑のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。それらは善玉菌、悪玉菌、日和見菌の大きく3種類に分けられています。

たとえば、舞台役者でいえば「主役」「悪役」「エキストラ」にあたります。「主役」は重要ですが、「主役」を引き立てるためにも「悪役」や「エキストラ」の存在も舞台演出には必要です。善玉菌 20%、悪玉菌 10%、日和見菌 70%という理想のバランスを保つことが、腸内フローラを整えることに重要と言われています。細菌の「お花」をそだてるには、プロバイオティク(納豆、ヨーグルトなど乳酸菌など体に良い善玉菌を含むもの)、プレバイオティクス(ゴボウ、オクラなど食物繊維やタマネギ、バナナなどのオリゴ糖など善玉菌のエサになるものを多く含むもの)が必要です。

また、最近は「プロバイオティクス」「プレバイオティクス」の2つを組み合わせたシンバイオティクスがあります。腸内フローラを整えることで腸の運動が活発になり、便通を整えることにつながるといわれています。

近年、腸内環境を整える“腸活”が注目されています。腸活は生活習慣を見直してみることが重要です。それは「食事、運動、睡眠」です。食物繊維を豊富に食べましょう。大腸内視鏡検査をしているとキノコなどの食物繊維が多いものは、そのままの形で観察されることがあります。このように食物繊維は消化されなくそまま腸に届き、便を形成したり、腸内細菌のエサとなって腸内環境を整えたり、腸活にとってなくてはならない栄養素です。

また、便の形成に水分は不可欠です。こまめに水分をとりましょう。朝起きたら水分をとることで腸の蠕動が盛んになり、排便がうながされます。マラソンランナーは「ランナーの下痢」といわれ便秘に困らないそうです。腸の周囲の筋肉を刺激する適度な運動を行ない、便を排出する、腸のぜんどう運動を促しましょう。トイレで本を読んだりリラックスしているときに便がよくでることはよく経験されます。これは副交感神経が優位な状態です。睡眠時間は副交感神経が優位になる状態です。腸が活発に動くのは副交感神経が優位になっている状態のときです。十分な睡眠をとることで、腸の活動をうながすことができます。腸内細菌を知り、正しい腸活をこころがけましょう。


調査時期: 2022年10月14日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 1002人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

監修ドクター:中路 幸之助先生

1991年兵庫医科大学卒業。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医/日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医


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