前回は、企業の機能はイノベーション(新規事業)とマーケティング(既存事業)でありその両立はとても難しいことをお伝えしました。だからこそ我々は、【守・破・離】を徹底し、「イノベーティブ」な働き方を推進するべき、と記しました。

  • イノベーティブな働き方とは?

5W1Hで考える

今回は実際にどのようにして「イノベーティブ」に働いていくのか、について、以下の5W1Hで考えてみます。

Who)イノベーターはどんな人物か?
Why)イノベーターはなぜイノベーションを起こすのか?
When&Where)イノベーターはいつどこで思いつくのか?
What)イノベーションのもとになるコトは何か?
How)どうすればイノベーションは磨かれるか?

イノベーティブな働き方を実践する人を、ここでは便宜上イノベーターと呼びます。ただ、イノベーターという言葉は、既にイノベーションを起こした人、というイメージを持つために、注意が必要です。

ここではイノベーターをイノベーティブ、つまり革新的に働く人、とおきます。イノベーターは一部の特別な人たちではなく、誰しもがイノベーターになり得ると考えます。

では早速、Who、イノベーターのイメージの共有から始めましょう。

イノベーターを3つに分類

イノベーターをヨソ者・バカ者・若者と分かりやすく表現してみました。まずヨソ者をイメージしてみましょう。

ヨソ者は、ヨソから組織に参加した人で、当該組織での成功体験を積んでいません。このことはイノベーションを起こすうえで有利に働きます。成功体験は人を縛ります。成功が続くとどうしても守りに入ってしまい、行動を邪魔する壁ができてしまうのです。ヨソ者は、ヨソ者であるがゆえに、壁をひょうひょうと乗り越えていくでしょう。

次にバカ者について考えます。この場合の「バカ」は、知識が足りないとか、理解度が足りない、ということではありません。何かに熱中するあまり他者への配慮が欠如しがちな人や、不器用なあまり一つの道を歩き続ける人がイメージに近いです。

一つのことに没入するあまり、修行僧のような雰囲気を醸しだしている人です。周囲から浮いてしまっている人こそ、独善的かつ独創的なことを考え出し、イノベーションをおこすともいえます。

最後は若者です。単に年齢が若いのではなく、組織の中での在籍年数が短い人たちをイメージして下さい。若者は、勤務経験が浅いため、現在の事業を推進するためのさまざまなシステムや評価基準、そして暗黙のルールなどに染まっていません。経験を積んでいない分だけ、新鮮なものの見方・考え方ができます。

素朴な疑問・質問を投げ続けていくと、相手には大きな気づきが生じることがあります。若い感性は、組織にとってイノベーションを起こす触媒になり得ます。

皆さんは、組織に参加して日が浅いことをふまえると、ヨソ者、若者の部類に含まれます。バカ者的な何かしらのこだわりを持っている人もいるでしょう。すでにイノベーティブに働く条件を充たしているといえます。

楽しむ姿勢を大事に

私は、仕事柄、数百人に及ぶイノベーターに会ってきました。彼らの共通項にエネルギッシュで楽しそう、ということがあります。

インタビューの際、一つの質問に対して豊富な語彙を使い、長い時間をかけて答える人が多く、語尾は明瞭で論理は明快、ある種のウィットが込められていました。

比較的通った声で話すことも共通項です。そして、そのエネルギーたるや膨大です。どんどん前に進んでいく。イノベーターの方々の熱量にあてられっ放しでした。

また、もう一つの共通項が「楽しむ姿勢」でした。全員、とにかく楽しそうなのです。イノベーションは、成功する保証はどこにもありません。むしろうまくいくほうがまれです。

にもかかわらず、彼らはとても楽しそうでした。先行きの厳しさを楽しんでいるようにすら見えました。自分が進めてきたイノベーションに関しては、「こんなご機嫌なことはない」という人ばかりでした。

イノベーティブな働き方が楽しいのか、楽しそうに仕事をすることがイノベーティブにつながるのか、もしかしたらその相互作用かもしれませんが、とにかくイノベーターはエネルギッシュで楽しそうでした。

青黒人材を目指す

イノベーティブに働く前提として、「志」は必要と考えます。イノベーターの志は強い。志のレベルは高低で表されるのが常ですが、イノベーターの志は強弱が相応しい。

「私がやらなければ、いったい誰がやるんだ」といった自らに課した無限義務のような強い信念を、ほとんどのイノベーターから感じました。

ただ、組織に参加して日も浅い皆さんに、「強い志」を持てと言われても戸惑ってしまうでしょう。必要なのは【Woll/Cam/Nust】のWillです。自分がやりたいことの中に、志は含まれているはずです。

余談ですが、2012年にリクルートワークス研究所が、「事業創造人材の創造」という研究を行いました。事業創造人材はここでいうイノベーターにあたります。

それによると、事業創造人材とは「青黒人材」だそうです。青臭い志と腹黒いビジネスマインド、その両方をあわせ持つ人を表した言葉で、非常に分かりやすい。皆さんにあるちょっとしたWillを志に見立てて、常に意識して大切に育んでみてください。

執筆者プロフィール : 井上功(いのうえ・こう)

1986年リクルート入社、企業の採用支援、組織活性化業務に従事。2001年、HCソリューショングループの立ち上げを実施。以来11年間、リクルートで人と組織の領域のコンサルティングに携わる。2012年より現職。イノベーション支援領域では、イノベーション人材の可視化、人材開発、組織開発、経営指標づくり、組織文化の可視化等に取り組む。