「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第151回のテーマは「全然学校行く準備をしない息子対策」です。

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夏が近づいてきましたね。我が家は、保育園から小学校への新生活にもやっと慣れてきたところです。

小学生になって一番変わったのは、朝の時間帯です。息子も遅刻はしたくないし、新しいタスクに追いつこうと必死でした。なので、親も子も一緒に頑張っていました。ですが……だんだんと慣れてくると、朝の支度を全然したがらないようになりました。

時間になって、「そろそろ用意をする時間だよ」と教えてもやりません。口で言うだけだからダメなのかなあ? と、まずは可視化するために、「この時間になにをする」と書いた表を作ってみました。具代的に時計が何時を示したら何をするか、ということがわからないのが、やりたくない原因なのかと思ったからです。

それを見た息子は、「よくわかった! 」とは言ったものの……。相変わらず朝の支度はやらないまま。なぜ?! 朝のタスクにはタイムリミットがあるので、ついつい「早くしないと遅刻しちゃうよ」と急かしてしまいます。親に急かされると、息子はゴネはじめて、コミュニケーションが殺伐とします。

じゃあ、自分のペースでやらせてみるかと待ってみても、一向にやる気配がない。「ええっじゃあ本気で遅刻する気なの? 」と、こちらの言葉が強くなる。そうするとさらに息子がゴネる。結局、「もー! いい加減にしなさい!! いいからランドセル背負って靴を履いて! 」となってしまう……。毎朝子どもを送り出す頃にはヘトヘトになっていました。

私はこういうコミュニケーションが、すごく嫌なのです。パートナーは大きな声を出したりすること自体はあまりストレスではないらしく、「小学生の親なんて、こんなもんでしょ」と問題にしていませんでした。

まあ、たしかに私自身が小学生の頃を思い出しても、母親にガミガミ言われていました。その当時の思い出を振り返っても、別に嫌ではなかったな……。子どもって意外と母親のガミガミを受け流しますよね。私自身が結構受け流しタイプだったので、多少ガミガミ言われるくらいは問題ないのだと思います。

ただ、私自身はガミガミ言うのがすごく嫌なのです。パートナーが子どもに大きな声を出すのも嫌です。それをいかにやらないようにするか、ということを日々話し合っているので、それを私自身がやったら元も子もない……!

私は、「子どもにとっては大人は強者である」ということをいつも意識しています。パートナーがたまにそれを忘れてしまっているから、子どもに対して大きな声を出したりすることに躊躇がないのでは? と感じることがありました。

「常に、相手よりも自分が強者であると自覚して」という話をパートナーにはしているので、自分自身もそう意識することが多いのだと思います。パートナーの態度に関しては夫婦でよく話し合って、改善してきているところなので、私がガミガミと口調を荒くして息子に「言うことを聞かせる」というのは、やっちゃダメだし、やりたくないのです。

さて息子は、なぜ帰宅後は決められたタスクができるのに、朝はできないのでしょうか。一番考えられるのは、「学校に行きたくないから」です。聞いてみると、決して「授業が楽しい」とは思っていないということでした。でも、毎朝一緒に学校まで行く近所のお友達もできて、帰ってきてから話を聞くと学校は楽しそう。なので「学校に行きたくない」わけではない。

そして「約束事を守りたい」タイプの本人の性格からして、遅刻は嫌だろうなと思い「遅刻したらどう思う? 」と聞くと、やっぱり「遅刻はしたくない」というのです。学校に行きたくないから毎朝支度をゴネているわけじゃない……。

そこでやっと、「あ! 保育園時代みたいに、毎朝お母さんに荷物を用意してほしいのでは?! 」と思い当たりました。

私は保育園時代は全部支度をしていましたし、その他のこともゴネられると「しょうがないなあ」と言って、やってしまうことが多いのです。たとえば、使ったものを片付けるとか、使うものを持ってくるとか、息子に「やって」と言われると「はいはい」とやってしまうタイプです。これについては、パートナーに「成長に合わせてもっと本人にやらせないと」と指摘されています。なので、小学生になったら朝の支度は本人にやらせる、ということを厳守していました。

もしかしたら、息子は「朝ゴネていたらお母さんが支度してくれるのでは」ということを期待しているので、支度しないのかも? そこで試しにパートナーに朝の支度を促す役を変わってもらったら……あっさり解決したのでした! これは私と息子の関係性に要因があったということです。「お父さんはゴネても言うことを聞いてくれない」ということを、息子はわかっているんですよね。

パートナーには「息子の押しに弱いからこんなことになるのだ」と、たしなめられました。やるのとやらせるのだと、やらせるほうが大変なことが多いんですよね……。でもいつまでも赤ちゃんではないので、成長に合わせて頑張ってやらせないとスキルがつかない。だから頑張って「やらせないと」いけない。

過度に怒らず、過度に手伝わず、いいバランスで「やらせる」のって、本当に大変ですね……! この先も問題の原因を追求しつつ、ガミガミ言わずにスムーズにコミュニケーションできるようにがんばります。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。