「自分のお店を開業するために準備を進めています。しかし、会社員時代に貯蓄したお金を切り崩して生活していることに不安を感じています。」という独身女性(41歳)からの相談です。今回は、AFP資格を持つ女性のお金の専門家・矢野舞美さんがアドバイスします。

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◆相談者さんのプロフィール

相談者

さゆりさん(仮名/女性/41歳/パート)

◆お悩み

自分のお店を持つことを目指し、会社員を退職。開業したい事業と同業種のパートで働きながら、現在は修行をしています。会社員時代より収入が減ることはわかっていました。独身なので贅沢もせず生活できていると思っています。

ただ、なにかと出費も多く貯蓄が増えません。お金が減るばかりで不安を感じています。 お店の開業準備もしているので、家計のやりくりまで手が回りません。どうしたら良いのでしょうか?

◆さゆりさんの家計収支

収入

手取り:16万円

支出

支出合計:16万円

現在の貯蓄額

普通預金:560万円

普段のお金の流れ

上記の表は、収入、支出ともに16万円となっています。

不意な出費がある月は、貯金を切り崩しています。そのため、単発でアルバイトをすることもあります。毎月の収支に増減があるものの、支出の方が多くなりがちで、貯蓄額が会社退職後より減ってしまっています。

◆FPからのアドバイス

店を構えて開業するのであれば、生活の安定は最大の課題です。開業後も当面の生活費と運転資金が必要です。開業後の経営が安定するとは限りません。

ですので、経営が軌道に乗るまでの生活費と運転資金は最低でも6カ月程度確保していると安心ですね。

アドバイス1: 生活費と運転資金を確保する

まずは事業計画書を作成して、具体的に何にどのくらいの金額が必要になるか把握します。売上目標を設定し、店舗の家賃や材料費、広告宣伝費、保険料などの運転資金を計算します。それとは別に生活費を確保しましょう。

現在、支出が収入より多くなってしまう月があります。生活費に浪費がないか振り返ると意外な落とし穴が見つかり貯蓄に回せるようになります。細かい支出について不明な点があるので、レシートやカード明細など保管し、振り返るクセをつけましょう。

アドバイス2: 副業で収入アップ

スキルアップのために同業種で働き、生活を切り詰めてがんばっていらっしゃいますね。 しかし、運転資金や生活費を確保できなければ開業の夢は遠くなっていくばかりです。たった一つの収入源にこだわらず収入の柱を増やすことも視野に入れ、収入アップを目指しましょう。

例えば、SNSの運用代行はスキマ時間で働いて収入を得ることができます。

今後、ご自身の店舗の広告宣伝としてSNSも活用されるのであれば、SNS発信のスキルを身につけて広告宣伝費を抑えることもできるので一石二鳥です。

このように店舗開業に向けて必要なスキルを得て、さらに収入を増やす働き方へシフトしていきましょう。

アドバイス3: 支援を受けて資金調達も

開業するための資金を、ご両親や親類から贈与として受けとることも考えましょう。自己資金を増やすことで融資も受けやすくなります。ただし、贈与を受ける場合、贈与された金額が非課税枠の110万円を超えると贈与税の課税対象となる ので注意が必要です。

また、起業を支援する国や地方自治体の資金調達制度の利用や、補助金・助成金などを活用する方法もあります。

自己資金が確保でき生活費や運転資金に見通しがたてば、後は具体的な戦略に基づいて店舗経営を進めていけそうですね。

◆相談者からの感想

開業資金や運転資金など必要なことはわかっていたのですが、具体的に数値化まではしていませんでした。開業するという「夢」を、具体的な計画書まで落とし込んでいませんでした。家計改善や事業計画作成のサポートもお願いしたいと思っています。今後ともよろしくお願いします。