そこだけ昭和の世界が濃厚な店構え。でも、意外と通りの風景に溶け込んでいるかも

駄菓子を味わいながら酒を飲む。そんな夢を抱いている大人たちにとって、天国のようなお店があります。駄菓子はなんと食べ放題。さらに懐かしの料理もそろっていると聞けば、一度はのぞいてみたくなることでしょう。お店の名前はズバリ(これも昭和な言葉だ)「駄菓子バー」。都内に6店舗ありますが、今回は、2007年4月にオープンした三軒茶屋の「さんちゃ駄菓子バー」におじゃましました。

■さんちゃ駄菓子バー
住所 世田谷区太子堂4-22-14
営業時間 18:00~5:00(月曜~土曜)、17:00~24:00(日曜、祝日)無休

狭い路地にあるという立地もナイス

三軒茶屋のシンボル、キャロットタワーにほど近い、すずらん通り。三茶をご存知の方なら、この飲食店が立ち並ぶ狭い通りの、どこか懐かしい雰囲気が思い浮かぶはず。「さんちゃ駄菓子バー」にぴったりの通りと言ってもいいでしょう。店構えは、しばし鑑賞したくなるほど。赤くて丸い昔のポスト、木の電信柱、ホッピーと書かれた赤ちょうちん、レトロな引き戸。じっくりその雰囲気を堪能してから店内へ入りましょう。

細部にまでいろいろなこだわりが感じられるので、ゆっくりと内観も楽しみたい

古いのだけれど、眺めていると新しくも感じられる昔のデザイン

もちろん、店内もお見事(?)と拍手したくなる昭和っぷり。入口の左手は「たばこ屋」さん。「あっあった、おばあちゃんがいるこういうたばこ屋」と感慨に耽るのは、何歳以上になるのでしょうか。とにかく、古い住宅を思わせる凝った内装や、レトロなチラシなどは、わたしたちを古き良き時代へ一瞬で引きこんでしまいます。

奥の方には「松の湯」ののれんがかかっていて、さらに「混浴」ののれんが。くぐってみると、まさにそこは銭湯、ではなく、テーブル席が並んでいるのですが、本当に銭湯だったのでは? と思ってしまうほどです。古びたタイル壁、大きな鏡……、いい雰囲気がかもし出されています。

実際に訪れてみると、混み合う店内をあんまり歩き回るのもどうかとは思いますが、迷惑にならないようにあちらこちら見てまわりたくなります。それくらい店内は「見応え」があるのです。

松の湯ののれんをくぐった奥の空間は……。見事に再現された昭和の銭湯だった

「トリスを飲んでハワイに行こう」という懐かしいコピーが思い出される(ある年齢以上?)

駄菓子はもちろん、料理も酒も

さて、お店の楽しみは、もちろん駄菓子。その数は100種類以上! うまい棒 / すこんぶ / モロッコヨーグルト / ココアシガレット / ふがし / きなこ棒……、とどれから手を出していいのかわからないほど。でも食べ放題ですから、心置きなく贅沢に楽しみましょう。これこそ究極の大人食いです。少ないお小遣いで「今日はどれにしようか」と迷いながら選んでいたあの日を思い出すと、「大人になってよかったぁ」と心の底からヨロコビが湧きあがってくることでしょう。

駄菓子のコーナー。馴染みのあるものもないものも、少しずついろいろ試してみたい

一番人気の駄菓子は「うまい棒」。これでビールというのもちょっとクセになりそう

好みの駄菓子をカゴに取ってテーブルへ。それぞれの駄菓子に、人それぞれの思い出が詰まっているはず

ドリンクを注文すれば駄菓子は食べ放題、というのもすごいのですが、料理の充実ぶりにもすぐ気がつくはず。こちらも懐かしのメニューが人気です。あげぱん / ハイカラコロッケ / ハムカツ / 昔ながらのソース焼きそばなどだけではなく、オイルサーディン / スモークドオイスターなどの缶詰の逸品が用意されているのもシブイ。

さらに酒好きなら「ウム」と唸るアルコールのラインナップも要注目です。最近大人気のホッピーやハイボールはもちろんですが、ビール / サワー / 日本酒 / 本格焼酎からワイン / ウイスキー / バーボン / ジン / ウォッカ / ラム / そしてカクテル類がそろっていて、こちらも存分に楽しめます。お店おすすめの、珈琲焼酎 / ラムネサワー / 元気ハツラツサワーなどを味わうもよし、お好みのアルコールと駄菓子の相性を確かめてみるもよし、いろいろと試してみることができますよ。

客層は20代から50代と幅広く、男女比は半々くらいとのこと。2人組みで来店するお客さんも多いそうです。駄菓子を味わい、昭和の世界を満喫できる「駄菓子バー」。あなたなら、誰と行きますか?