単に「外国株」とだけ聞くと、海外の証券会社に口座を開設しなければならない、英語が理解できないと投資できないのではなどと考えてしまう人も多いだろう。しかし最近では、国内証券会社の多くが米国株や中国株などの外国株を取り扱っているため、比較的簡単に海外の株を購入することができるようになっているのだ。そこで今回は、外国株の魅力について解説していく。

主な登場人物

舞込さとし(32歳)・まゆみ(28歳) 結婚3年目に突入した舞込夫婦。そろそろ子どもも欲しいけれど、お金もかかるし面倒か……と、ついつい会社以外ではぐうたらと過ごしてしまう2人。

マイカブ君(年齢不詳) 舞込夫婦のパソコンから突如として現れたネット株の妖精(?)。ネット株の便利さを伝えるために奔走しているが、お化けと間違えられる日々。

※この物語はフィクションであり、実在の人物、団体とは関係がありません。

リスク分散にも有効な外国株に注目してみよう!

夜間取引や信用取引、ETFなどの新しい取引方法、国内の金融商品を利用してのアクティブな運用を目指す舞込夫婦。最近は、日本国内に限らない世界的な金融市場の混乱が続いているため、海外のニュースなどもこまめにチェックするようになっていた。そこで今回は、しっかり勉強している様子の2人を見て、マイカブ君が「外国株」について新たに教えてくれることになった。まずは海外の有名企業の株を購入でき、分散投資にも役立つ外国株の魅力について学んでみよう!

まゆみ~、アメリカの大統領選も終わって、金融市場も安定するかと思ったけど……。

相変わらず、日経平均の動きは微妙なままなのよねぇ……。

そうなんだよ。買いのチャンスとはいえ、国内の金融商品だけに注目していていいのかなぁ?

ETFを利用して、金でも保有しておいたほうがいいのかしら?

分散投資としてロシアや中国の株価指数に連動するETFを買うって手もあるよね!

うーん、ほかに方法はないものかしらねぇ。

感心、感心。2人とも、だいぶ勉強しているみたいだね!

あ、マイカブ君! マイカブ君はどっちの意見に賛成?

そうそう、マイカブ君の意見を聞かせてよ!

投資は自己責任カブ。だから、どっちがいいとは言えないけど、ほかの選択肢について教えてあげることはできるよ~!

ほかの選択肢……? やっぱり投資信託とか?

手堅く債券関連の商品とか?

残念ながら、今回は「外国株」について勉強してもらうカブ~!!

外国株!? 海外に行って株を買えってこと!?

僕、日本語以外は自信ないなぁ……。

またまた残念。外国株は、国内の証券会社でも取り扱っているから、わざわざ海外の証券会社に口座を開設する必要はないし、英語が話せなくても取引はできるよ!

でも、外国の企業なんて国内よりわからないことだらけよ?

それはどうかな? まゆみでも、コカ・コーラやマクドナルドとなれば、わかるでしょ?

あ、そうか。IBMやマイクロソフトもアメリカの企業だね!

ナイキやスターバックス、アップルコンピュータなんかもそう?

大当たり! ほら、日本でも有名な企業ばっかりカブ!

でも、外国株ってアメリカだけじゃないよね?

ほかにはどんな国の株が買えるのかしら?

取り扱い銘柄や銘柄数は証券会社によって異なるけど、基本的にはアメリカの銘柄がメインかな。そのほかにもオリンピックで注目された中国株なんかもあるよ!

アメリカや中国だけなら、外国株といっても範囲は絞られるってことよね?

銘柄数も限られているなら、初心者でもわかりやすい企業ばかりってことかなぁ。

う~ん、範囲が絞られるとは言っても、証券会社によって約100~600銘柄と取り扱い銘柄数に幅があるから、それなりに情報収集が必要だよね。あと、ADR銘柄もあるから、アメリカや中国だけとは言い切れないかな?

そのADR銘柄ってなんだろう?

また、なにかの略よね。

そう、ADRというのは米国預託証券(American Depositary Receipt)の略称カブで、アメリカの市場でアメリカ以外の外国企業の株式を流通させるために発行される証券のことなんだ。とはいえ株式と同様に売買できるものだから、アメリカを経由してインドやロシア、フランスなどの外国企業株を買うイメージになるかな。

なるほど~。インドやロシアの株も買えるなら、さらに投資の幅が広げられるわけだ!

外国の株なら分散投資にもなるし、魅力的よねぇ。

最近は、外国株と一緒に海外ETFを取り扱う証券会社も増えているから、国際的な分散投資という意味では注目できる金融商品でしょう?

そういえば、外国株を取り扱っている証券会社にはどんなところがあるの?

主なネット証券としては、SBI証券や楽天証券、マネックス証券があるよ!

まずは自分の口座を開設している証券会社をチェックしてみればいいわけね。取り扱い銘柄数も違うみたいだし。

その通り。証券会社によって、外国株用の口座を開設する必要性もあるから、まずは自分の利用している証券会社のホームページを確認して、他社と比較してみるといいカブ。

でも外国株となると、リスクも大きいのかなぁ……?

もちろん、国内の株式と同様に「価格変動リスク」や「信用リスク」があるのはわかるよね。それに加えて、海外だけに外国為替の変動による「為替変動リスク」や、投資先の政治、社会情勢の変動による「カントリーリスク」があることを認識しておく必要があるかな。

うんうん、投資にリスクはつきもの。そのリスクを軽減するために、しっかり情報収集をして、優良銘柄を見極めなくちゃダメってことよね!!

たまにはまゆみもいいことを言うカブ!

僕も驚いちゃったよ!!

なによ、失礼しちゃうわね。私もちゃんと成長しているのよ!

脱初心者も、もうすぐカブ~!!





予告

次回は、株や投資信託などの金融商品を運用している投資家に関係の深い「確定申告」について説明する。開設している口座や所得によっても申告の有無が異なるだけでなく、税制改正などにより年々変化する申告の詳細に関しても学んでおこう!

(イラスト : 岩井勝之)