ぐうたら夫婦のいまさら聞けない株式投資入門(13) 移動平均線の動きで「売り・買い」のタイミングを見極める!

夏のボーナスシーズンに向けて、ちょっと浮かれ気味の舞込夫婦。そんな2人を心配したマイカブ君は、テクニカル分析もまだまだ奥が深く、初心に戻るべきだと教える。そこで今回は、チャート上に表示させることができる移動平均線を利用した分析方法を解説。移動平均線と株価の関係やトレンド分析に欠かせないゴールデンクロスとデッドクロスという「売り・買い」のサインの見方について勉強しよう!

主な登場人物


舞込さとし(32歳)・まゆみ(28歳) 結婚3年目に突入した舞込夫婦。そろそろ子どもも欲しいけれど、お金もかかるし面倒か……と、ついつい会社以外ではぐうたらと過ごしてしまう2人		マイカブ君(年齢不詳) 舞込夫婦のパソコンから突如として現れたネット株の妖精(?)。ネット株の便利さを伝えるために奔走しているが、お化けと間違えられる日々

※この物語はフィクションであり、実在の人物、団体とは関係がありません。

株価の動きを予測するゴールデンクロスとデッドクロス

IPO銘柄の話を聞いてから、すっかり浮かれ気味のさとしとまゆみ。しかし、地道に勉強することを忘れないようマイカブ君から一喝され、我にかえる。安心したマイカブ君は、更なる課題としてチャートの移動平均線を利用した分析方法を伝授。2本の移動平均線を組み合わせることによってわかる「売り・買い」のサインとは?

まゆみ～、もう上場スケジュールはチェックした?

ま～だ。ボーナスにはちょっとはやいから、今までの結果を分析している最中よ!

なるほどね! 僕のボーナスがかかっているし、慎重に選ばないと～。

のん気なこと言ってないで、さとしも手伝いなさいよね? 大儲けがかかってるんだから!!

抽選に当たるように、神社でも行ってこようかな～?

まったくもぅ!

まったくもぅ! は僕の台詞カブ!

あ、マイカブ君。どうして怒っているの～?

そ～よ。ちゃんと勉強しているわよ?

勉強しているのはエライけど、IPO銘柄ばっかりにかかりっきりになってたらダメでしょ?

あら、どうせならより儲けられる銘柄に賭けたほうがいいにきまってるじゃない!

もぅ! IPOは選択肢のひとつだって言ったカブ。地道に分析することを忘れたら、投資家失格だよ～!!

そういえば……、最近ほかの銘柄をチェックしてない。

あ……、持っている株ってどうなったかしら?

ほら、手を抜いていたでしょう?

ごめんなさ～い!

たしかに……、ごめんなさ～い!

わかればいいカブ。じゃ、今日は初心に戻って移動平均線を使った分析方法を勉強しようか?

移動平均線って、チャートに表示されるものよね?

たしか、一定期間の株価の終値を平均にして、線で結んだものだっけ?

はい、正解。移動平均線はチャート上に2本表示されている場合が多くて、平均をとる期間の長さによって短期移動平均線と長期移動平均線とに分けられているんだ。

一定期間ってことは、平均をとる期間は決まってないってことなのかしら?

基本的には決まっていないし、日足や週足などのローソク足の種類によっても違ってくるけど、一般的には日足チャートなら短期移動平均線が5日、長期移動平均線25日とか週足チャートなら短期移動平均線が13週、長期移動平均線が26週という感じで使われる場合が多いかな。

なるほど。でも、短期と長期の2本必要な理由ってあるのかなぁ?

いいところに目をつけたね。というのも、短期移動平均線は平均をとる期間が短いから、ローソク足の動きに敏感に反応して、常にローソク足の近くにいるんだ。逆に長期移動平均線は平均をとる期間が長いから、ニュースなどによる一時的な上昇、下落の影響を受けにくいため、銘柄の本質を表している線として、参考にできるんだ。

なんとなくわかったけど、実際に見てみないとねぇ。

はいはい。じゃあ、SBIイー・トレード証券のチャートを表示してみようか?

まかせて～! チャート表示は得意だよ。

今回は見やすくするために、チャート画面から「多機能チャート」を選んでみようか。

あら、多機能チャートだと移動平均線が表示されていないわよ?

そう、SBIイー・トレード証券の多機能チャートは個々が見やすいようにカスタマイズできるんだ。ここではまず、上段のプルダウンメニューから「単純移動平均線(2本)」を選んで、期間のところに「5」と「25」を入力してみて。「チャート作成」ボタンをクリックすれば、反映されるよ?

多機能チャート

あ、移動平均線が表示されたね。これは日足のチャートだから、黄緑が5日移動平均線で紫が25日移動平均線になるのかな?

その通り。画面下部に「上段：SMA 5 SMA 25」って書いてあるでしょう? それが移動平均線の期間と対象となる色を表しているんだよ。

なるほどね～。で、ここまではわかったけど……。

この2本の移動平均線から何を読めばいいのかな?

はい、お待たせしました! この2本線からは、売買のタイミングを読み取ることができるんだ。

えっ、どうゆうこと?

まず、下の2種類のチャートを見てみようか。?


ゴールデンクロス(写真左)とデッドクロス(写真右)。※画面上の赤い丸印は編集時に加工したものになります。実際のチャート画面には表示されませんので注意してください

ん? 短期移動平均線と長期移動平均線がクロスしているところに印が付いているね?

そう、今回はわかりやすくするために印をつけているけど、実際には表示されないから、自分でチェックしなきゃダメだからね。

は～い! で、これは何を表しているの?

まず左の画面を見てみると、短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜けているよね?

あ、本当だ。同時に株価も上がっているよね?

そう、これは「ゴールデンクロス」って呼ばれているんだけど、これが現れると、株価が上昇する「買い」のサインって言われているよ。

じゃあ、この右側の短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に突き抜けている場合は?

これは「デッドクロス」だよ。株価が下落する可能性が高いから「売り」のサインだと言われているんだ。

本当だ～。デッドクロスの後に、株価が更に下がっているね。

うんうん。このサインを見れば、売り買いのタイミングもバッチリわかるわよね!?

ストップ!! だめだよ、まゆみ。いつも言っている通りで、値動きに絶対はないの。このゴールデンクロス、デッドクロスも目安のひとつにすぎないんだよ。しかも、移動平均線は株価より少し遅れて動くから、このサインが発生した時には、すでに株価が上昇または下落した後かもしれないんだ。

なーんだ、やっぱりね。