前回に引き続きご紹介するのは、英語環境による学童保育「Kids Duo」。グローバル社会の今、学童生活の中で生きた英語が身に付くと注目を集めている。

子どものやる気を引き出す仕掛けが随所に

大好きなスナックタイムの前には「Where are we going? (どこに行くの? )」「We are going to the bathroom.(洗面所に行くんだよ)」と英語で決まった号令をかけ、手を洗う

学童に着いた子どもたちは、まず学校の宿題を実施。15時30分になったところでスナックタイムだ。おやつが終わると机を戻し、子どもたちは一列に整列。「Who is standing nicely? (気を付けが上手にできているのは誰かな? )」と言いながら、先生は集中力が戻った子どもから席につかせていく。学習塾や幼児園なども手掛ける同社だけに、子どもたちがどうしたら楽しく気分を切り替えることができるかを知っているようだ。

15時45分頃からは、椅子に座って少しずつ英語の勉強に集中していく時間。取材日はハリソン先生が動物の写真を見せながら、「What is the color? (色は何色かな? )」「How many legs does it have? (足は何本? )」「How big is it? (大きさは? )」と問いかけると、我先にと子どもたちが手を挙げていた。正解すれば「Fantastic! (素晴らしい! )」、ちょっと間違えても「Nice try! (よく頑張ったね! )」とハイタッチ。とにかくよく褒め、子どもたちのやる気を引き出す。そして16時頃から、クラフト・音楽・ゲームなど、日替わりのプログラムへと切り替わる。

子どもの大好きな「競争」を通じて英語力アップを狙う取り組みも行われている。取材当日は、口頭で伝えられた英単語のスペルを答えるゲーム「Spelling Bee」の選抜テストが行われていた。Kids Duoでは各教室から代表者を選出し、全国大会を行って優秀者を決めるそうだ。10月にはスピーチコンテストのKids Duo全国大会が行われ、同学童保育に通う男子児童が2位を獲得している。身近な目標があるとモチベーションが上がるのは、大人も子どもも同じだろう。

口頭で伝えられた英単語のスペルを答えるSpelling Beeのテスト風景。テストの内容説明も英語で受ける

Kids Duoスピーチコンテスト全国大会で2位に輝いたのは、「Kids Duo大泉学園」に通う男子児童

月に100時間、英語のシャワーを浴び続ける

児童がKids Duoの教室にいる間、先生は全員原則英語しか使用しない。14時30分から18時30分までの平均的な利用の場合、週5日通えば月に100時間もネイティブの先生から英語のシャワーを浴びることができる。日本にいながらこれほど英語漬けの環境を整えるのは、至難の業だ。月謝は週2日利用の3万円から週5日の6万円程度まで。他の学童保育に籍を置きながら週2・3日程度、習い事感覚で通う児童も半数以上いるという。

そんな中で親が最も気になるのが、先生の質だろう。事業拡大にスピード感があるだけに、優秀な人材確保をいかに行っているのか単刀直入に聞いてみた。「弊社では、国内だけでなくニューヨークにも採用拠点を設けています。またカナダの大学と提携し、教育学部の学生をインターンとして受け入れるなどの工夫で、サービスの核となる教師の質を保っています」とやる気スイッチグループホールディングス広報室の北見竜也さん。

日本人含め採用したスタッフは皆、同グループが運営する英語教育に重きを置いたバイリンガル幼児園や他のKids Duo校で1カ月の研修を行った後に各スクールへと配属される。さらに1カ月後、授業運営の理解度や実践具合をチェックし、OKが出て初めて本採用となるそうだ。規模のメリットがあり、多角化経営をする同グループだからできるシステムに安心を覚えた。

ハロウィンの飾り作り。クラフトや音楽など、日替わりでプログラムが変わる

天気の良い日は外に遊びに行くことも。ネイティブの先生が同行するので、見たものを英語ですぐに教えてもらえる

公設の学童保育時間では仕事を終えることができない親の中には、仕事を辞めざるを得ない人も少なからずいる。いわゆる小1の壁だ。Kids Duo大泉学園には公設の学童保育を終えた後にやって来る児童もおり、保護者からは「身になることに時間を費やしてほしいという思いと、長時間保育にひかれてこちらの学童を選びました」という声が聞かれた。ニーズと合致した特色のある民間の学童保育をうまく取り入れることが、働く親の賢いスタンダードとなっていくのかもしれない。