体育館や菜園もある民間学童
都会にいてもできれば子どもには、「広々とした敷地で、のびのび放課後を過ごしてほしい」。そんなふうに思う親は少なくないだろう。一般的に都会の学童は敷地の広さにどうしても限界があるが、中には驚くほど広く、施設が充実しているところもある。川崎市中原区、JR武蔵中原駅から徒歩約10分の住宅街にある「内藤アカデミー」もその1つ。民間学童でありながら、小学校さながらの教室に体育館、さらに屋上広場や菜園まであるのだ。
内藤アカデミーは小学1年生~3年生までを対象にした民間学童だ。施設内では小学4年生~高校3年生を対象にした学習塾も行われており、「内藤アカデミーでの一貫教育」をモットーにしている。学童から通い始め、高校3年生まで12年間にお世話になる人も少なくないそうだ。
学習塾に併設された学童というと、勉強色が強い学童をイメージするかもしれないが、ここはそうではない。「たくましい 子どもらしい 子どもの育成」を目標に掲げ、文武両道に沿った活動を実施。多彩な施設をいかして、さまざまな体験をさせてくれる。
まず、敷地内に菜園がある学童も珍しいだろう。春から夏にかけては、学年ごとの畑で、ナスやピーマン、トマトといった夏野菜、それに人参のように種から育てるものをみんなで育てる。日々の活動の中で、種まきや水やり、草取りなども行い、収穫したら庭で天ぷらパーティーを開いているそうだ。
庭には柿やミカンの木もあり、秋には子どもたちのおやつになる。ちょうど取材日には、庭のミカン狩りが行われており、子どもたちは目をキラキラ輝かせながら、「見て! こんなに大きい! 」「上手に採れたよ~」と元気な声を響かせていた。採った後は、みんなでミカンの木に向かって「ミカンさん、おいしいおやつをありがとう! 」とお礼を一言。こうした活動を通じて、「食べ物に感謝する」という気持ちもより育まれていくのだろう。
わざわざ観光農園に行かなくても、施設内で旬の果物狩りが楽しめるというのは、特に都会に暮らす子どもにはとてもぜいたく。先日はさつまいも堀りもしたところだという。
「ただいま」「おかえりなさい」が似合う家庭的な雰囲気
周辺にある4つの小学校から子どもたちが通っている内藤アカデミー。午後3時を過ぎると、「ただいま~」といいながら続々と子どもたちがやってきた。それをスタッフが「おかえりなさい」と温かい笑顔で出迎える。とても家庭的な雰囲気だ。
教室長の内藤幸彦さんは、みんなから"おとうさん先生"と呼ばれ、慕われている。体育館では小学1年生~3年生まで全学年一緒になって遊ぶことも多く、みんな兄弟のように仲がいい。上の学年の子は下の子の面倒を自然とみるようになるそうだ。
勤続年数が長いスタッフが多く、働いている人も職場に愛情を持っている人ばかり。そんな愛情たっぷりの雰囲気もあって、子どもたちにとっても第二の家のような存在らしく、卒業後「就職が決まりました」「結婚しました」など人生の節目の報告にくる人も少なくないという。また、開校38年目を数えるので、いまや自分が通ってわが子にも通わせる人、つまり2世代で通う人もいるそうだ。
次回は保護者から、絶大な評価を集める多彩なプログラムを紹介する。