ふるさと納税は寄付をして終わりではなく、その寄付した事実を申告しなければなりません。その手続きが難しそうで、ふるさと納税にチャレンジできない方も少なくないのではないでしょうか。今回は、難しく感じがちな申告のハードルを下げてくれるであろう「ふるさと納税ワンストップ特例制度」についてご紹介します。

ふるさと納税の申告方法は2つ

原則として、ふるさと納税を行った場合は、翌年の3月15日までに、住所地等を管轄している税務署へ「確定申告」を行う必要があります。

ただし2015年4月からは、ふるさと納税を行う際にあらかじめ各自治体に申請することで、確定申告が不要になる制度「ふるさと納税ワンストップ特例制度」がスタートしました。

確定申告かワンストップ特例制度か、どちらかの申告方法を自分の状況に合わせて選択することになります。

  • 便利な「ワンストップ特例制度」とは? 確定申告との違いを解説

    確定申告とワンストップ特例制度、自分に合った方法はどっち?

ワンストップ特例制度の利用条件

ワンストップ特例制度を利用するには、2つの条件を満たしている必要があります。

1つ目は、ふるさと納税の寄付先が5自治体以内であることです。

あくまでふるさと納税を行った「自治体の数」であって、「回数」ではありません。同じ年に、A市にふるさと納税を2回行っていたとしても、「1自治体」とカウントされます。

2つ目は、寄付を行った年に、ふるさと納税以外に確定申告をする必要がないことです。

元々確定申告の必要がある個人事業主の方や、給与収入2,000万円超の方は、この制度を利用することはできません。

ワンストップ特例制度と確定申告の違いは?

では、確定申告とワンストップ特例制度の違いはどういった点にあるのでしょうか?

  • 便利な「ワンストップ特例制度」とは? 確定申告との違いを解説

    確定申告とワンストップ特例制度の違い

まず申告頻度は、確定申告の場合、1年分をまとめて申請するのに対して、ワンストップ特例制度は、ふるさと納税を行った都度申請します。

申告期限は確定申告が翌年3月15日まで、ワンストップ特例制度は翌年1月10日までとなります。ワンストップ特例制度で申告するつもりだったのに期限が過ぎてしまった場合には、確定申告をすれば寄付金控除を受けることができるので大丈夫です。その場合、すでにワンストップ特例制度の申請を出していたものも含めて、すべてを確定申告する必要があります。

申告先は、確定申告が住所地等を管轄している税務署なのに対し、ワンストップ特例制度は寄付した自治体それぞれに申告書を送付する必要があります。

そして確定申告をした場合の控除は、一部が申告した年の所得税から控除(還付)され、残りは翌年度の住民税から控除されます。

一方、ワンストップ特例制度の場合は、所得税から控除はされません。その分も含めた控除額全額が、申告をした翌年度の住民税から控除されるのが大きな違いとなります。

ワンストップ特例制度の手続き方法

  • 便利な「ワンストップ特例制度」とは? 確定申告との違いを解説

    ワンストップ特例制度の手続き方法

まずは、「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入します。申請書は寄付を申し込んだときに自治体から送付してもらうか、ポータルサイトからダウンロードすることも可能です。

次に、個人番号(マイナンバー)・本人確認書類を用意します。「マイナンバーカード」「通知カード」のどちらを持っているかによって、提出書類が異なるので確認が必要です。

準備ができたら、寄付をした自治体それぞれに申請書と必要書類を送付します。送付期限は翌年1月10日までです。

ワンストップ特例制度で注意したい点は?

・医療費控除がある場合

医療費控除は確定申告が必要なので、医療費控除がある年はワンストップ特例制度を利用することはできません。ワンストップ特例制度の利用を申請していた場合も、医療費控除について確定申告をするのであれば、ワンストップ特例制度は無効となるので注意が必要です。ふるさと納税分もあわせて確定申告をします。

・年末にふるさと納税を行う場合

ワンストップ特例制度を利用する場合、「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」が寄付先の自治体に1月10日までに必ず届く必要があります。年末ギリギリにふるさと納税を行うと、「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」の送付が期日に間に合わない可能性があるので、注意しましょう。

・引っ越した場合

寄付をした後、住所変更があった場合、寄付をした自治体それぞれに住所変更の届けを提出する必要があります。申請用紙は寄付した自治体に請求するか、ポータルサイトからダウンロードできる場合もあります。住所変更の申請も、ワンストップ特例制度の申請と同じく、翌年1月10日までに行う必要があります。

特別な知識を必要しない「ふるさと納税ワンストップ特例制度」は、ふるさと納税をより身近な存在にしてくれた制度と言えるのではないでしょうか。

この制度を使えば、確定申告をしないで申請をすることができますが、寄付をした自治体それぞれに申請書を送付しなければいけません。それが手間に感じる方は確定申告を選択するなど、それぞれの特徴を知った上で、自分に合った申請方法を選択してくださいね。

筆者プロフィール: 長谷部敦子

ラーゴムデザイン代表 長谷部敦子 ファイナンシャルプランナー、マスターライフオーガナイザー、メンタルオーガナイザー。父親の看取り介護、自身の結婚を通して、「心」と「お金」の整え方を知ることの必要性を感じ、学びを深める。2012年・2014年の出産を経て、2015年に「しなやかな生き方をデザインする」をコンセプトに起業。家計・起業・扶養などに関わるお金の悩みや、働きたい女性のメンタルについての相談・講師業を中心に活動。働く母の目線で、日々のくらしを快適にする仕組みづくりについての執筆も行っている。「生き方デザイン.com」