必要なときにだけ車が借りられる「カーシェアリング」。購入しなくても車に乗れる便利さから、首都圏を中心に需要が拡大しているサービスです。さて、カーシェアリングと言うと、専門業者が提供しているものがまず浮かびますが、最近では、個人が自分の所有する車を貸し出すビジネスモデルもあります。乗らないときに車を貸すだけならさほど時間がかからず、副業としてもってこいではないでしょうか。そこで今回は、個人でやるカーシェアリングについてまとめてみました。

  • 「カーシェアリング」ってどんな副業?

    駐車場で眠っている車があればカーシェアリングを活用してみては?

今話題のカーシェアリングとは?

カーシェアリングとは、文字通り、車を複数人で共有する仕組みのことです。レンタカーとのおもな違いは、会員制であることや、基本料金が安いことなどです。カーシェアリングの利用者としては、高いお金を出して車を購入する必要がなく、維持費や駐車場代などのコストも節約できます。

「普段は公共の交通機関でいいけれど、たまのドライブや遠出には車を利用したい」という人には非常に便利でしょう。カーシェアリングは、こうした車を交通機関が充実している首都圏に住む人や、若い世代に人気のあるサービスです。

企業が提供するカーシェアリングサービスとしては、「タイムズカープラス」などが知られていますが、最近では、個人が車を貸し出すビジネスも広まりつつあります。自分の車を貸し出したいときは、個人のカーシェアリングを仲介する会社に登録し、車を借りたいという人が現れれば、リクエストが来る仕組みとなっています。

カーシェアリングは、車を貸し出すだけなので、基本的には拘束時間はかかりません。しかし、借り手と車の受け渡し方法や貸出時間などの連絡をやり取りし、決めた場所にて受け渡しを行う必要はあります。このような連絡や受け渡しの手間が発生するものの、車を貸している間は自由に過ごしていても収入が入るので、「車に乗らない日がけっこうある」というマイカー所有者には、魅力的な副業なのではないでしょうか。

車以外に必要なものは? 万が一のときはどうなる?

カーシェアリングは、車以外に用意するものはとくにありません。ただし、安定した収入を得るには、事前に車の掃除をしたり、メンテナンスをしっかり行ったりして、借り手に満足してもらい、リピーターを増やしていくという努力は必要です。車は自分の住んでいる場所から近隣の人に貸し出すことが多いため、信頼や良い評価を得ておくことが大切だからです。と言っても、自分が乗るときより少しだけ気を使うことができれば、何ら難しいことはないでしょう。

カーシェアリングの仲介会社も無料で会員登録できるところがほとんどで、借り手との取引が成立した場合に、はじめて成約手数料が引かれる仕組みとなっています。車を所有するだけでも駐車場代、車検代、税金などのお金がかかりますが、そうした維持費をカーシェアリングの副収入でまかなえるとなれば、かなりお得と考えることができるのではないでしょうか。

ただし、自動車事故に備える保険については、詳細の確認が必要です。仲介会社によっては、借り手が1日自動車保険に加入するだけで済むところもあれば、借り手と貸し手が月額の保険に加入しなければいけないところもあります。また、これらの保険では車両の損害や盗難の被害をカバーしきれないこともあり、貸し手の車両保険などを利用するケースもあります。そうなると、翌年以降の保険料が上がる可能性がありますので、万が一の場合については事前にしっかりと調べておきましょう。

カーシェアリングで見込める収入

車を貸し出すだけのカーシェアリングですが、月にどのくらい収入が見込めるのでしょうか。基本的に貸出料金は自分で設定できますが、車種やスペックによって1日3,000~10,000円程度が一般的なようです。高級車の場合、1日数万円で貸し出せることもあります。また、「旅行で使いたい」というリクエストであれば、1泊2日や2泊3日など、一度に数日間貸し出せることもあるでしょう。

なお、カーシェアリングの仲介サービス「Anyca(エニカ)」によると、Anyca内で車をシェアした場合、1台あたりの平均受取金額は月々25,000円になるということです(※)。

※東京都23区内に車の受け渡し場所を設定し、1回以上シェア経験がある場合。2015年10月の実績数値。

カーシェアリングの将来性

最近では、車だけでなく、駐車場や空き地のシェアリングなど、自分の資産を貸し出すことで収益を生む出すビジネスが増えてきています。カーシェアリングの利用者は、現状でとても多いとは言ませんが、今後こうしたサービスがますます広がれば、利用者の増加も見込めるでしょう。カーシェアリングの市場は発展段階であるため、規模が拡大しさらに利便性が高まれば、将来性のある副業と言そうです。

とくにスキルが必要なく、車と借り手があれば成り立つカーシェアリングの副業。「平日はまったく車に乗らない」などという人は、車を使わない日に貸し出して副収入を得てみてはいかがでしょうか。

  • 「カーシェアリング」ってどんな副業?

    カーシェアリングの総合評価

筆者プロフィール: 武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。

イラスト=竹村おひたし