FP(ファイナンシャル・プランナー)にどんな相談ができるのか、過去の実例を紹介します。今回の相談は「2年以内に結婚する予定ですが、肝心の結婚資金が足りません……」。

■今回の相談
「2年以内に結婚する予定ですが、肝心の結婚資金が足りません……」

  • 結婚にかかるお金って?(写真:マイナビニュース)

    結婚にかかるお金って?

相談者プロフィール
S・Oさん
宮城県在住/男性/25歳/会社員/賃貸住宅、一人暮らし
■収入
給与(手取り)20万5,000円、ボーナス(年間手取り)37万円 月額合計20万5,000円
■月間支出
家賃5万5,000円、食費3万5,000円、水道光熱費1万円、通信費(携帯・スマホ代、プロバイダー料金、有料テレビ代など)8,000円、交際費・娯楽費2万円、奨学金返済1万5,000円、雑費3万円 合計17万3,000円
■貯蓄/運用
普通預金3万円、定期預金40万円(毎月3万円積立、ボーナス年間10万円積立) 合計43万円

マンションを買ってみようと思った

相談者: 「付き合って4年の彼女と、1~2年以内には結婚を考えています。というか、彼女はすでに27歳なので20代のうちに結婚したいと言っています。しかし、結婚資金に回せるような貯金など当然なく、婚約指輪、挙式と披露宴、さらには新婚旅行など、とても無理です。

もちろん、資金は彼女も出すと言っていますが、仮に半分ずつ負担するとして、それで足りるでしょうか?また、これから頑張って貯めるとすれば、どんな方法がいいのでしょうか?」

結婚資金、平均は400万円台半ば

FP: 「2年以内というのは、お相手の年齢からですか?」

相談者: 「20代で結婚したいと、ハッキリとは言わないものの、何となく伝わるんです、そういう思いが。これは下手に先延ばしできないと、最近はプレッシャーにすらなっています」

FP: 「それは大変ですね(笑)。お2人はどんな結婚式を希望されているのですか?」

相談者: 「具体的には話していませんが、私は挙式については親さえ呼べればあまりこだわりがありません。彼女はおそらく、友達もいっぱい呼びたいだろうし、30歳間近なので、それなりの場所を希望していると思います。ところで、結婚資金はどのくらいが平均なのですか?」

FP: 「民間の調査によると(「ゼクシィ結婚トレンド調査2018」より)、結納から挙式(衣装含める)、披露宴、婚約・結婚指輪、新婚旅行までを含めると、ここ数年の平均総額は約460万円といったところ。その中でもっとも費用がかかるのが挙式・被露宴。平均350万円近くに達しています」

相談者: 「ええー、まったく無理じゃないですか……」

FP: 「彼女も資金を出すと言われているのですよね」

相談者: 「はい。でも、男としては半分以上出してもらうのは、情けないというか」

FP: 「では、結婚資金についてもう少し深く掘り下げてみましょう」

これをキッカケに貯蓄習慣を付けよう

FP: 「先に結婚費用の平均額を紹介しました。その額の大きさに驚く人も少なくないのでしょうが、これを全額、当事者である新郎新婦が負担しているわけではありません。挙式や被露宴は親や親戚、その他の招待客からのご祝儀で、その費用の3分の2はカバーできるのが一般的。したがって、自分たちが用意すべきは120万円ほど。新婚旅行なども含めると、まずは200万円が結婚費用のひとつの目安と考えていいでしょう。

S・Oさんと彼女が半分ずつ出し合うとすると、用意すべきは100万円ずつとなります。しかし、それで挙式・披露宴、さらには新婚旅行に行くことができたとしても、実は「その後」にも支出が待っています。いわゆる、新生活資金です。新たに住む場所を借りるなら、敷金や礼金、引っ越し費用が発生します。不足している家電や家具を買いそろえると、さらに出費は膨らみます。

また、それら支出によって、お互いの貯蓄が底をついてしまっては困ります。したがって、目標の100万円に少なくとも50万円程度は上乗せしておく方が賢明。S・Oさんの貯蓄ペースであれば、それも達成は可能でしょう。

また、挙式・披露宴などの金額はあくまで平均です。たとえ、予算が足りなくても落胆する必要はありません。もっとも大事なことは、数字に振り回されず、自分たちが準備できる範囲を模索すること。当事者同士で話し合い、納得のいく形で行えばいいのです。

加えて、予算がどの程度であれ、目的に向けて貯蓄に励むことはとても重要です。結婚後も人生のイベントは目白押し。お金が必要な時期はいくらでもあります。目標額を決め、そのために計画的に積立をしていく習慣をぜひ身に付けてください」

結婚できるとわかりホッ

相談者: 「良かったあ、結婚できそう……。これが今の率直な感想です(笑)。でも、もっと役に立ったのは新生活にも費用がかかるということ。個人的にはもっと節約できると思っていたので少し貯蓄目標のハードル上げていくつもりです」

著者プロフィール: 日本FP協会

ファイナンシャル・プランニングの普及とその担い手であるFPの養成・認証を通じて、社会教育の推進を図る日本最大級のNPO法人(特定非営利活動法人)。くらしとお金に関する無料セミナーや相談会の開催、各世代・ライフステージに合わせた冊子の提供等、生活者一人ひとりのより豊かで実り多い明日に貢献することを目指している。
■日本FP協会

※画像は本文と関係ありません