多摩地区を含む東京都北西部から埼玉県の川越市あたり、いわゆる武蔵野エリアに「武蔵野うどん」と呼ばれる郷土料理がある。そば文化のイメージが強い関東では、「駅の立ち食い」といえば「そば」が定番だが、武蔵野エリアの主要駅であるJR八王子駅構内には「武蔵野うどん」を味わえるお店がある。
武蔵野では昔から小麦の生産が盛んで、米と同様に小麦で作られたうどんも主食として食べられており、各家庭で手打ちでうどんを打つ習慣もあったという。武蔵野うどんは普通のうどんに比べて、かなり麺が太く、コシが強い。一度茹でたうどんを水洗いし、ざるや皿に盛り、温かい肉やネギなどが入ったつけ汁で食べるスタイルだ。
JR八王子駅構内にある「いろり庵きらく」では、そのご当地グルメである武蔵野うどんを食べられる。「いろり庵きらく」は都内の秋葉原駅や上野駅をはじめ、千葉県・神奈川県など関東一円の駅で立ち食いそば屋を展開するチェーン店で、そば・うどんに加え、丼ものなども提供している。ここ八王子店では武蔵野うどんを提供しており、人気メニューのひとつとなっているのだ。
武蔵野うどんのメニューは、温かいつけ汁でいただく「肉ねぎ汁うどん」(580円)と、冷たい出汁(だし)でいただく「むさしのもりうどん」(480円)の2種類。今回は武蔵野うどんの正統派「肉ねぎ汁うどん」を注文した。
つけ汁は、かつおだしが効いた甘辛の醤油ベースで、たっぷりの豚肉とねぎが入っている。うどんはコシが強く、歯ごたえのある食感が楽しめ、噛むごとに小麦の風味も味わえる。これぞ武蔵野うどんといった感じだ。
食べ応えのある、ボリュームたっぷりの武蔵野うどん。八王子駅を訪れた際には、ぜひ郷土の味を試してもらいたい。