乾物は常温保存可能で栄養豊富
食品をまとめて買っても、冷蔵庫や冷凍庫の容量には限りがあります。乾物は、食品を乾燥させることで微生物の働きを抑え、腐敗やカビを防ぐ保存食。日本には、大豆や切り干し大根、麩など、さまざまな乾物がありますが、残念ながら最近は地味な存在。
レトルト食品やインスタント食品などは確かに便利ですが、有事の際は真っ先に買い占められてしまいます。それなら、滅多に品薄にならない乾物に、今こそ注目してみましょう。保存性だけでなく、栄養価も高く、調理も意外と簡単ですよ。保存も常温で保存OK!
新潟県名物「車麩」は応用範囲が広い
乾物の代表格ともいえるのが、麩(ふ)。小麦粉のたんぱく質であるグルテンに、小麦粉やもち米粉などを加えて加熱したものです。丸いもの、四角いもの、板状のものなど、さまざまな麩が全国各地で作られてきました。高たんぱく・低脂質なのも嬉しいところ。
ここでは、車輪のような形の「車麩」を取り上げます。筆者の手元にあるのは新潟県のものですが、お隣の石川県ほか、山形県や沖縄県などでも生産されています。
車麩は、専用の棒に巻いて焼き、巻いて焼きを繰り返すため、断面はまるで木の年輪。バウムクーヘンにもちょっと似たかわいらしい形です。しっかりつけられた焼き目が、食感の良いアクセントになります。
おかずクッキングにもスイーツにも
車麩はおでんや鍋物の具にする使い方はよく知られていますが、丸い形を活かしてトーストの代わりにするのもお勧めです。また、植物性原料100%なので、ベジタリアンやヴィーガンの人にも肉代わりに愛用されています。確かに、だし汁に浸して戻して焼いたり揚げたりすれば、肉に負けないほどの深いコクと旨みが楽しめます。
編集者でもある筆者が、別の仕事でタレントさんのレシピ本を制作した時は、車麩のかつ丼や車麩のフレンチトーストがおいしいと好評でした。普通に肉を使うかつ丼や、普通のパンを使うフレンチトーストよりもカロリーを控えられるのもいいところ。
車麩かつ丼を作ってみたよ
車麩愛好家の間ではお馴染みの「かつ丼」ですが、筆者宅では、車麩だし汁で戻してしっかり味が染み込ませ、卵でとじないレシピが気に入っています。
1.めんつゆを適当な濃度に希釈し、だし汁を作る
2.車麩を1のだし汁に浸し、やわらかくなるまで戻す
3.2にパン粉をまぶす(小麦粉と卵を使わないタイプを使用)
4.揚げ焼きする
5.器にご飯を盛り、4を乗せ、三つ葉を彩りよくあしらう
材料はお好みに合わせてすべて適量です。お好みに合わせて調味料や調理方法をアレンジしてみてください。物足りないときはソースをかけて、ソースかつ丼にしてもおいしいですよ。
買い物は必要最小限にして、数日分をまとめ買いする生活では食材のやりくりと保存のテクニックが物を言います。そんな観点からも、トーストにも肉にも変身し、しかも長期保存ができるなんて、車麩って優秀すぎる。
車麩は、湿気を避ける、冷暗所に置くなどすれば長期保存が可能です。開封後は密閉容器に入れて早めに使い切ってくださいね。