ずっと独身でいたくない、結婚したい、と基本的に思っている私ですが、最近、結婚や恋愛の話題にげっそりしてきました。

結婚や恋愛の話題は、私にとってキラキラしてうらやましいものです。現実の結婚や恋愛が、キラキラして楽しいことばかりでないのは知っていますが、だからこそ「今うまくいっていて、幸せである」人たちのことが、とても素晴らしいものに見えますし、どうしたらそんなふうになれるのか、人によっての考え方、うまくいくためにしていることなどを聞くのも楽しいです。では、私はいったい何にげっそりしているのでしょうか。

わずかな希望を持ち続けることのつらさ

「結婚したい」――。以前は、すごく素直にその気持ちを言葉にすることができましたが、最近、その言葉が言えません。

結婚している人はもちろんですが、周りの結婚したがっている女性は、すごく努力をしています。出会うための努力、相手に魅力的だと思ってもらうための努力、どういう人間か理解し、理解してもらうための努力……。

私も、それらの努力を人から学び、それなりにしてきたつもりでした。しかし、結果は惨憺たるもの。恋愛をし、傷ついて思うことは、たくさんありますが、最近は「私は、そもそも恋愛に向いてないんじゃないか」と思うようになってきました。

人には、得意、不得意があります。ひとりで生活していくことや、仕事をしていくことに関しては、私は、決して上手ではありませんが、なんとかできています。うまくできることもありますし、そういうときには自信を持つこともできます。

しかし、恋愛に関しては……。就職活動にたとえるならば、100社受けてまだ内定が出ていないような状態と言えばいいでしょうか。100人もの男性を好きになったわけではありませんが、1人に断られるだけでダメージは大変に深いです。

就職も同じだと思いますが、「結婚したい」と言っていると、「そんなことでくじけてどうする」「落ち込んでるヒマがあったら動かないと」「どこかに君を受け入れてくれるところは必ずあるんだから、それを探さなければ出会えない」と、松岡修造さんばりの励ましの文句を投げかけられることがあります。

確かにそれはそうでしょう。私も、就職活動に疲れ果てている学生さんに出会ったら、きっと同じようなことを言うと思います。「あなたに何かが欠けているから落とされるというわけではない、運や相性もあるし、決まるときはウソみたいに簡単に決まったりもする。必要以上に落ち込まないで、がんばって!」と。

しかし、実際に恋愛や就職で「断られ続けている」側の気持ちは、そんなに簡単に切り替えられるものではありません。どうしても「他のことはそれなりにうまくできてきたけれど、これに関して、自分はまったく才能がないのではないか」「はっきり言って、向いていないのではないか」と感じてしまうのです。

おおげさに言うならば、挑戦すること、チャレンジすることに疲れてしまうのです。こんなに自信をなくし、疲れてしまうのなら、得意なことだけに集中して人生をやっていったほうが、まだ気楽に生きていけそうな気すらしてしまいます。

強く求めた人ほど素晴らしいものが手に入るとは限りませんし、結婚する気などまったくなかった人がひょんなことから急に結婚することになった、なんていうこともありますから、諦める必要はないと思うのですが、まるで部活のように、恋愛や結婚のコツを考え努力しても、予選落ちし続ける毎日に、私は少々疲れているのかもしれません。

<著者プロフィール>
雨宮まみ
ライター。いわゆる男性向けエロ本の編集を経て、フリーのライターに。その「ちょっと普通じゃない曲がりくねった女道」を書いた自伝エッセイ『女子をこじらせて』(ポット出版)を昨年上梓。恋愛や女であることと素直に向き合えない「女子の自意識」をテーマに『音楽と人』『POPEYE』などで連載中。

イラスト: 野出木彩