夏も真っ盛りの7月下旬―――。暑くて台所に立つのも億劫な季節、手軽なカップラーメンもスープが熱くて汗をかくし……いやいや、それなら “冷やせばいい” じゃないか!! というわけで、今回は日清食品の「カップヌードル」を冷やして食べるアレンジレシピを紹介します。
カップヌードルの歴史
カップヌードル(CUPNOODLE)とは、日清食品が誇る “世界初のカップ麺” で、1971年(昭和46年)9月18日に東京・新宿の伊勢丹百貨店を皮切りに販売開始。その目新しさから当初は若い世代を中心に注目を集めたものの、袋麺が25円だった時代に「カップヌードル」は1食あたり100円と高価な値段。なおかつ立ったまま食べる姿は良風美俗に反するという意見もあり、当時なかなか店頭に並ぶことはありませんでした。
その状況に頭を抱えた日清食品は、カップヌードル専任の営業課を組織。消防署や警察署、自衛隊、病院など、夜勤の多かった特殊ルートに営業をかけ、確固たる基盤を築いたカップヌードルブランドは、2019年度に3年連続で最高売上記録を更新し、国内年間売上1,000億円を達成します。
1972年12月に販売された「カップヌードル 天そば」は廃盤になりましたが、1973年5月発売の「カップヌードル カレー」はレギュラー商品として市場に定着。続けて1982年7月に「カップヌードル チリトマトヌードル」を発売、その2年後となる1984年7月に「カップヌードル シーフードヌードル」が現れ、現在のカップヌードル七福神における “First Standard” の四天王が揃いました。
今回のアレンジに必要なもの
各種メディアで紹介されているカップヌードルの人気ランキングでは、おおむね「カップヌードル」と「シーフードヌードル」が接戦で1位と2位を争い、3位は「カレー」となっているパターンが定番なのですが、油脂分の多いカレーヌードルは冷やすとスープの成分が凝固してしまうので、今回は「カップヌードル」「同 シーフードヌードル」「同 チリトマトヌードル」の3種類を夏向けの冷やしバージョンにアレンジします。
今回のアレンジに必要なものは、土台になる「カップヌードル」「同 シーフードヌードル」「同 チリトマトヌードル」並びにアレンジアイテムの「氷」「酢」「ラー油」「大葉」「茗荷(みょうが)」「すりごま」「ミニトマト」「バジル」「タバスコ」で、いずれも調理後のカップヌードルに “ちょい足し” するだけのレシピなのですが……
調理のポイント
カップヌードルを調理する際は “お湯を少なめに入れる” のがポイント。最初から水出しでもしない限り、キンキンに冷やすことは困難ですが、熱湯を少なめに入れて調理した後、けっこう思い切って氷を入れると意外に冷えます。
今回は市販のロックアイスを使用しましたが、ご家庭にある冷凍庫の製氷皿で作った氷でも大丈夫。上記の画像では投入直後の涼しげな姿を写真に収めていますが、氷を入れた後に “しっかり混ぜる” のも冷やすうえで重要なポイントになるので、そこも意識してください。それでは、前述の材料を使って「カップヌードル」の冷やしアレンジいってみましょう。
カップヌードル+氷+お酢+ラー油
お湯を少なめに調理したレギュラーサイズの「カップヌードル」に氷を入れて、お酢を大さじ1~1.5杯、ラー油は小さじ2杯ほど入れると「酸辣湯麺(スーラータンメン)」ライクな一杯に早変わり。できたらトロミも欲しいところではあるものの、夏向けに考案したレシピなので、このままサラッと食べちゃってください。
発売当初から海外展開も意識していたカップヌードル(レギュラー)の洋風しょうゆスープは、アレンジ後も元祖の名に相応しい普遍的な個性を残しつつ、それでいて酢の酸味とラー油の辛味が違和感なくフィット。
たしかに存在する「カップヌードル」ならではの味わいが「酸辣湯」のアクセントを取り込み、スープはもちろん具材も含め、驚くほどナチュラルに「カップヌードル流の酸辣湯麺」に落ち着きます。手前味噌になりますが、この組み合わせメチャクチャいいですよ。
さらに氷で引き締められた麺は、通常調理よりもコシが強く、時間の経過による食感の劣化が目立ちません。ただし熱湯3分きちんと守らなかった場合、部分的にサクッとした戻りムラが目立ってしまうため、後述のアレンジも指定の調理時間を守ってから氷を入れてください。
シーフードヌードル+氷+大葉+茗荷+すりごま
カップヌードルの「シーフードヌードル」といえば、イカをはじめとする海鮮の旨味はもちろん、生姜のアクセントも見どころの一つ。というわけで和風ハーブの代表格である「大葉」を3枚と夏から秋にかけて旬を迎える「茗荷」を適量刻み、仕上げに大さじ1杯の「すりごま」をトッピング。
すりごまの柔らかいコクと「シーフードヌードル」が持つ乳化感の強いマイルドな旨味が手を取り合い、それと対比を描く大葉の清涼感もさることながら、エッジの効いた茗荷のキレが後味を引き締めて食欲を増進。薬味の消臭作用でシーフード感が鳴りを潜めてしまうのではないかと危惧していたのですが、なんのなんの。それぞれの個性を引き立て合うように、バランスよく共存してくれました。
今回は茗荷を使いましたが、もし茗荷が苦手な方は「シーフードヌードル」と相性のいい刻み生姜(しょうが)もしくはチューブの生おろし生姜を少し入れてもおいしく食べられるので、お好みより置換してください。なお今回の組み合わせは素麺(そうめん)の薬味にも使えるため、夏に常備しておくと役に立ちます。
チリトマトヌードル+冷凍ミニトマト+タバスコ+バジル
ここまでのアレンジでは冷やすのに「氷」だけを使用してきましたが、氷ではなく「凍らせたミニトマト」でチリトマトヌードルを冷やしてみた変わり種。冷凍ミニトマトを8個くらい仕込まないと冷えないので、多めにミニトマトを冷凍しておくのがポイント。
冷凍ミニトマトを潰しながら食べ進めると、加工したトマトでは出せないリアルなトマトの風味が「チリトマトヌードル」の本格感を加速させ、なおかつ氷だけで冷やしたときのように入れすぎて味が薄くなることもありません。むしろスープの量が著しく少ないため、かなり濃厚なテイストに仕上がります。
今回はタバスコとバジルを追加しましたが、ブラックペッパーやホワイトペッパー、生おろしニンニクなどを使用すると、味の方向性を見失うことなくガラッと雰囲気が変わるため、お好みで追撃してください。
まとめ
いずれも自信を持ってオススメできるアレンジですが、あくまで上記の組み合わせは一例に過ぎません。たとえば「カップヌードル+氷+わさび」や「シーフードヌードル+氷+大葉+梅肉」など、薬味を変えるだけでアレンジのパターンは無限大。ただし冒頭でも触れた動物油脂の多いカレー系統のフレーバーは、冷やすとスープの成分が凝固して舌触りが悪くなってしまうため、そこだけ注意が必要です。
今回は通常の「カップヌードル」を冷やしてみましたが、飲み口すっきり・麺約8割の「あっさりおいしいカップヌードル」や2020年7月20日発売の夏限定「カップヌードル レッドシーフードヌードル」など、他のカップヌードルや「どん兵衛」などの和風カップ麺にも応用できるアレンジなので、この夏ちょっと気が向いたら冒険してみてください。