社会人になると「報連相」が大事であるというのは誰もが聞いたことがあるのではないでしょうか。報連相というのは報告・連絡・相談の略称です。
自分自身の新入社員の時代を思い返すと、その後社会人経験を積み重ねていった今でも報連相がいかにビジネスにおいて重要であるのかを常に実感しています。
報連相が必要な5つの理由
誤解のないように言いますが、新入社員や若手社会人だけが報連相が必要なわけではありません。ビジネスパーソンであれば誰でも必要であり、むしろ先輩や上司の立場の方々にこそ、組織で自ら報連相を徹底してほしいということを日頃から話しています。
それを踏まえた上で、ここではあえて若手社会人のみなさんが報連相を新人のうちからマスターできるよう、改めて報連相が必要な理由を5つに絞り挙げていきます。
ミスを未然に防ぐ
1つ目はやはりミスを未然に防ぐということ。新人のうちにミスすること自体は決して悪いことではないのですが、防ぐことができたであろうミスをわざわざする必要はありません。
自分一人ではなく組織で働いているわけなので、あらかじめ周囲にこまめに報連相しておくことでどこかのタイミングで軌道修正を図ることができ、取り返しのつかないような最悪の事態にはならずに済みます。
仕事の効率化
2つ目は仕事の効率化を図るため。組織で仕事をしている限り、自分だけでなく他者がどのような業務に取り掛かっているのかを知る必要があります。
誰がどのような仕事に取り組んでいるのかを把握していないと二度手間になってしまったり、自分ではよく理解していない業務を一人で抱え込むことで、結果的に仕事のスピードが落ちたりしてしまいます。
ビジネスではスピードも求められます。報連相が仕事の効率化につながり、仕事をする上でのモチベーション維持や向上にもつながることを覚えておいてください。
知恵の蓄積
3つ目は若手社会人には非常に重要な意味をもたらす、知恵の蓄積を挙げました。新人のうちは個人の能力に関係なく、誰もが経験値がなく仕事を理解していない状態。もちろん入社後には社内研修があったり、先輩社員によるOJT(職場内訓練)は準備されたりすることが多く、最低限の仕事を教えてもらうことはできます。
しかし、学生とは違い、社会人は授業料を払って学ぶ立場ではなく、給料をもらって働く立場。受け身の姿勢で一からすべてを当たり前のように教えてもらえる環境ではなく、ある程度の基本を学んだ後には自ら情報を取りに行き、学ぶ姿勢が問われます。
第一回の記事でも触れましたが、できる新人と思われたい気持ちから、先輩に迷惑をかけまいと報連相を最小限にしてしまった私は、新入社員だから聞けることや学べる機会を自ら失ってしまいました。社会人二年目になった時に周りの同僚との知識量や経験値の差に愕然としたのを覚えています。
ぜひ新人の特権として、早いうちから先輩社員からたくさんの知恵を吸収することで、仕事の本質や醍醐味を味わってほしいと思います。
自分を守る
4つ目では若手社会人の方には知っておいてもらいたい、自分を守るということを取り上げます。これは決してネガティブな意味での保身ではなく、また(若手社員の)無責任な態度を許容する意味でもないので注意してください。
知ってもらいたいのは、先輩や上司は新人がミスをすることを意地悪く望んだり、新人一人だけにミスの責任を押し付けたりしないということ(もちろん例外もあります)。組織で仕事をする以上、みなさんのサポートやフォローはしたいと思っていますし、チームとして連帯責任を負い、守りたいという気持ちもあります。
報連相があってもミスという結果になった場合は、上司として防ぐことができなかった非を認め、取引先にも責任を持って謝罪することができます。また、責任を分散させることで、チーム内でそれぞれ一人ひとりが自分にできたことを振り返り、反省し次に生かすことができるのです。
しかし、そもそも報連相がなく、上司や先輩が何も知らない状況でミスが起こるとフォローできるものもできません。部下のミスは上司が無条件に責任を取るべきかもしれませんが、上司も生身の人間。何も知らされていない状況での部下のミスに対して、自分に全責任があるとは素直に認めづらいこともあるでしょう。
そういった意味でも、ぜひ若手社会人のみなさんは自分自身を守り、上司や先輩からも自然と守ってもらいやすくなるよう報連相を徹底しておいてほしいと思います。
上司と信頼関係を構築する
最後はやはりこの点に尽きます。私自身は報連相というのは、上司と部下の最も大切なコミュニケーションだと思っています。日頃から小さなことでも報連相をすることで、上司とのコミュニケーションそのものへのハードルが低くなり、仕事上の悩みや時には少し言いにくい相談事もしやすくなります。
私も自分が新人のうちには気が付きませんでしたが、先輩の立場になった時に報連相の持つパワーを知りました。報連相をこまめにしてくれる後輩の存在が嬉しく、仕事上での安心感を持つ以上に、信頼してもらえていることに純粋な喜びを覚えました。
「報連相はさせるものではなく、したくなるもの」と日々私は話しており、上司側のコミュニケーションももちろん重要。報連相を受ける上司や先輩の気持ちもぜひ知ってもらいたいので、紹介しました。
報連相が必要な理由やメリットを理解できましたか。若手社会人のうちに報連相というコミュニケーションに慣れて、いずれは後輩が「報連相したくなる」先輩になっていってくださいね。