社会人にはコミュニケーション力が大事だとよく言われます。実際、企業が新入社員に求める能力として「コミュニケーション力」はここ数年常に上位に位置します。

しかし、コミュニケーション力というのは非常に広い意味を持ち、人によって定義もさまざま。ここで意味するコミュニケーション力が具体的にどのようなものかを理解していなければ、課題を知ることも高めることも難しくなってしまいます。

実は、若手社会人に求められているコミュニケーション力は、好かれる、信頼される、の2つ。そもそもなぜコミュニケーション力が高いほうが良いのかも踏まえ、若手社会人に求められるコミュニケーション力を語るキーワードを解説していきます。

  • 新人に求められるコミュニケーションを実践できていますか?(写真:マイナビニュース)

    新人に求められるコミュニケーションを実践できていますか?

 上司や先輩に応援される

若手の時、仕事のスキルは先輩や上司に比べ、どうしても劣ることが多々あります。それは個人の能力が低いわけではなく、あくまで社会やその企業においての経験値の違いによるもの。

もちろん個人の能力も大事ですが、組織の中でどれだけ多くの経験値を積み、成長していけるのかがより重要。自分だけの能力でできる仕事は限られています。

新人のうちから先輩や上司に「応援される」人物になることで、新しい仕事を早くから任されたり、上司の仕事に同行させてもらえたりとチャンスが増えるのです。そうすることにより、成功体験も失敗体験もいち早く積み重ねることができ、自分自身の成長スピードを加速させることができます。

 コミュニケーション不足が招く失敗

今思えば大変お恥ずかしながら、私自身が新入社員の時には最も間違ったコミュニケーションを取っていました。当時は「とにかくミスをしたくない」「できる新人と思われたい」という気持ちが強く、先輩や上司とのコミュニケーションは必要最低限のみ。

ミスを恐れて無意識のうちに難しい仕事や新しい仕事を遠ざけ、失敗もしなければ、これといった成功もない。結果的に何かを任せてもらえることもなく、自ら成長する機会を失った1年でした。

社会人2年目になった時に、同期との圧倒的な経験値の差にがくぜんとしたのを今でも覚えています。先輩や上司との信頼関係を構築できず、経験値にも差があるので、自分に自信も持てず本当に苦労しました。

新人の時からコミュニケーション力を高めたほうが良い理由は理解いただけたでしょうか。周りに応援される人物であることが何より大切。それを踏まえた上で若手社会人に求められるコミュニケーション力のキーワードを2つ紹介します。

 コミュニケーションに必要な2つのキーワード

まず1つめのキーワードは「好かれる」です。当時の私もそうでしたが、自信がないからこそ、すぐ組織に貢献したい、役に立ちたいと思いがち。しかし、即戦力として活躍することよりも先に、「チームの一員」「仲間」として受け入れてもらうことが何よりも重要なのです。

どんなにあなた自身の能力が高くても、組織になじもうとする姿勢がなければ活躍する場や学ぶ機会すら与えてもらえないこともあります。先輩や上司もあなたと同様、1人の人間であることを忘れてはいけません。

こびへつらうという意味ではなく、あくまでチームの一員となるには、お互いに人としての敬意や好意を持つことから始まります。だから入社後の新入社員研修では、仕事内容に関わる実務研修よりも先に社会人として必要なビジネスマナーを学ぶ機会があるわけです。

常に笑顔を心がけ、誰に対しても自ら先に元気な挨拶をする、上司や先輩の話を素直に聞くなど、まずは人として好かれることを意識してみてください。

そして、2つめのキーワードは「信頼される」ということ。人として好かれることがまず大切だと述べましたが、ビジネスマンとして給料をもらって仕事をする以上、信頼感は不可欠です。仕事をするということは、何らかの形で金銭のやり取りが発生しています。直接金銭のやり取りがない職種でも、得意先や他者との信頼関係を構築することは必ず求められます。

新入社員研修や若手社員向けの研修講師として多くの企業に関わるなか、2年目以降も結果を出し続ける社員、勢いがなくなり伸び悩む社員をたくさん見てきました。

人柄は良いけれど同じミスをいつまでも繰り返したり、正しい言葉遣いや敬語が使えず大事な取引先の仕事は1人では任せられなかったり……。それではせっかくの好印象が生かされず、残念な結果に終わってしまいます。

相手に信頼感を与える身だしなみや言葉遣いはもちろんのこと、小まめに上司や先輩に報連相や確認作業を行うといった「信頼されるコミュニケーション」も意識をしていきましょう。


非常にシンプルではありますが、好かれる、信頼される、の両立を目指したコミュニケーションを心がけることで、組織の中での自分の強みや役割が見つかり、成長スピードを加速させられます。

ぜひ若手社会人のうちに好かれて信頼されるコミュニケーション力を武器にしてみてくださいね。