連載最終回となる今回は、食欲が落ちる夏場も箸がすすむ棒々鶏(バンバンジー)。ビールにも合う冷菜のひとつだ。今回も市販の調味料「棒々鶏の素」にひと工夫したオリジナル棒々鶏を紹介する。考えていただいたのは、今回も東京・代々木上原の中華料理店「老四川 飄香(ピャオシャン)」オーナーシェフ・井桁良樹さんだ。

市販の「棒々鶏の素」

一般にスーパーで販売されている「棒々鶏の素」は、ゴマのペーストをベースに、酢で酸味を、豆板醤や唐辛子、ラー油などで辛みや旨みをプラスしている。辛めのタイプもあるものの、全体的にゴマの甘さをいかしたタイプが多いようだ。

「本場中国では、ゴマベースの芝麻醤が少量入ることがあるものの、ラー油をメインに使った辛い味わいのものが主流です」と井桁さん。また元々中国では、かたい地鶏をボイルして棒で叩いてやわらかくすることから、「棒々鶏」とネーミングされたのだとか。今回は手間をかけずにおいしく仕上げられるよう、やわらかい鶏モモ肉を使用するので、叩く必要はない。

使用した「棒々鶏の素」は、濃厚な味のゴマだれ風だったことから、バルサミコ酢を加えてさっぱりとした酸味をプラス。仕上げに香りのよいオリーブ油やマスタードもプラスし、イタリアン風にアレンジしている。さらに葛切やベビーリーフも使い、ワインにも合うサラダ感覚の棒々鶏となっている。

家庭で再現しやすいよう、卓上コンロと1,000円フライパンで調理!

「イタリア風棒々鶏」

材料(2人前)
葛切り 30g /鶏モモ肉 150g / ベビーリーフ 適量/ 「棒々鶏の素」 2人前/ 粒マスタード 小さじ2 / バルサミコ酢 小さじ1/ エキストラバージンオリーブ油 大さじ1

つくり方

1.葛切りは、水に1時間ほどつけて戻しておき、水を切ってさっとボイルする。水につけていない場合は15分ほどボイルすること。湯切りをして冷水にとっておく。
2.フライパンで湯を沸かし、鶏モモ肉をかたまりのまま茹でる。中まで火が通るように20分弱茹で、冷水にとって冷ましておく。
3.2の鶏モモ肉を観音開きにし、5mmほどの厚さにスライスする。
4.ソースをつくる。「棒々鶏の素」に粒マスタードとバルサミコ酢を加えて混ぜる。
5.ベビーリーフを皿にしき、葛切り、鶏モモ肉をのせる。ソースをかける。

調理のポイントとしては、鶏肉を茹ですぎないこと。茹ですぎるとパサパサになるので、竹串などを刺してみて中から血が出ない程度に火が通ったら、すぐに氷水にとって冷ますようにしよう。葛切りとベビーリーフが加わることで、食べ応えもアップし、見事にメイン級の一品料理に。ツルッとした葛切りの喉越しも楽しく、ゴマだれ風の濃厚な味にバルサミコ酢やオリーブ油が絡み合った複雑な味わいで、最後まで飽きずに食べられる。カロリーが気になる場合は鶏ササミを、もっとガッツリと食べたい場合は豚肉を使っても良いだろう。今年の夏、ぜひ定番メニューとしてお試しあれ。

教えていただいた料理人

「老四川 飄香」オーナーシェフ・井桁良樹さん
2005年4月に東京・代々木上原に「老四川 飄香」を出店。中国での修業経験を生かしつつ、独自のアレンジを加えた本格四川料理が評判となり、連日予約で席が埋まる人気店に。店名は、"OLD四川が漂い香る"という店のコンセプトから付けた。日本人向けに、直接的ではなく香りで辛さを感じるような独自の工夫を行なっている。

「老四川 飄香」オーナーシェフ・井桁良樹さん。店舗は代々木上原駅から徒歩3,4分の場所にある

住所: 東京都渋谷区上原1-29-5 BIT代々木上原001
電話: 03-3468-3486
※店舗データは取材時のもの