市販の「チャーハンの素」

日本人にとって最もポピュラーな中華料理の一つに、チャーハン(炒飯)が挙げられるのではないだろうか。家庭料理として完全に定着しており、市販の「チャーハンの素」を使えば、あとはご飯と卵を用意するだけで簡単につくることができる。しかしどうせつくるならもっとおいしくしたい。ということで、今回も「チャーハンの素」にちょっとしたひと工夫をプラスした、絶品チャーハンを紹介しよう。

「チャーハンの素」には、食塩や砂糖といった調味料だけではなく、肉系や魚系のエキス、ネギ、ガーリックパウダーなども入っていて、なかなか複雑な旨みと味わいを出してくれる。中にはエビや鶏挽肉、カマボコやネギなどの具材が入ったタイプもある。

しかし、この"素"だけでチャーハンがつくれてしまうということは、しっかりと味が決まっているということになる。アレンジの余地は残されていないのか!?

東京・代々木上原の中華料理店「老四川 飄香(ピャオシャン)」オーナーシェフ・井桁良樹さんによると、やはり「アレンジは難しかったです」とのこと。そこで、香港をはじめとしたアジア地域で、塩辛風の発酵調味料を肉などにのせて蒸しているのをヒントにし、塩辛の使用を思いついたという。さらにナンプラーを加えて、香りを高めた。塩辛やナンプラーを使うと塩気が強くなるが、そこはレタスをたっぷりとプラスして調整。レタスによってシャキシャキとした食感も出て、食欲をそそる。

今回も卓上コンロと1,000円フライパンで調理! 卓上コンロの火力でも、パラリとした炒飯をつくることができる

「香港風チャーハン」

材料(1人前)
油適量 / 全卵(溶いておく)2個分/ ご飯250g / イカの塩辛大さじ1 / 「チャーハンの素」1人前分 / ナンプラー小さじ1 / レタス1/4個分 / カシューナッツ適量

つくり方

1.フライパンを熱し、油を加える。強火の状態で溶き卵を加え、さっと混ぜる。卵が半熟状態になったら、ご飯を加える。
2.ご飯に塊がなくなるよう、お玉で軽く潰しながら混ぜていく。フライパンを揺すって卵がご飯と絡まるようにしつつ、お玉で細かく切るように炒める。
3.2に塩辛と「チャーハンの素」、ナンプラーを順に加えて混ぜ合わせる。
4.レタスを1cm幅に切り、3に加えて炒める。レタスがしんなりしてきたら、カシューナッツを加えて混ぜ、皿に盛りつける。

チャーハンをパラリと仕上げるには、中華料理店のような強い火力が必要。これはズバリ、ウソである。井桁さんには今回も卓上コンロと1,000円フライパンで調理をしてもらったが、できあがったチャーハンはパラリとしている。「パラリと仕上げるには、卵が半熟のところでご飯を入れるのが大切です」とのこと。こうすることで半熟状態の卵が米粒をコーティングしていき、パラッと仕上がりやすくしてくれるのだという。水分の多いレタスも、しっかりとご飯の水分を飛ばしてから加えると、シャキシャキに仕上げやすい。また、卵は強火で加熱するのもポイント。卵が焼けたよい香りができあがったチャーハンから漂うのは、こういった工夫をしているからだったのだ。

カンタンなようで難しいチャーハンも、コツさえ掴めばあなたのレパートリーに加わるぞ!

教えていただいた料理人

「老四川 飄香」オーナーシェフ・井桁良樹さん
2005年4月に東京・代々木上原に「老四川 飄香」を出店。中国での修業経験を生かしつつ、独自のアレンジを加えた本格四川料理が評判となり、連日予約で席が埋まる人気店に。店名は、"OLD四川が漂い香る"という店のコンセプトから付けた。日本人向けに、直接的ではなく香りで辛さを感じるような独自の工夫を行なっている。

「老四川 飄香」オーナーシェフ・井桁良樹さん。店舗は代々木上原駅から徒歩3,4分の場所にある

住所: 東京都渋谷区上原1-29-5 BIT代々木上原001
電話: 03-3468-3486
※店舗データは取材時のもの