「子育てにお金ってだいたいどれくらいかかるの? 」「東京暮らしと地方暮らしとでは、子育てにかかるお金に違いがあるの? 」「教育資金づくりってどんなふうにするの? 」「教育費が足りない場合どうしたらいいの? 」など、子育て真っ最中の方、またはこれから子育てする方には、こんな疑問や不安がある方も多いのではないでしょうか。

前回につづき、今回も「子育てとお金」をテーマに有益な情報をご紹介していきます。「出産にかかるお金」「教育費の目安」「教育資金づくりの方法」「教育費を地域別で比較」など、さまざまな角度から、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が「子育てとお金」についてお伝えしていきます。

子育て世帯が補助金や助成金等を受け取った場合

原則として、個人の所得(年収-経費)に対して、所得税が課税されます。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響に関連して国や地方自治体等から支給された補助金や助成金等には、課税対象となるものと課税対象とならないもの(非課税)があります。課税対象となるものを受け取ったのであれば、確定申告する必要があるかもしれません。なお、所得税の確定申告については、第13回のコラム「所得税の確定申告は3月15日までに!」をご参照ください。

参照 : 所得税の確定申告は3月15日までに!

課税対象となるものと課税対象とならないものを一覧表にまとめましたので、世帯主が受け取った場合だけでなく、ご家族の中で下記のものを受け取った場合は、課税関係を確認してみてください。なお、子育て世帯が対象である給付は、●が付いているもにになります。

★課税対象となるもの

<事業所得等に区分されるもの(対象者:個人事業主・フリーランス等)>

【1】 持続化給付金(事業所得者向け)
【2】 東京都の感染拡大防止協力金
【3】 中小法人・個人事業者のための一時支援金・月次支援金
【4】 雇用調整助成金
【5】 小学校休業等対応助成金(支援金)●
【6】 家賃支援給付金
【7】 小規模事業者持続化補助金
【8】 農林漁業者への経営継続補助金
【9】 医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業における補助金
【10】 新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度に係る利子補給金

<一時所得に区分されるもの>

【11】 持続化給付金(給与所得者向け)
【12】 Go Toトラベル事業における給付金
【13】 Go Toイート事業における給付金
【14】 Go Toイベント事業における給付金

<雑所得に区分されるもの(対象者:業務委託契約等に基づく勤務で主なる所得が雑所得または給与所得である人>

【15】 持続化給付金(雑所得者向け)

【12】【13】【14】の「Go To事業」は、割引になっただけで給付金として金銭をもらったわけではないので課税されないのではと不思議に思う人も多いのではないでしょうか。例えば、Go Toトラベル事業を利用して旅行した場合、国は支援金として旅行代金の2分の1相当額の給付を旅行者に対して行っていました。したがって、旅行者自身が旅行代理店等に支払った旅行代金は、国から支援された分を差し引いた金額なので、給付された実感がないのかもしれません。

ただし、課税されるとはいえ、一時所得は50万円の特別控除が適用されるため、他の一時所得(他のGo To事業の給付金、懸賞や福引きの賞金品、競馬や競輪の払戻金等)の金額とGo Toトラベル事業による給付額との合計額が年間50万円を超えない限り、課税されません。

★課税対象とならないもの(非課税)

【1】 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金
【2】 新型コロナウイルス感染症対応休業給付金
【3】 特別定額給付金
【4】 子育て世帯への臨時特別給付金●
【5】 学生支援緊急給付金●
【6】 低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金●
【7】 低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金●
【8】 新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金
【9】 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特別措置における割引券●
【10】 東京都のベビーシッター利用支援事業の特別措置における助成●

また、新型コロナウイルス感染症の影響による学生支援策として、大学等から学生に対して助成金等(下記の【1】~【4】)が支給された場合の課税関係について、下記をご参考になさってください。

助成金等の項目

【1】 学費を賄うために支給された支援金
【2】 生活費を賄うための支給された支援金
【3】 新型コロナウイルス感染症に感染した学生に対する見舞金(5万円)
【4】 遠隔事業を受けるために供与されたパソコン等のデバイス

課税関係

【1】 学費の支払だけに使ったのであれば、課税されない。ただし、受け取った支援金を自由に使ったのであれば、課税対象となる。
【2】 一時所得として所得税の課税対象となる。ただし、その年の他の一時所得とされる金額との合計額が50万円を超えない限り、課税対象とはならない。
【3】 所得税の課税対象とならない。
【4】 所得税の課税対象とならない。

●のついた子育てに関する給付の多くは非課税ですが、上記の表を参考に給付されたものの課税関係を確認してみてください。課税対象となる給付が50万円以下である場合、確定申告は必要ありません。