「子育てにお金ってどれくらいかかるの? 」「東京暮らしと地方暮らしとでは、子育てにかかるお金に違いがあるの? 」「教育資金づくりってどんなふうにするの? 」「教育費が足りない場合どうしたらいいの? 」など、子育て真っ最中の方、またはこれから子育てする方には、こんな疑問や不安がある方も多いのではないでしょうか。
前回につづき、今回も「子育てとお金」をテーマに有益な情報をご紹介していきます。「出産にかかるお金」「教育費の目安」「教育資金づくりの方法」「教育費を地域別で比較」など、さまざまな角度から、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が「子育てとお金」についてお伝えしていきます。
新型コロナウイルス感染症の影響と経済支援
文部科学省が行った「新型コロナウイルス感染症の影響による学生等の学生生活に関する調査」よると、国や学校などによる支援を利用した状況は下表Aのとおりです。令和2年度において、「奨学金」としての認知度が高い日本学生支援機構の貸与型奨学金を利用した人が28.1%で最も多かったです。
表A:令和2年度に受けた国や学校による支援
・調査期間:令和3年3月5日~27日
・調査対象:無作為に抽出した学生約3,000名→有効回答者は1,744名
参照 : 新型コロナウイルス感染症の影響による学生等の学生生活に関する調査(結果)
また、学校による支援を利用した人は24.7%(【2】+【4】+【7】)でした。一方、支援を受けていない(受けたことがない)人は49.9%で、調査回答者の約半分は支援を受けていません。これは、経済的支援を受けていない人は、経済的に困窮していないと断言はできません。支援を利用する方法がわからない、または支援制度自体を知らない人も含まれている可能性があります。
そこで今回は、新型コロナウイルス感染症の影響により経済的に困窮する保護者や学生等に対する経済支援をお伝えします。
【1】国の教育ローン
制度の概要は、第85回コラムをご参照ください。同制度は、新型コロナウイルス感染症にかかる「特例措置」を実施しています。「特例措置」の内容は下記のとおりです。
【2】「学びの継続」のための学生支援緊急給付金(表A【5】の詳細)
支給の流れ : 対象学生が申請→各大学等が審査し、日本学生支援機構にリスト提出→日本学生支援機構から対象学生へ支給(振込)
対象者 : 家庭から自立してアルバイト収入により学費等を賄っている学生等で、今回の新型コロナウイルス感染症拡大の影響で当該アルバイト収入が大幅減少等することにより、大学等での修学の継続が困難になっている人
給付額 : 住民税非課税世帯の学生20万円(上記以外の学生10万円)
申請先 : 各国公私立大学(大学院含む)・短大・高専・専門学校
【3】緊急特別無利子貸与型奨学金(日本学生支援機構)
新型コロナウイルス感染症の拡大により影響により、アルバイト収入等が大幅に減少した学生等を対象とした緊急支援として一定期間、特別の貸与を行うものです。当該奨学金は、第二種奨学金(利子あり)制度を活用しつつ、利子分は国が補てんします。つまり、実質無利子で借りることができるものです。
申込先 : 在学している学校の奨学金窓口
注意点 : 貸与期間は、令和4年3月まで(令和3年度限り)となります。
今回お伝えした経済支援はほんの一部です。地方自治体や大学等においても、独自で給付型奨学金や貸与型奨学金の支給を行っているところがあります。経済的に厳しい環境におかれたとしてもいろいろな経済支援があることを知って活用し、安心して学習を続けていける学生が増えることを願っております。