こんにちは。写真家の桐島ナオです。この連載では猫を一眼デジタルカメラで撮影する際のコツや撮影時の設定、レンズ選びなどを含めてご紹介します。今回のテーマは、読者さまからの質問「猫撮影で必要なグッズはありますか?」と、「筆者の普段の猫撮影の装備一式をご紹介」です!

まずはお悩み相談のメールのご紹介から!

「猫撮影の際、もしあったほうがいいものがあったら教えてください。猫が怖がらない小さいレフ版とか、猫の目に優しいフラッシュの代わりになるものとか、三脚などなど。また、桐島先生が個人的に買ってよかった周辺機器(猫撮影に限らず)なども、もしよければ知りたいです……!」(読者からの問い合わせメールより)

筆者が猫撮影において特別に用意するものはありません。いつもの撮影と同じ、いつもの機材のみで撮影に向かいます。ただ、撮影状況に合わせて機材を選ぶことはとても大事です。これは猫撮影に限ったことではないので桐島の普段の猫撮影の装備一式をご紹介しますね。

これが桐島のネコサツ!撮影機材全てです!

(1)デジタル一眼レフカメラ(フルサイズ)+単焦点レンズ(背景ぼかし用機材)

(2)ミラーレスデジタル一眼カメラ(APS-C)+単焦点レンズ(大きなカメラを怖がる子用)

「左:(1) 右:(2)」

(3)デジタル一眼レフカメラ(APS-C)+ズームレンズ(連射+遠景用機材)

「(3) たまに単焦点をつけてます」

撮影の際は、「何を撮りたいか?」を明確にして機材を持って行きます。レンズはその日撮影する場所や撮りたいテーマに合わせて選択します。動きがある猫を撮る時はズームレンズ、それ以外は全て単焦点レンズを使用しています。ズームは出来ませんが、背景をぼかしたり暗い場所での撮影がラクだったり、画質が良いという点から、これを選んでいます。

なんで単焦点レンズがいいの?

猫の撮影をしている際、レンズ交換はほとんどの場合しません。予め焦点距離の違うレンズをつけたカメラを複数台用意します。レンズを交換していると撮影の即時対応が出来ないですし、室内での撮影が主なのでレンズ交換の際に埃や毛が入ってしまうのを防ぐ為です。

持っていくカメラが一台の場合は、「何を撮りたいか?」を明確にしてからレンズを準備することが一番大切です。例えば、「背景をボカしたイメージ写真が撮りたい」「動きのある写真が撮りたい!」「野良猫をリアルに撮りたい!」などです。

「どういう写真が撮りたいにゃ?」

ご家庭で撮影される場合でも、野外での撮影でも、「素敵な一瞬を撮りたい!」という気持ちがあり、どうしても焦ってしまいます。ですので、スムーズに撮影ができるように準備することが何よりも大切です。

カメラの設定や機材の準備も大事ですが、まずは「自分がどんな写真を撮りたいのかイメージする」ことが最優先なんですね。

カメラの使い分けは?

私が撮影の際準備するカメラ3台の内訳ですが、フルサイズ+単焦点の組み合わせで撮影することが一番多いです。背景をぼかしたい時や背景がゴチャついている時、暗い場所での撮影、動きのある猫などにすべて対応出来ます。(筆者はズームレンズは使用しませんが、外猫撮影や警戒の強い猫を撮影する際は、望遠レンズやズームレンズにする必要があります)

使用頻度が高い組み合わせはCanonEOS5DMark2+50mmF1.2Lです。

「どこでもふんわりした雰囲気の写真が撮れるにゃん」

次によく使うのが、小型のミラーレス一眼です。猫の中には、大きなカメラやレンズを怖がる子も多く、手のひらサイズの小さなカメラであれば猫に圧迫感を与えにくい事も多いからです。

「この大きさのカメラなら怖くないにゃん」

このカメラにも単焦点レンズをつけています。フルサイズに比べ、背景がボケにくく暗い所に弱いので、明るい室内や野外のスナップを中心に使用し、広角ズームレンズに変える事もあります。使用頻度が高い組み合わせはCanonEOSM+22mmF2です。

最後に。じゃらしで遊ぶ俊敏な猫を撮影するために連射が必要な場合は、当然ながら、連射が得意な機材に変えています。

「ヒゲまでくっきりにゃん!!」

遊ぶ猫に圧迫感を与えないため、少し離れた場所から撮影したり、ぐっと近くに寄って来た際にも対応が出来るズームレンズを装着します。ズームレンズを使うと、背景はボケにくく暗い場所での撮影には向いていないのですが、動く被写体にフレキシブルに対応できます。使用頻度が高い組み合わせは、NikonD300+18-200mmF3.5-5.6です。

いきいきした表情を撮影するのに心がけていること!

動物の撮影でレフ板やフラッシュ(ストロボ)を使うことはありません。動物は目にキャッチライト(白い光)が入るとイキイキして見えるので、出来る限り入るようにして撮影していますが、フラッシュやストロボの光は動物の瞳に負担をかけます。

レフ板なども眩しくて嫌がる猫が多いので、自然光の差し込む向きや室内の灯りが瞳に自然に入る向きを探して撮影者がポジションを微妙に変えながら撮影します。筆者が撮影している猫写真でキャッチライトが入っているものは全て部屋や外の灯りです。

「ケージ越しの室内でもキャッチライトは入るにゃん!」

また、撮影する側が頻繁に動くため、三脚や一脚は使用しません。これらは撮影者の自由な動きを制限されてしまうため、自由に動く猫に対応出来ないからです。自分でファインダーや画面を見て、露出や光の入って来る向き、猫の表情をきちんと確認しながらシャッターを切りましょう。

猫を動かすのではなく、自分が積極的に動いて猫に合わせると、猫にもストレスが無く、自然で良い表情を撮影する事が出来ますよ。

猫撮影に絶対必要なものは…?

猫撮影に絶対的に必要なものは高価な機材ではなく、猫を愛する気持ちと、その猫の個性や素敵な所を発見する心と、「どういった写真が撮りたいか?」という具体的なイメージです。その上で適切な機材の選択や露出設定などが出来れば良いですね。

何よりも猫のストレスにならないよう、自分自身も楽しめるような撮影を心がけています。猫にも、人にも優しくて嬉しい写真撮影が出来ると良いですね。

(写真は全て東京キャットガーディアンにて撮影いたしました)

最終回!

次回最終回は「猫写真を撮った後のお楽しみ!」です。

著者プロフィール

桐島ナオ
写真と詩を組み合わせた物語写真を中心に発表している写真家。植物と猫とカフェが大好き。PhotoCafe写真教室の講師もしています。公式HPはこちらから。

*桐島ナオ主催の保護猫カフェ月イチ撮影会 ネコサツ!*はこちらから。