豚ひき肉を味付けして、でん粉などで固めて加熱加工したのがポークランチョンミート缶。何となく海外の缶詰というイメージがありますが、実際はどうなんですか、缶詰博士?

「2種類だけですが、日本製のポークランチョンミート缶もあります。どちらも外国製とは決定的に違う点があって、それは"無塩せき"製法で造られていることです!」

うーん、ポイントがマニアックすぎてちっとも伝わってきません。無塩せきって何ですか博士?

→これまでのお話はこちら

  • 富永貿易/無塩せきポークランチョンミート 190g 488円

    富永貿易/無塩せきポークランチョンミート 190g 488円

肉のプロ集団・ホリカフーズが製造

近所のディスカウントスーパー「オーケー」をぶらぶらしていたら、目に飛び込んできたのがこれ。富永貿易の「無塩せきポークランチョンミート」缶であります。

社名に"貿易"と付いているけど、オリジナルブランドの缶詰はほとんどが国産だ。このポーク缶も、コンビーフやソーセージ缶のOEM(相手先ブランド製造品)を長年担ってきた新潟の「ホリカフーズ」が製造している。

同社は肉のプロフェッショナル集団だから、このポーク缶も品質は間違いないはずだ。

  • 原材料名の表記

    原材料名の表記

発色剤を使わないのが無塩せき

さて、無塩せきとは何か? 現在、日本には外国製のポーク缶が10種類近く輸入されていて、ほぼ全てが発色剤(亜硝酸ナトリウム)を使って製造されている。

発色剤が加わると、肉の色がきれいなピンク色に保てるし、最強・最悪の食中毒菌「ボツリヌス菌」が殺菌できる。だからポーク缶だけでなく、ハムやソーセージなどにも伝統的に使われているのだ。

それに対して、発色剤を使わない肉の加工品のことを「無塩せき」と呼んでいる。富永貿易のポーク缶と、沖縄ホーメルの「わしたポーク」はどちらも無塩せき製法だ。

発色剤を使わない分、色が鮮やかではないが、加熱した肉本来の色だと思えば納得できる。それに、缶詰はボツリヌス菌が死滅するまで加熱殺菌するから、安全性はちゃんと担保されている。ご安心くだされ。

  • 肉の様子。色が白い!

    肉の様子。色が白い!

驚きの白さ

フタを開けたら思わず声が出た。肉が白い。驚きの白さであります。わしたポークはくすんだベージュ色だから、似たような色だと勝手に想像していたのだ。

どうしてこんなに白いのか? 再び原材料をチェックすると、わしたポークにはない「大豆タンパク」が含まれていることが分かった。そのせいであろうか?

  • ポークチャップにしていただく

    ポークチャップにしていただく

かくのごとし。懐かしの洋食・ポークチャップにしていただくことにした。ポーク缶は豚肉が原料なのだから、違和感はないはずであります。

話が前後するが、料理する前にひと口、そのまま食べてみた。ポークランチョンミートには、程度の差こそあれ独特の豚臭があるはずなのに(それが魅力でもある)、この富永貿易のポーク缶はその匂いがかなり希薄だ。白い色といい、驚くことばかりであります。

こんなコテコテの味付けにせず、ただ焼いただけでもおいしかったに違いない。富永さん&ホリカさんよ、すまぬ!

缶詰情報
富永貿易/無塩せきポークランチョンミート 190g 488円
一部のスーパーや通販サイトなどで入手可。