暑い日にぜったい欲しくなるのが冷たいスイーツ。アイスでもいいのですが、もうちょっとコクのあるものが食べたい時もあります。
「そんなあなた! そぶくめを冷やして食べればきっと大満足!」と、声も高らかにやってきたのは缶詰博士。その右手には昔の筆箱のような金属缶が握られています。というか、そぶくめって何ですか博士?
わらび餅をベースにしたスイーツ
名古屋駅から地下鉄桜通線・徳重方面行きに乗り、吹上駅で降りて地上に上がる。片側三車線のかなり広い通りがあり(国道のようだけど県道)、車がびゅんびゅん行き交う脇の歩道を南に歩くこと約500m。
左側に見えるのが菓志舗「つくは祢屋」(つくはねや)であります。創業が天明元年(1781)という老舗中の老舗で、ここで売られているのが「そぶくめ」という缶詰。わらび餅をベースにした、つくは祢屋オリジナルのスイーツであります。
サイズに驚く
この缶詰に出会った人は、必ず3度驚くと言われている。まずはサイズだ。長辺約16cm、短辺約7cm、高さ約3cmの堂々たる大きさで、手に持つと初期の携帯電話のよう。内容量も280gあるからずしりと重く、その重さが嬉しい。
さて、この長大な缶をどうやって開けるのか。かつてのコンビーフと同じように、側面をくるくると巻き取って開けるのだ。そのための巻き取り鍵も付属している。
くるくるを愛する人へ
巻き取り鍵が大きくつかみやすいため、作業は思ったより楽。かつてのコンビーフと違い、巻き取る面が広いから、途中で千切れる心配もない。
この巻き取り作業を愛する人は多いという。イージーオープン式に変わったコンビーフに対し、「くるくるしなきゃコンビーフじゃない!」と憤慨する人もいるという。
そんな人はぜひ、そぶくめを入手し、気の済むまで巻き取ってほしいと思う。
出てくる光景に驚く
ところで、巻き取りを開始する際には大皿を用意していただきたい。というのも、1周巻き取ったあとは、中身のそぶくめがずり落ちる可能性があるからだ。
重量280gのそぶくめがずりずり、ぬるりと缶から出てくる光景は衝撃的で、それが2度目の驚きであります。
そぶくめはとても柔らかく、わずかな振動を与えるだけで全身(?)がぷるぷると震える。その動揺をなだめ、落ち着かせてやり、付属のヘラで食べよい大きさにカットする。そうして付属のきな粉を掛ければ……。
かくのごとし。約4分の1の量を盛りつけたが、これでも1人で食べるには十分な量。何となれば、1缶で4人は楽しめることになる。
付属しているきな粉は、大豆を挽いただけの純粋なきな粉だ。好きなだけまぶしてから、くしゃみ・咳などしないよう息を整え(悲喜劇が起こる)、慎重にいただく。
そぶくめはねっとり柔らかく、舌で押すだけで潰れていく。きな粉の懐かしい香りの後から、砂糖を加熱した香ばしい匂いが立ち昇る。わらび餅よりみずみずしく、ういろうや水ようかんより柔らかい。甘さはういろうと同等か。他では味わったことのないおいしさが3度目の驚きであります。
ところで、このそぶくめは賞味期間が1ケ月となっている。それを過ぎると食感が悪くなるので、ぜひおいしい賞味期間内に食べていただきたい。
缶詰情報
つくは祢屋/そぶくめ 280g 1,620円
つくは祢屋の店頭販売もしくは電話注文(JR名古屋髙島屋内「銘菓百選」で扱うこともあり)