今回、缶詰博士が紹介するのは、ネット上でもたびたび話題になっているチョコレート味のさば缶です。新しい味付けのさば缶が続々と出てくる中でも、この1缶ははっきり言って異質。

「普通においしい」など好意的な意見も多いようですが、そもそもどんな味なのか想像が出来ません。なので、博士に徹底的に検証していただきましょう!

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  • 岩手缶詰/鯖チョコ 170g 410円

    岩手缶詰/鯖チョコ 170g 410円

スイーツなのか、おかずなのか?

ついにこの缶詰を開ける日がやってきた。岩手缶詰が送り込んだ最強の刺客「鯖チョコ」であります。

同社にはすでに「Ca va(サヴァ)?缶」という、圧倒的ブランド力を誇る激ウマさば缶がある。脂が乗った三陸産さばをオリーブオイル浸けにし、従来のさば缶の"定食屋チック"なイメージを一新した画期的商品であります。

その岩缶が「こんなのも出来ますぜ」と、挑むように送り込んだ鯖チョコ。果たしてこれは何なのか? スイーツなのか、それともおかずなのか? まったく見当が付かない。

  • 原材料表記。確かにチョコレートと書いてある

    原材料表記。確かにチョコレートと書いてある

本物のチョコレート

まずは原材料を確認する。さば(国産)、清酒、みりん、しょうゆ……と書いてあるが、これは使っている原料の多い順番(重量比)に書いてある。つまりさばが一番多く、次が清酒、次がみりん……という具合だ。

缶心(肝心)のチョコレートはしょうゆに続いて5番目。ということは、さばを清酒、みりん、しょうゆで味付けし、そこにチョコレートが加わったという風に理解すればいいのだ。ていうか、本物のチョコレートを使ってるんですね。カカオ香料とか、チョコ風調味料とか、そういう“チョコレート的な”調味料を使ってるのかと思った。

おかげで、ますます味の想像ができなくなった。

  • 鯖チョコ内観(湯せん後)

    鯖チョコ内観(湯せん後)

想像以上にチョコ

ともかく、いつのものように缶ごと湯せんで温める。相手方の力量が分からない場合、こちらはルーティンをこなして冷静に対峙するしかない。

で、開缶したらこの有様。もう、想像以上にチョコです。姿形はさばの切り身だが、その表面を覆うのは褐色の液体。大丈夫か、これ?

  • 盛りつけた様子

    盛りつけた様子

見た目スイーツ

ここで冷静さを取り戻すため、こちらから相手を挑発してみる。ケーキ用の皿に盛りつけてみたのだ。その結果、見た目がますますスイーツっぽくなった。本来は青銀に輝くさばの皮さえ覆い尽くすチョコの濃度。半端ないっす。

  • 切断面の様子

    切断面の様子

確かにさば

チョコにばかり目を奪われてきたので、さばに注目してみる。中骨に沿って半分に切ると、白い身肉が現れた。内臓を抜いたあともあるし、血合いもあるし、確かにさばであります(当たり前だ)。

でも、そのさばがチョコレートにまみれてる。油断できぬえ。

  • ナイフとフォークでいただく

    ナイフとフォークでいただく

さば缶の傑作

さあ、いよいよ試食であります。チョコソース(と呼びたい)をさばにたっぷり絡めて頬張ると、0.5秒後に分かるのは、砂糖しょう油で煮付けたさばの味。従来からあるさば醤油煮缶と同じ味だ。

しかし、その0.5秒後にはチョコの猛攻が始まる。カカオの香りが豊かで、苦みと甘みが同居するチョコレートそのもの。それがさばにまとわりついている。

結果、最初の5秒間は違和感が続いた(岩缶だけに違和感)。でも、そのあとはおいしさと驚嘆しかなかった。とてもおいしい。ひょっとして、さば缶の傑作なんじゃないか知らん。

スイーツでもないし、おかずでもない。ナイフとフォークでそのまま食べたい、独立した一品料理であります。

缶詰情報
岩手缶詰/鯖チョコ 170g 410円
ネットショッピングなどで購入可