まだまだ知らない郷土料理があるものです。今回缶詰博士が教えてくれたのは、津軽海峡に面した村で親しまれているという「あんこうとも和え」。
「あんこうの身と肝などを煮付けた料理で、僕も今まで知らなかった。でも缶詰になっているおかげで手軽に食べられたんです。まさに缶激!」
博士お得意の缶ジャレはしれーっと流して、これを食べれば青森に旅行した気分になれるかもです。
村名がステキ
ある日、青森から1つの缶詰が届いた。差出人は風間浦村産業建設課とある。友人K谷氏を通して、僕に送ってくれたらしい。同封された手紙には
「風間浦村は、他の地域と違いあんこうが生きたまま水揚げされます」
とある。うーん、そうなのか? あんこうについてほとんど知らないから、"生きたまま水揚げ"というありがたさが分からない。それよりも
(かざまうらって、何てステキな地名だろう)
などと別のことを考えてしまう。
希少品だった
パッケージをよく見ると、確かに「活きたまま水揚げされた希少な風間浦鮟鱇(あんこう)……」と書いてある。気になってネットで調べてみると、青森の新聞「東奥日報」でも「全国的に珍しく生きたまま水揚げ……」とあった。
新聞が書いてることだから本当のはず。よしっ、分かりました。風間浦村の活あんこうは希少です!
高級缶詰の証し
さあ、風間浦村自慢の缶詰を、開缶!
と、中身は半透明のパーチメント紙に覆われていた。かに缶などの高級缶詰に見られる仕様で、主に中身が缶に直に触れるのを防ぐ役目がある。この缶詰もお値段660円だから、高級缶詰には違いない。
パーチメント紙をめくると、その表面は平坦でつやつやしていた。これ、ひょっとしてあんこうのゼラチン質だろうか?
身がぎっしり
フォークですくってみると、やはり表面はゼラチン質だった。それもかなり分厚く、暖かい気候下でも溶けずに固まっている(この日の室温は25℃あった)。
ゼラチン層の下には身がぎっしり詰まっていた。茶色いところと黒っぽいところが混ざっていて、いかにもあんこう料理っぽい佇まいであります。
ゼラチンがウマい
かくのごとし。茹でてごま和えにしたいんげんと盛りつけてみた。さっそくひと口、いただきます!
しょう油をきりっと立たせた、いかにも北東北らしい味付けであります。身は柔らかく、かつふわふわした食感がある。他の魚では味わえない食感だ。
黒い部分は皮だろうか? 身よりもワイルドな匂いがあって、この野趣は嫌いじゃないです。
基本的にはしょうゆ味なんだけど、かんでいるうちに肝の風味が口に広がり、そのコクが味に深みを与えている。そして、ゼラチンがウマい。身、肝、皮などのうまみが全部入っていて、熱々ごはんに乗せたらさぞウマかろう。風間浦村に行ってみたくなりましたぞ!
缶詰情報
駒嶺商店/鮟鱇とも和え 90g 660円
同社の直販サイトやネットショップで購入可