1948年の制服はミリタリー風

オーストラリアを拠点に世界へ羽ばたくカンタス航空は2014年、10年ぶりに制服を一新する。社員約1万2,600人が着用する新制服の前に、今まで制服の歴史を振り返ってみたい。時代によって変わるコンセプトはもちろん、カラー展開や有名デザイナーの起用にも注目だ。

始まりは白い開襟ワンピース

カンタスが女性客室乗務員を初めて採用したのは1948年のこと。制服は紳士服仕立てで、ミリタリールックのスカートスーツであった。冬服のスーツにはネイビーカラーのウールを使用。前後にプリーツの入ったスカートと白いシャツ、ネイビーのネクタイとひも靴を合わせた。夏には金ボタンがあしらわれた綿素材の白い開襟ワンピース、そして、白と青のツートーンの靴で乗客たちをもてなしていた。

1953年には冬服をマイナーチェンジし、ラペルとネクタイは廃止しに。靴もひも靴からパンプスへ変更することで、従来のミリタリールックが緩和された。またこの時、ショルダーバッグを初めて導入されることとなった。

1959年からは黒の小物と合わせて上品に

カンタス初のジェット機(B707機)が導入された1959年には、制服の色を客室乗務員にふさわしいとされていたネイビーからフォレストグリーンに変更。それまでのミリタリールックとは対照的に、タイトなスカートに小さな襟を特徴としたスタイルに様変わりした。さらに、黒のパンプスや黒のハンドバッグ、黒の手袋が合わせられ、より上品なイメージに。この頃には、冬の寒さが厳しいニューヨークやロンドンへも就航していたため、取り外しが可能な赤い裏地がついたグリーンのオーバーコートも使用された。

淡いブルーのワンピースからミニへ

可憐(かれん)なアクアブルーの制服が登場したのは1964年のこと。ワンピース部分には裏地をつけてペチコートの着用を不要にし、ジャケットには襟の代わりに翼の形をしたラペルがあしらわれていた。また、ハート型の縁がデザインされた帽子も華やかさを添えている。制服にはしわができないよう、ウール100%(初代クールウール)を使用。デザイン及び製造は、数人の客室乗務員のウェディングドレスも請け負ったデザイナーのLeon Paul がシドニーにて担当した。

70年代は世界的にミニスカートが流行した時代であるが、カンタスも1969年にAラインのミニワンピースを採用。カラーは焼けたサンゴ色で、ショート丈のジャケットを組み合わせ、「パウダーパフ」というニックネームがついた帽子を導入した。鮮やかなワンピースを引き立てるよう、靴とバッグはブラウンで統一された。

1964年~1969年

1969年~1971年

カンタスにとって初となるB747機が導入された1971年には、制服の色は再びネイビーへ。ワンピースの中には白いブラウスやインナーを着用し、ジャケットには金色のボタンと肩飾りをあしらわれていた。帽子はネイビーの地に赤いストライプが入っていたことから、この制服は「The Red-back Spider(セアカゴケグモ)」という愛称で呼ばれるようになった。

エミリオ・プッチやイブ・サンローラン

「フラワーパワー」柄が流行した1974年には、エミリオ・プッチのデザインによる花柄のポリエステル素材の制服を導入。この制服は人気が高かったため、1980年代半ばまで使用されることとなる。ワンピースには長袖と半袖のものがあり、ジャケットとスカートはグリーンと柔らかいサンゴ色の2色からチョイス。靴、ハンドバッグ、靴下類はネイビーで統一し、帽子に代わってスカーフが登場した。なお、客室乗務員はこの頃から、「フライトホステス」でななく「フライトアテンダント」と呼ばれるようになった。

1971年~1973年

1974年~1985年

イブ・サンローランを起用したのは1985年のこと。ジャケットはスカートと同じブルーを基調とし、ジャケットの襟とカフスの色はテラコッタ色、セーターにはテラコッタとブルーのストライプがあしらわれていた。またこの年、女性の制服として初めてズボンが導入された。さらに、コーポレートシンボルの「フライングカンガルー」を、制服のデザインに初めて採用。この柄がプリントされたスカートとシャツ、スカーフを展開し、靴とショルダーバッグはネイビー色で統一した。

イブ・サンローランを起用した1985年~1993年の制服

1994年には、引き続きカンガループリントのスカートとブラウスを導入。スカート、ズボンとジャケットの色はネイビーに戻し、ジャケットは丈を伸ばした。シャツはブルーの無地とプリント柄の2パターンから選べるようになり、濃紺のオーバーコートも展開した。

2003年には、「Wirriyarra」と呼ばれるブーメラン柄を、ワンピースの表地や黒いオーストラリアンウールスーツの裏地に用いた制服を採用。あらかじめ結んである簡易スカーフも登場した。そして、A380機が導入された2008年には、ブラウンからダスク(グレー)にマイナーチェンジを果たした。

1994年~2003年

2003年~2013年

カンタスレッドを大胆に配色

2014年1月から採用される新デザインは、フレンチネイビーのスーツと対照的な白のシャツ、カンタスレッド(ルビーレッドとフクシャピンク)を取り入れた。また、女性のトップスと男性のネクタイには、カンタスのトライアングルロゴから着想を得た、斜めのストライプが大きな特徴となっている。シックなデザインの中に、ポイントなる鮮やかなカラーを差し入れた制服は、一度目にしたらきっと忘れられなくなるほどの印象を与えてくれるだろう。

2014年に登場する制服は、オーストラリアのマーティン・グラントがデザイン

(c)Georges Antony

Qantas Airways(カンタス航空)

1920年にクイーンズランド州で設立された、オーストラリア最大の航空会社であり、「ワンワールド」初期メンバーのひとつ。カンタス航空の名称は、「Queensland and Northern Territory Aerial Services Limited」の頭文字から作られた造語となっている。シドニーを拠点に世界182都市(コードシェア含む)を結んでおり、日本線は成田=シドニー線を運航。それ以外の路線では、グループ会社のジェットスター航空が担っている。

なお、9月16日から成田発シドニー行きフライトのビジネスクラスにて、出発前に機内食の注文ができるインターネット予約サービス「セレクト・オン Q-EAT」を導入。メ ニューはモダン・オーストラリア料理の第一人者として名高いシェフ、ニール・ペリーが監修している。