幼少期から熱血ドラマオタクというライター、エッセイストの小林久乃が、テレビドラマでキラッと光る"脇役＝バイプレイヤー"にフィーチャーしていく連載『バイプレイヤーの泉』。
第50回はタレントの道枝駿佑さん(なにわ男子／関西ジャニーズJr.)について。現在、放送中の『BG ～身辺警護人～』(テレビ朝日系)に出演する道枝さん。おそらくこの連載史上、最年少の演者さんだと思います。彼に興味がなくても、先輩たちに比べて露出が少なくても印象が残っている17歳の可能性について考えてみました。あ、結果は無限大でしたけど。
キムタクの背後から放たれる圧倒的な透明感
大手警備会社を辞職して、予定外の独立をすることになったボディガード・島崎章（木村拓哉）。同じ頃、かつては島崎とチームを組み、辞職をした高梨雅也(斉藤工)とバディを組むことに。ただ辞職時に社長と揉めてしまったこと原因となる"不審"が、島崎の仕事や身辺につきまとうようになる。
と、いうのが『BG ～身辺警護人～』のおおまかなあらすじ。第1シリーズから2年ぶりの放送になる。前回よりも今回の内容の方が、ギュッと詰まっているような感じがして好きだ。思い返すと第一シリーズは"主演・木村拓哉"の質を落とさないようにと言わんばかりに、大物俳優がこぞって出演していた。でも今回はボディガードをするメンバーが前回のまま残ったという印象だけで、大物ポジションには木村さんが鎮座。バディを組む斉藤さんの演技と相まって、存分に木村さんの演技を堪能できる、これがいい。
特に木村さん演じる島崎はいわゆる"仕事(警護)バカ"で、スイッチが入るまでは比較的大人しい。そういったキムタクのイメージから離れた木村さんの演技が非常に好み、というのが大まかな理由だ。きっとこの意見に共感してくれる人がいるはず。
さて、木村さんのどえらい後輩にあたる、道枝さん。年齢差で表現すると親子クラスである。独立した島崎が借りたマンションの一階にあるカフェでバイトをする中島小次郎役だ。緊迫した瞬間もある物語の中で、ほんわかするエッセンスのようなバイプレイヤー……にも関わらず、とんでもない透明感を発揮しているではないか。紙一枚分くらい中に浮いているようなイメージだ。
スター街道を軽やかに散歩中の17歳
道枝さんの存在が世間に知られるようになったのは『母になる』(日本テレビ系 2017年)で、沢尻エリカの息子役としてドラマデビューを果たした際である。前人未到の美しさを誇るエリカ様の息子という立ち位置だけで、軽い興奮を覚えるけれどいったい、どんな少年がその座に収まるのだろうかとワクワクしていた。そして登場した柏崎広役こと道枝さん。
演技云々は置いておいても、後光がさしているような可愛らしさがそこにあった。話題性のある配役から考えてもスターの香りが漂っていた。
そこからスタートをして『絶対零度～未然犯罪潜入捜査～』（フジテレビ系・2018年）のゲスト出演、『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ系 2019年)出演と彼の露出は続く。先日、タイトルがパワーワードのドラマ『年下男子』(ABCテレビ・テレビ朝日系 2020年)にも関西ジャニーズJr.の一員として出演していた。自粛中、女性視聴者の心の拠り所となっていたことを思い出す。その合間にも演者であれば誰もが出演を望む『ソフトバンク』のCMにも出演していた。ファンではない私でも、彼の情報が目にもどんどこ飛び込んでくるというのはスター誕生の予感である。
これはあくまでも私の妄想。17歳にしてあの飄々としたこなれ感はなかなか見ない。おそらく『BG ～身辺警護人～』でも、あのキムタクを前にしても緊張していない雰囲気がする。大先輩との共演に前夜から緊張して眠れなかった後輩の話をインタビューしたことがあるけれど、彼は違う。これからも世間を回遊しながら、スクスクと身長と共に育ってきそうだ。
昔、高校生の時にこんなかっこいい子が他校にいた。やたらスマートに遊んでいて、悪いこともするけれど勉強もできる進学校の学生。つき合っていた彼女は車に乗った年上の女性だった。風の噂で広告代理店に勤務したと聞いた。そんなかつての青春に道枝さんが当てはまった。
7月から放送予定だった、香ばしいタイトルのドラマ『メンズ校』(テレビ東京系)が、コロナによって延期に。でもそんなに待たなくても、ちゃんと彼は自分のポジションを拾ってくるような気がする。
