見落とされがちな、家事負担の偏り
終わりが見えない新型コロナ禍の影響で浸透した在宅勤務だが、その陰で、家事によって疲れ切っている人も増えているのではないだろうか。
家にいる人数や時間が増えればやらなければいけない家事も多くなるし、2020年男女共同参画白書によると家事負担は男性よりも女性に偏っているので、一部の人にしわ寄せがいっているのが現状だと考えられる。彼女たちも新型コロナの被害者といっていいだろう。
この連載では家事や在宅勤務を楽にできる文房具を紹介してきたが、特に見落とされがちな「家事」がひとつある。それが、家族からの「アレ、どこに置いてたっけ?」という質問への対応だ。
「あれ、どこ?」で仕事が中断される
言うまでもないが、物のありかを把握しているのは家事をしている人間だ。その家事の負担に偏りがあるということは、何がどこにあるかの知識にも偏りがあるということであり、つまり家事に忙しい人間が質問攻めにされるということを意味している。
そして、この質問が新たな負担になる。「あれ、どこだっけ?」と聞く側には悪意はないのだろうが、家事や仕事を中断して質問に対応するのはかなりのロスだし、相手の家の中への知識のなさを痛感させられるのは愉快ではないためストレスにもなるだろう。
というわけで、家事担当者に相当の負担を強いていると私が考える、「あれ、どこ?」を減らせる文房具を紹介しよう。
キッチンの万能選手「ワザアリテープ」
ニチバン「ワザアリテープ」(柄付きタイプ)
テープ類でおなじみのニチバンがキッチンを意識したブランド「ディアキッチン」から出している非常に興味深いテープ。一言でいうと、軽作業の現場で活躍する手でピリピリと切れる「養生テープ」を小型にしたものなのだが、これをキッチン向けに作り直したのは名案と言わざるをえない。
なにしろ、まずテープが手で簡単に切れるからカッターやハサミがいらない。これだけでも忙しいキッチンでは大きな強みだが、それだけではない。テープは油性ペンなら字が書き込めるので、ラベルとしても使えるのだ。賞味期限や容器の中身を書いておくといいだろう。また、一度貼っても剥がせるため、封をしなおすのも簡単だ。さらには水にも強いので、シチュエーションを選ばない。
封をするのに便利なのはもちろん、ラベルとして内容物を貼って引き出しや容器に貼っておけば、何がどこに入っているのかも一目瞭然。「あれ、どこだっけ?」が減ることは間違いない。
なお、ワザアリテープには、冷蔵庫に貼れるホルダーつきのものがある。キッチン回りで使うなら便利だ。
油性マーカーにはノック式がある
ところで、上のワザアリテープに文字を書いたり物の持ち主を記したりと家事では出番が多い油性マーカーだが、ノック式の商品が出ていることをご存知だろうか。
油性マーカーは密閉しないと乾くため、蓋が欠かせないのだが、キャップ式の蓋だといちいち外す手間がかかる上、外す際に手を汚してしまうことも多い。しかし、ノック式なら片手でノックするだけだから上記のトラブルの心配は要らない。
ところが、そもそも油性マーカーにノック式があることを知らない人も多いようだ。というわけで、複数のメーカーからノック式油性マーカーが出ていることを記しておこう。少なくとも、ぺんてる、ゼブラ、寺西化学工業にはノック式油性マーカーがあるのでチェックしてほしい。
何でも束ねる「たばねバンド」
「あれ、どこだっけ?」の要因になりやすいもののひとつにケーブル類がある。スマートフォンやタブレットなどの充電に欠かせないケーブル類は今の家庭にたくさんあると思うが、どれも似ているため、どのケーブルがどの物に対応しているのかわからなくなる。
ゴムで知られるオーバンドの「たばねバンド」はその名の通り、物を束ねるためのゴムバンドだ。このユニークな形は、矢印のようなヘッドに反対側のタブを引っ掛けることで、ワンタッチで取り外せるようにするためだ。
ケーブル類を綺麗にまとめられるのは言うまでもないが、今回のテーマにとって重要なのは、色分けされていること。家族の誰の物か、どの物に対応したケーブルなのかを色によって分類できるからだ。
職場で使うイメージがある文房具だが、家庭生活を助けてくれるものも多い。今回紹介したような文房具があれば家事の負担を減らし、新型コロナ下でのストレスも軽減してくれるはずだ。