本を読もう、と思い立ったその日が記念日。『今日はナニヨム?』は、あるキーワードをもとに関連本を紹介していくコーナーです。文学界にまつわる出来事だったり、いまメディアを騒がせている出来事だったり、本を読むきっかけはなんでもアリ。いままで触れたことのない本たち──そんな本との出会いを作れたらと思います。

2月22日は俳人・高浜虚子の誕生日。1874年(明治7年)生まれで今年は生誕137年ですが、亡くなったのは1959年(昭和34年)なので、今の50代以上の人にとっては少し地続き感があるかもしれません。と思ったら、虚子が発行人であった俳誌『ホトトギス』は、なんと現在も絶えることなくホトトギス社から刊行されているではないですか。最新号はなんと第1371号(平成23年 3月号/ 2011年 3月1日発行)。歴史を感じさせます。

虚子は同誌を通じて「花鳥諷詠」「客観写生」の理念を掲げ、伝統的な五七五調と季語を重んじたそうです。一方で同郷の親友であった河東碧梧桐は定型や季語に囚われない自由な句を詠む「新傾向俳句」に進み、俳壇で対立することになったとか。虚子は「春風や闘志抱きて丘に立つ」と、友を思いながらも自らの決意を貫く意志を詠み、また碧梧桐の没後には「たとふれば独楽のはじける如くなり」と、ぶつかり合った個性を称えるなど、なかなか萌えポイントを突いた人物であります。しかしなんと言っても、彼らの師であった正岡子規が二人を評して曰く「虚子は熱き事火の如し、碧梧桐は冷やかなる事氷の如し」とは……師匠、わかってるじゃないですか。

『俳句への道』(岩波文庫)

出版:岩波書店
価格:630円

[内容紹介]
晩年の虚子が、次女星野立子の主宰する『玉藻』に連載した俳話をまとめたもの。俳句の本質、味わい方、作り方について自在に語ったもので、客観写生・花鳥諷詠の理念がやさしく説かれる。芭蕉時代の俳諧5篇と子規、碧梧桐の思い出や『ホトトギス』のことを質問に答えるかたちで語った貴重な記録「研究座談会」を収録。(岩波書店HPより引用)

『俳句への道』 高浜虚子 著


『子規を語る』(岩波文庫)

出版:岩波書店
価格:798円

[内容紹介]
幼い日の出会いから、文学の、そして人生の先輩として敬愛しつづけた「のぼさん」の思い出を、豊富な書簡をまじえて多角的に語る。高浜虚子を始め新海非風、五百木飄亭ら同郷の若者たちとの交流が生き生きと浮かび上がる、明治の青春記。「付録」には、家庭での子規の姿を語る母と妹の聞き書き等を収録する。(岩波書店HPより引用)

『子規を語る』 河東碧梧桐 著


『歌よみに与ふる書』(岩波文庫)

出版:岩波書店
価格:525円

[内容紹介]
明治三十一年に発表された表題作は、『古今集』を和歌の聖典としてきた千年近い歴史がもつ価値観を転倒させた衝撃的な歌論であった。万葉の歌風を重んじ、現実写生の原理を究明した子規の歌論は、全篇に和歌改革への情熱が漲り、今なお我々を打つ。「あきまろに答ふ」「人々に答ふ」「曙覧の歌」「歌話」を併収。(岩波書店HPより引用)

『歌よみに与ふる書』 正岡子規 著