苦労して免許を取得し、愛車も手に入ればツーリングやサーキット走行など、楽しいバイクライフがはじまります。しかし、それも永遠に続くわけではありません。
年齢的な体力の衰えや、社会的な立場や経済的な事情、事故やケガによる影響など、バイクを降りる理由は人それぞれですが、現役ライダーの皆さんは「最後に乗るバイク」を考えたことはありますか?
今回は、マイナビニュース会員のライダーに聞いた「終(つい)のバイク」について紹介します。
今まで乗った最大の排気量は? 今はどんなバイクがメイン?
Q.あなたが乗ったことのあるバイクの最大排気量は何ccですか?
原付(50cc以下) ―――19.0%
原付二種(51~125cc) ―――12.8%
小型(126~250cc) ―――13.9%
中型(251~400cc) ―――40.6%
大型 ―――13.7%
80年代のバイクブーム時には多くの若者が中型免許を取得しましたが、当時は大型車に乗るには「限定解除」という難しい一発試験に合格しなければなりませんでした。現在は教習所で取得できるようになりましたが、それでも忙しい時間をさいて教習所に通わなければなりません。そのためか、乗ったことのある最大排気量は中型クラスが一番多いようです。
今、メインで乗っているバイクの排気量は?
Q.現在、あなたメインで乗っているバイクは何ccですか?
原付(50cc以下) ―――41.3%
原付二種(51~125cc) ―――15.1%
小型(126~250cc) ―――11.6%
中型(251~400cc) ―――23.4%
大型 ―――8.6%
原付二種以上の免許取得者は8割を超えていましたが、メインに乗っているのは50ccクラスの原付という方が4割以上でした。原付は30km/hの速度制限や二段階右折などの制約もありますが、軽くて小回りも効き、維持費も安いのが魅力。毎日の通勤・通学や買い物などでは便利に使えます。また、日本の道路事情なら市街地からロングツーリングまでバランスよくこなせる中型クラスの人気も高いようです。
最後はどんなバイクに乗ると思う?
Q.あなたが終のバイクにと考えている排気量は何ccですか?
原付(50cc以下) ――― 30.2%
原付二種(51~125cc) ―――16.2%
小型(126~250cc) ―――16.0%
中型(251~400cc) ―――22.7%
大型 ―――14.8%
Q.そのバイクはどんなモデルですか?
モペット ―――1.4%
スクーター ―――38.5%
カブやジャイロなどのビジネス系 ―――5.6%
ネイキッド ―――12.8%
カウル付のロードスポーツ ―――5.3%
ツアラー ―――5.1%
アメリカン ―――11.4%
オフロード ―――6.0%
トライアル車 ―――1.4%
まだ具体的に考えていない ―――12.5%
ライダーを引退する時期はそれなりの高齢になることが予想されますが、最後のバイクとして多かったのは、原付・スクーターという結果になりました。それ以外では、昔ながらの単車イメージが人気の「ネイキッド」や「アメリカン」で、250ccや400ccクラスと思われます。体力を必要とするスポーティなモデルやオフロード、長距離を走るツアラーはごく少数のようです。
Q.そのモデルを選んだ理由を教えてください(自由回答)
■スクーター
男性/55歳
歳をとったし、体力的にもリターンライダーになるほど自信がないから(原付2種・スクーター)男性/42歳
最後に乗るならスクーター(原付・スクーター)男性/58歳
大してスピードが出ないので安全だから(原付・スクーター)男性/55歳
年をとったらスーパースポーツはつらい(原付・スクーター)女性/50歳
運転しやすく、荷物がたくさん積めるから(小型・スクーター)
スクーターはギアチェンジの必要もなく、乗り降りもしやすい上、大きなラゲッジスペースを持つ便利なコミューターです。通勤や通学、買い物などで原付を使っているユーザーは多いですが、原付二種ならパワフルなうえ、30km/h規制や二段階右折などの制約も受けずに済むメリットもあります。近年は高速道路を走れる150ccクラスの人気も高く、十分にハイウェイ・ツーリングもこなせる実力があるようです。
■ネイキッド
男性/40歳
雰囲気が好きだから(大型)男性/41歳
昔の俳優が映画で乗っていた車種に影響を受けた(大型)男性/53歳
運転が楽なバイクにしたいから(中型)男性/39歳
バイクといえばやはりネイキッドだと思うので(中型)男性/57歳
若い頃を思い出して、その頃とは違う楽しみ方をしてみたい(小型)
カウリングのついていない、いわゆる“昔ながらの単車”のスタイルを継承するのがネイキッド。このジャンルのモデルは年齢や性別に関係なく、いつの時代も根強い人気をもっていますね。大型では「Z」や「CB」など、往年の名車をオマージュしたネオ・クラシックの販売が好調ですが、中型クラスでもホンダの「GB350」が空前の大ヒットを記録しています。
■アメリカン
女性/39歳
最後にぜひ乗りたいと思っています。男性/49歳
スクーターかハーレーか悩んだが、ハーレーなら乗れなくなっても高値で売れる男性/53歳
今乗っているバイクは一生乗ろうと決めている男性/49歳
年齢を重ねて乗るのがアメリカンの醍醐味だと思うから男性/39歳
かっこいい爺さんになりたいから
最後に乗るバイクを「アメリカン」と答えた方の多くは、やはりライダーなら“バイクの王様”として憧れる「ハーレーダビッドソン」を指名していました。他メーカーでも「アメリカン」タイプはありますが、ワインディングやサーキットではなく、エンジンの音や鼓動を感じながらクルージングを楽しむジャンルのバイクです。たしかに高齢のライダーが颯爽と乗り回している姿はカッコよいですね!
■そのほか
男性/56歳
新聞配達でカブに乗りまくったので、普通のバイクのシフトがムリ(原付二種・カブやジャイロなどのビジネス系)男性/25歳
トレンドを追わず自分らしさを攻めたい(原付二種・カブやジャイロなどのビジネス系)男性/50歳
大型を取ってから、まだ乗ったことのない排気量を試してみたい(大型・ツアラー)女性/56歳
乗りやすさと価格から(中型・ツアラー)女性/56歳
遊んでみたいです。道なき道をかっ飛ばします(小型・オフロード)
「ホンダ・カブ」などのビジネスバイクはロータリーシフトを使っていますので、ほかのバイクに乗れなくなるのは職業病かもしれませんね? しかし、実はカブやジャイロなどはマニアックなカスタムユーザーも多いジャンルです。また、大型やオフロードなど、まだ乗ったことのないカテゴリーのバイクを体験してみたい方もいるようです。
Q.終のバイクの具体的な車種が決まっていたら教えてください(自由回答・任意)
■やっぱり小さいのがよい!
男性/38歳
カブ女性/46歳
スーパーカブ男性/35歳
特に決まっていませんがスクーター一択男性/55歳
今、納車待ちしている、ホンダのLead125男性/20歳
ベスパ
歳を取ると体力的に衰えてくるため、大きくて重いバイクを引っ張り出すのもおっくうになるものです。軽くて小さなカブやスクーターであれば、近所までの用事だけでなく、ちょっとした気分転換などでも気軽に使えますね。バイクに乗ると脳が活性化するという研究結果も出ているそうですが、当然、体幹や筋肉も鍛えられるでしょう。まったく乗らないよりは心身ともに健康の秘訣になるかもしれません。
■今の相棒と最後まで!
男性/56歳
今乗っている日本製の「スーパーカブ110」男性/53歳
今現在所有のバイクが最後ですね男性/53歳
「NSR250R」。一生メンテナンスしながら乗りたいです女性/52歳
今の「カブ」男性/59歳
地元に戻ってきて大型から乗り換えた「CT125ハンターカブ」
50代以上では、すでに現在のバイクを最後まで乗ると考えている方もたくさんいました。中でも多かったのはホンダのカブ系。小型で扱いやすいのはスクーターと同じですが、カブは60年もの歴史を持つ日本発祥の発明品です。ギアチェンジも必要で、シート下のメットインスペースもありませんが、国産バイクの原点として胸を張って乗れる名車ですね。
■最後はあこがれのバイクに乗りたい!
男性/56歳
ハーレーダビッドソン男性/49歳
ハーレーをある程度までカスタムして乗りたいですね男性/41歳
カワサキの「Z2」男性/52歳
CB1300SBかCB1300SF男性/54歳
GSX400インパルス。相当高い気がするので買えるかわかりません…
バイクの王様といっても過言ではない「ハーレーダビッドソン」。もちろん大型免許もお金も必要ですが、ライダーなら一度は乗ってみたいのではないでしょうか。これ以外にも、カワサキの「Z」やホンダ「CB」、スズキ「GSX」など、若い頃から大好きだった国産名車を終のバイクとして考えている方も数多くいました。
■ライダーを引退するときは考えている?
Q.いつかはバイクを降りようと思っていますか?
今のところ、まったく降りるつもりはない ――― 28.8%
小さいバイクなどにする。完全に降りるつもりはない ――― 8.8%
年齢など、降りる時期を自分なりに考えている ――― 19.5%
体力や判断力に自信がなくなったと思ったとき ――― 28.5%
事故や転倒などをしたとき ――― 7.7%
家族に反対されたとき ――― 4.2%
その他(自由回答) ――― 2.6%
あまり先のことを考えても仕方ないため、約3割の方が「今のところ降りるつもりはない」と回答しました。その一方で、昨今は高齢者によるクルマやバイクの事故もクローズアップされ、その責任が追及されているためか、年齢や体力的に限界を感じたときには降りることを考えている方も半数近くに及んでいます。
終のバイクは何であれ、最後まで安全に乗れることが重要
終のバイクとしては、スクーターやカブといった扱いやすい小型バイクのほか、昔あこがれた国産名車や「ハーレーダビッドソン」などの輸入車、現在も乗っている相棒など、さまざまな意見がありました。
バイクはその構造上、どうしても事故や転倒のリスクが高い乗物です。ベテランになればバイクを操るテクニックだけでなく、長年の経験や勘などによってリスク回避の方法を習得していきますが、加齢による衰えには逆らえません。
まわりの仲間に何をいわれようが、『もう無理だ』と思ったら降りてしまうのも優れたライダーの証です。「無事これ名馬(能力が多少劣っていても、怪我なく無事に走り続ける馬は名馬である)」という競走馬に対する格言がありますが、これは鉄の馬を駆るライダーにも当てはまることでしょう。
コロナ禍によるバイク人気と同時に、連日のように事故のニュースも報じられています。現役ライダーの皆さんも決して無理はなさらず、笑ってバイクを降りるその日まで、安全で楽しいバイクライフを送っていただければと願っています。
調査時期: 2022年10月11日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 1006人
調査方法: インターネットログイン式アンケート