コロナ禍では“密を防げる移動手段”としてバイクの人気が高まりました。新たに免許を取って乗る人だけでなく、若い頃に乗っていた中高年のリターンライダーもずいぶん増えたようです。
2022年のゴールデンウィークは3年ぶりに行動制限のない大型連休となり、行楽地は多くの観光客で賑わいましたが、気兼ねすることなく遠距離のツーリングを楽しんだ方も多かったのではないでしょうか。感染状況によっては再び行動制限が求められる可能性もありますので、感染予防を心がけつつ、ツーリングを楽しみたいものですね。
今回から、マイナビ会員の1,000人のライダーがおすすめする各地のツーリングスポットを連載でご紹介。今回は熊本編です。
【1】阿蘇山周辺
初めて熊本のツーリングに行くのであれば、絶対に外せないのが“火の国熊本のシンボル”である「阿蘇山」なのは間違いありません。「阿蘇山」は「阿蘇五岳」など中央部の山々を呼ぶことが多いですが、広い意味では外輪山や火口原をも含めた呼び名。外輪山は世界最大級の火山で、現在も活動を続けています。会員によるアンケートでもっとも多かったツーリングスポットは、大分県の湯布院とつながる「やまなみハイウェイ」。ツーリングが大好きなライダーには有名な爽快ロードで、大草原を縦断するロングストレートからワインディングまで、約60kmにわたってさまざまな道を絶景とともに楽しめます。
「やまなみハイウェイ」と同様に人気の高いルートが、外輪山の尾根を走る「ミルクロード」や「菊池阿蘇スカイライン」。「阿蘇五岳」を一望できる「大観峰」は、阿蘇屈指の絶景ポイントとして知られ、日本全国から多くのライダーが訪れます。阿蘇の近辺には、このほかにも「ヒゴタイロード」、「菊池グリーンロード」、「マゼノミステリーロード」など、ツーリングライダーを満足させる道が数多くあります。
【2】五家荘
九州山地の西部にある「五家荘(ごかのしょう)」は泉町の久連子・椎原・葉木・仁田・樅木の5つの地域の総称で、平家落人の隠れ里として知られる観光地です。壇ノ浦の戦い以後、800年も歴史を伝承する「左座家」や「緒方家」「平家の里」などの名所をはじめ、多くの茅葺き屋根の建物を見ることができます。コロナ禍では中止も多かったのですが、年間を通じて地域にまつわるイベントも開催され、春の新緑や秋の紅葉シーズン時には多くの観光客でにぎわいます。
「五家荘」は周囲を1,500m級の険しい山々に囲まれた渓谷で、いかにも“秘境の隠れ里”という雰囲気を携えています。数多くの吊橋や滝がありますが、「せんだん轟(とどろ)の滝」は70mの落差をもつ大きな滝で、遊歩道で滝つぼの近くまで行くことができます。「五家荘」最大の吊橋は「梅の木轟(とどろ)公園吊橋」で、全長116m・高さ55mから見下ろす壮大な渓谷美は圧巻そのもの。古の歴史と秘境をめぐるアドベンチャー・ツーリングとしてもおすすめです。
【3】天草五橋(天草パールライン)
青い海に囲まれた大小120あまりの島々からなる天草諸島と、九州本土を5つの橋で結んだ全長12キロの道が「天草五橋」。この地で真珠の養殖が盛んだったことから「天草パールライン」の愛称が定着し、「日本の道100選」にも指定された観光名所です。橋梁上から眺める多島海の景観は美しさは「日本3大松島」と称されているほど。島民にとっては欠かせない生活道路でもあるためさまざまな車両が走りますが、路面は整備されていて非常に走りやすいでしょう。
「天草五橋」は2016年に開通50周年を迎えましたが、2018年5月には新しい1号橋「天城橋」が開通しました。これ以外にも島々で構成された「天草」には、石造りなど約2,000あまりの個性的な橋があるそうです。島々をつなぐ大小さまざまな橋が織りなす幻想的な景色はこの地でしか見られないでしょう。また、天草最西部の下島にある「下田温泉」から見る夕日は美しく、「日本夕陽百選」にも選ばれています。
そのほか、おすすめのツーリングスポット
熊本南部の球磨村にある「球泉洞」は、昭和48年に発見された九州本土最大級の鍾乳洞で、その全長は約4,800mにもおよびます。自然が3億年をかけて作った芸術を周回する一般的なコースのほかに、ヘルメットや長靴を装備して地底200mまで進める探検コースもあるそうです。その横を流れる「球磨川」は日本三大急流のひとつで、国道219号を並走して眺める川面の景色もなかなかの絶景です。上流にある人吉市温泉では川下りなども行われています。
大牟田市にある「三池炭鉱万田坑跡」は明治時代の産業革命を牽引した炭鉱の跡地で、ここはユネスコ世界遺産に登録されています。日本を支えた炭鉱施設のシンボルとして現代も残された巨大な設備の一部や、時間が止まってしまったかのような坑内は迫力満点。歴史探訪やミステリアスな廃墟探検が好きな方にはおすすめです。
まとめ
ツーリングライダーにとって「北海道」が北の聖地がなら、「熊本」は南の聖地といわれています。あれだけ広大な北海道に匹敵するほどの魅力は、五つの山岳と、世界でも有数の規模を持つカルデラに広がる草原という「阿蘇」ならではの壮大なスケール感が生み出しているのは間違いありません。紹介した「やまなみハイウェイ」や「ミルクロード」といった有名なルート以外にも、たくさんの爽快な道や絶景スポットがあり、どこを走っても外すことはまずないでしょう。
また、熊本は「火の国」であるとともに「水の国」といわれるほど河川や湧水などの水資源に恵まれており、市民の水道水を100%地下水でまかなっているという世界でも珍しい都市です。環境庁の「名水百選」に選ばれた「白川水源」や「池山水源」のほか、たくさんの水源があり、夏場のツーリングで立ち寄るライダーも多いようです。豊富で良質な水と広大な牧草地帯で育まれた「あか牛」や「馬刺し」なども名産として知られており、グルメなライダーも満足させることでしょう。
調査時期: 2022年4月7日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 1,000人
調査方法: インターネットログイン式アンケート